小田垣陽菜 舞台「愛を探す怪物」/ 葉月智子 舞台「アンダーグラウンドアンソロジー」

3Bjuniorでのアイドル活動を終えて、引き続きスターダストプロモーション新人部に籍を置いて俳優として活動することを選んだ元メンバーの、小田垣陽菜・ひなちゅんと葉月智子・ちょも。舞台演劇は通算2作品目の前者は、あの、愛川欽也とうつみ宮土理夫妻が築いた中目黒キンケロシアターでの「愛を探す怪物」に、一方舞台演劇は通算6作品目で3Bjr出身俳優としてはトップランナーたる実績を誇る後者は、池袋のシアターKASSAIでの「アンダーグラウンド・アンソロジー」のオムニバス三作品のうちの一作に、それぞれ出演した。

両者の公演は、それぞれ7月21日と22日が初日の今日25日が千秋楽と、ほぼ上演期間がまる被り。小生は、この期間主現場のアメフラっシやB.O.L.Tのライブや他の用件との兼ね合いで、それぞれの初日を観賞。その模様を、恒例の、泡沫ブログを良いことにちょっとおイタしたってスルーされるから大丈夫特権!?を利用して、概ね終了一時間前くらいでのフライングネタバレ掲載します。なお、3Bjrでは、同じ日に複数存在するユニットがライブでバッティングすることは数多くあったが、期間がほぼまる被りで別の舞台に出演するという状態は、なんと現在もアメフラっシの歌唱No1としてアイドル活動も行う鈴木萌花・もえちんと、ロッカジャポニカ→BOLTと渡り歩いてから転身した平瀬美里・みぃちゃんが、記憶にも新しい今年の6月上旬にあり、これが史上2度目の発生となることを記しておきたい。

 ・舞台 愛を探す怪物(演劇ユニット メイホリック)


 1 あらすじ

 「愛」を知らない錬金術師・シュタイン(岡本芽子)は、人造人間(ホムンクルス)の少女・フ―(浜浦彩乃)を作り上げるが、錬金術協会から異端者として迫害され、研究所を爆破されてしまうが遺体は見つからず生死不明となる。一方五体は無傷で残ったフーは、発見者のアリソン(福緒唯)とその姉ジェイダ(軽辺るか)と暮らすうちに人間らしい動きを習得するが、愛だけは依然わからない。もう一度シュタインに会いたいフーは、姉妹と懇意の行商人ペイジ(堤雪菜)が、その師・ソフィ(眞砂佳奈子)がシュタインの古い友人で、その近くに住んでいると知り、旅路に同行させてもらうことに旅に出る。

一方、シュタイン生存を疑う協会のベイリー(有栖川姫子)とヘレン(高羽柊奈)も、近隣の町に探索を始め、商店主のリオ(高岸美里亜)とその店員ミア(近野莉子)に聞き込みを行い、見たことがあるとの証言を得る。ところでこの店は、実はペイジの最初の商売先。直ちに商談を始めるペイジとミア。そこに、少し前にフーとすれ違いざまぶつかり争いとなったレベッカ(内田奈那)の言いがかりを謝った、その恋人イスカ(柳瀬晴日)が宿に困る二人の事情を知り、レベッカが宿屋の主であるので、おわび代わりに宿泊を提案する。こうして寄宿した二人だが、宿から出てゆくイスカが気になり後を追うと、なんと川辺でリオが待っていて密会をする。リオもレベッカも愛していると話すイスカに、レベッカには内緒にすることを懇願され承諾するフーは、これが愛なのか?と考える。

旅立ち前もう一度ミアの店に所用で立ち寄るペイジを待つ間、散歩に出かけるフーは、偶然レベッカと会い、愛って何?イスカにも昨日聞いたのと話すと、レベッカは不信を感じ、遅れてやってきたイスカに詰問されると、イスカがリオとの浮気を白状する。逆上したレベッカがミアの店にやってきて、イスカは私のものとリオに銃口を向ける。恐れおののくリオがミアに救いを求めるが、そんな怯えた表情がもう少し見ていたいと楽しそうなミア。そこにフーとイスカも駆けつけるが時すでに遅し、レベッカがリオを撃とうとしたその時、割って入りそれを足に受けたのはフーだった。大丈夫痛くないよ、というフーに5人が今度は恐れのようなものを抱き、早々に町を出るようペインに促す。後日協会のベイリーとヘレンの再調査を受けたミアらは、フーってあの怪物(バケモノ)?と思い出したくない様子を見せるほどであった。

こうして最初の町を後にしたペイジとフー。その頃アリソンとジェイダは、同じようにベイリーとヘレンの探索を受けて、フーのことが気になり、二人の後を追ってみることを決めて家を出る。一方二人が訪れた次の町にもすでにベイリーとヘレンの調査が及んでいるが、やがて馴染みの旅芸人一座の座長ブリジット(沖田桃果)と会うペイジとフーは、気の荒いマチルダ(井上千鶴)、足が悪く満足に動けないキャロル(藤野あさひ)、本来は動物使いだが厳しい劇団事情で動物を飼えず雑用や端役に回るジェシカ(はぎのりな)らの団員とも会い、実際に芸も見せてもらうとフーは大喜びで、自分が造られた人間であることも明かすほど打ち解ける。しかし演じた側では、ひとりジェシカだけがマチルダとキャロルと違い失敗の連続から、これ以上迷惑かけたくない思いで飛び出して行ってしまう。その悲し気な表情をすれ違いざまに見たフーが3人に告げると、全員で探しに出る。まもなくジェシカは見つかるが、死をもって詫びたいジェシカ。するとブリジットがその頬を叩き「お前たちは私の財産」と、行き場なく家族に捨てられた3人を、ここを家だと思い、みんな家族だと思って過ごしてほしいということで厳しくしていた旨を知らせる。そんな「愛」の形もあると知るフーは、一行と再会を誓いまた旅立つ。後日、二人を追うアリソンとジェイダは、興行のチラシを配る一行と出会い、フーの知り合いなら只で芝居を見てゆけとブリジッドに勧められるが、その代金は3人の給金を減らして賄うという座長にがっかり、苦笑の3人であった。

3つ目の教会の町にやって来たペイジとフーは劇団の役者3人の稽古を見かけるが、なにやら揉めている様子。どうやらローラ(横道侑里)が、上手さで大きな劇団からスカウトされているヴァイオレット(小田垣陽菜)が、そこへは行きたくないということに対して立腹し、間に挟まり戸惑っているオリヴィア(松井南波)という構図で、仲裁に入るペイジと、立ち去るローラを追うフー。まもなくローラに追いつくと、ヴァイオレットがチャンスを活かすことで、自分も後を追うことを頑張れるという思いを聞くかされる。またオリヴィアも、教会で司祭アビゲイル(東雲れいか)に板挟みの苦しさを独白しており、フーに町の紹介でやってきていたローラは、オリヴィアにも迷惑かけていたことを知る。その後もう一度集まった3人の手を、フーが真ん中に集めると、3人一緒のままで居たかったヴァイオレットに、改めて、その背中を追って自分も大きな劇団目指し頑張りたいという思いをしっかり告げ、オリヴィアもヴァイオレットに移籍を薦めながら同時に、私も負けないから、と布告も忘れない。こんな形の愛を、自分で初めて取り成したフー。後日、アリベルとジェシカがここを訪れたとき、3人の新作はフーが主人公の物語だった。

一方その頃ペイジは、旧知の教会関係者のエリザベスから、教会の不穏な気配の相談を受ける。いわく、ラビン(日下部美愛)というシスターが狂信的に神を信仰するあまり自らを神の伝道者と思い込み始め、神を否定するものにかつて危害まで加えたことから、何か起こるのではという。また、再び教会を訪れたフーは、別のシスター・ドロレス(園山ひかり)の、5年前に子を喪った苦しみから未だ癒えない思いを知り、アビゲイルに「愛」のことをさらに聞くと、それは信仰、ラビンの神への思いもドロレスの子を思う苦しみも、愛ゆえの信仰であると聞く。だが、この信仰同士がそれぞれ深いばかりに悲劇を導くことになる。ついにラビンが、アビゲイルまでもが神への信仰が絶対ではないということをフーに教えたことに、神への冒涜だとその足を切りつけ、エリザベスから皆の前で5年前の事件を暴露されても、あれは神を冒涜した子供を粛正しただけと意に介さない。その姿に、我が子を奪った者の正体を知ったドロレスが、ラビンの喉元をナイフで切り裂き、ラビンは絶命する。愛の暴走を目の当たりにするフー。それでもアビゲイルらはドロレスを許し、ペイジとフーの神の加護を祈り二人を送り出す。

ここまでのさまざまな愛を姿は、フーにますますシュタインに会いたい思いを強めたことであろう。ようやくペイジが師・ソフィの元に戻るも束の間、その隠れ家をソフィに聞くと飛び出すフーは、ついにシュタインと再会。いろんな愛を見たけど話しは尽きないフーに、もっと愛を知りたいと返すシュタインだったが、そこに、あの錬金術協会の追手のベイリーとヘレンに踏み込まれる。今度こそ息の根を止めるとベイリーの放った弾丸に、またしても身を挺したフーだが、ヘレンも加わった集中砲火に機能が停止。絶望にひしがれたシュタインは、これで終わりと起爆装置を起動させると、シュタインの命はあきらめ脱出するベイリーとヘレン。そして爆発音。その音に、少し前にソフィ宅にたどり着いたアリベルとジェシカは、胸騒ぎを覚えシュタイン宅に向かうと、残っていたのは服の一部。再会はならなかったアリベルは涙するが肝心の亡骸は無い。そして、何とか爆発からは免れたヘレンに、シュタインは完全に終わりましたね?と尋ねられたベイリーは、わからない、あの協会が唯一完全に造りあげたホムンクルス・シュタインだから・・・、と答えれば、果たしてシュタインとフーは五体喪うことなく目覚めており、次こそ完璧に造ってあげるからとフーに呼びかけたシュタインが闇に消えてゆくところであった。

 2 所感

 ほぼ2時間弱の休憩なしのストーリーで、こちらは、小生が3Bjr関係者にいざなってもらった多くの舞台作品に共通していたものと決定的に違っていたことがひとつある。それは、どの舞台も、早い段階、そうねだいたい序盤30分くらいまでには、何らかの形で全出演者が顔を見せたけど、こちらは、一番最後の登場者の教会のエリザベス約の照さん、ラビン役の日下部さんやドロレス役の園山さんが登場したのは90分後。だれかが書いていたが、女性演劇はアイドル的な興行要素もあるので、推しが上演からここまで出ないのは、その側面ではファンにはもどかしいだろうけど、まあアイドルフェスなんかもさ、1ステージしかない場合は5時間待つとかあるが、演劇は、初演時はこの役者はいつ頃出ますなんてタイムテーブルは無いかwww。でも、その分ストーリーは追いやすくて、この作品は台本が販売されてないので、配信でもう一度見たらほぼストーリーは把握できたね。後の方で回収される伏線みたいなものも、小生には少な目に思えたし、演者の出方含めて、映画的な作りのようでした。

最初の、イスカ・リオ・レベッカ・ミアの四角関係の芝居で、ミアまで突然、リオをすぐ助けないというサディスティック性を見せたのはなんか理解し兼ねたかな。シュタインが最後に実はホムンクルス、つまり人造人間でしたってのも、夢オチ的なものはあるけど、だから愛が分からないってのは納得できるか。あと、この初日が初舞台って人が3人いて、そのうちのフーのお供のペイジの堤さんは、長く登場するひとりだけど、とてもそうは見えなかった。決して演劇が簡単ではないのは素人の小生でも知ってるけど、この辺が稽古で緊張とかをいかに無くせるかにかかるんだろうな。声の迫力では、マチルダ役の井上さんに圧倒的強さがあったね。あと主役フーの浜浦さんは、なんか元こぶしファクトリーのアイドル出身みたいで、それで客席高年男性が多かったのかな、ハロプロファンだとしたら、彼らもしっかり追い続けるというのは、小生もこれからも見習えるだろうか!?

 3 ひなちゅん

 ひなちゅんも登場まで1時間あったけど、小生は芝居全体俯瞰での鑑賞だったので、それほど焦れることはなかったwwwごめんね。今回は劇団員で一番芝居の上手いって役柄だったけど、彼女自身は立ちの演劇は2作目なんだよね。ローラ役の横道さんとかは、なんと、ついこの間、澪風ちゃん主演朗読劇の相手役だったのを、なんと初演後に知るとか、俺は一体なに見てんだよって情けないよね(他にブリジットの沖田さんも同じく澪風ちゃん朗読劇に出てたのT_T)。でも、オリヴィアの松井さんとかも中堅って感じだし、そうした3人チームの芝居で、得たものは多かったと思う。土曜日のアフタートーク出演時では、3人の年齢差は7歳くらいあることが明かされたけど、ひなちゅんは役者道では一番後輩っぽいみたい。今劇ではセリフも少な目、本筋の補強たる脇役なれども、今は芝居の経験そのものが血肉になる時期だし、わりと広めのキンケロシアターでも奥まで声は届いていたように、声の大きさは先輩方に劣ってない。まずは、シュタイン役のレイホリックの主宰の岡本さんたちに、次作もってことを期待したいかな。固定の劇団さんにまずは定期的に呼ばれるか否かは、次に書くちょもが証明していると思うのでね。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ・舞台 アンダーグラウンドアンソロジー(イマシブ合同会社。3つの短編劇)


1 あらすじ

①几帳面独白道化師(キチョウメンドクハクドウケシ)

目隠し・猿轡をされ椅子に縛られている男はストーン(遠藤裕司)。彼をそのようにしたのはどうやらテイラー(福地教光)という男で、彼は空いているもう一方に腰かけて、手0ブルに置かれている古びた帳面・どうやらノートのようだが、そこに書かれている日記のような内容を、淡々と朗読し始める。いわく「メキシコの骨董屋で仕入れた、天使と悪魔のように、腰かけて相対した二名の人生を大成功か大失敗に終わらせて来たという二対の古い椅子が、自らも2名に試したところ、話以上にそうした結末を迎えたのだが、悪魔に座った側が死んだのか不明であったので、さらにもう2名で試したところ、片方は実業家として成功し、片方は湖に投身して絶命と、その結末までたどりついた。しかし、死へ向かうべく座らせたこの男アーサーは、自分のボスの愛人の子供で、ボスはアーサーを愛しており、影のごとく守ってきたのだ」ここからテイラーは感情を露わにしだして「ボスを裏切る形となる自分はまもなくやってくる"仕立て屋"に、片方の椅子に座らせられる。そして彼がもう一方に座り、郵便配達が3度ベルを鳴らすか否かで私の運命が決まってしまう」と帳面を読み上げると、俺は仕立て屋のテイラーだ、なぜこうなることを書いている?とストーンの轡を外し詰問するが、ただ、今は何時だ?と問うのみのストーン。

その問いに「0:04だ」とテイラーが答えると、一変にやりとすろストーンは、「ノートが嘘をついた」とつぶやくと突然ロス市警だというサラ(長谷川麻由)が割って入る。やにわにテイラーの携帯が3コールで途切れると、ストーン目掛けて発砲する間際、サラに撃たれて絶命するテイラー。サラは落ちた帳面を拾い上げると、いわく「タバコ嫌いの私を容赦なくタバコにまみれた手でいじったアーサーも死に、今度はテイラーも始末してくれたポニーテールの似合うお嬢さんに感謝するが、厄介なことになるから君は早く帰りなさい」と書かれた箇所に気味悪くなり家を後にする。

ひとり残ったストーンは、悠然と起き上がり、帳面のさらに先を読みあげると「ストーン君、君が私、つまり手に入れた者に幸運を運ぶノートを手に入れたことで命拾いしたな。0:00に電話が無い場合ロス市警に踏み込ませる根回しは、中々のアイデアだろう。」と胸をなでおろして「椅子もノートも話の虚実を探るのは野暮。その魔力だけは本物だが」とつぶやき去ってゆく。

②ステイルメイト

イースターに湧くニューヨークのとある一部屋で、銃を向けあい佇むレイク(久代梨奈)とアウラ(櫻井しおり)の二人の女。どうやらレイクは英国諜報機関員で、ハッキングのワクチンプログラム「エッグハンター」を奪った咎で、CIAエージェントのアウラが追い詰めた、という構図なのだが二人ともイースターでうさぎのバニーの扮装でどこか滑稽。部屋は無人と思われたが隣のトイレには、白うさぎ姿のモーリー(木村玲子)という、部屋主・ジェマ(清水彩)のルームメイトが、ただならぬ気配に息をひそめている。

レイクもまた、ジェマのルームメイトなのだが、問題のエッグハンターはジェマがその開発に携わっており、それに接近のために彼女のルームメイトになり、ようやく任務を果たしたところアウラの急襲を受けたというところであり、アウラ同様本当の名前は分からない。そんな膠着の中、アウラが5つ数えてエッグハンターを渡さなければ6つ目には撃つと最終通告し5つ目にさしかかったその時、ハッピーイースター!と入ってきたのが、その部屋主のジェマと黒うさぎ姿の友人ニッキー(葉月智子)で、とくにニッキーは、銃を向けあう二人を見て、サプライズなの?イースターが誕生日の私うれしい!と完全に勘違い。勘違いといえば、アウラのことを、あの部屋が汚く夜中にたまに大声出すとジェマから聞いているというモーリーとも思ってしまい、トイレのモーリーは肩で怒るが、ジェマはあなた誰?と誰何。レイクは身を明かしたくないのか、私の仕事前に立ち寄るカフェの常連で友達、と偽り、アウラもひとまずその話に乗ることに。いつもはカフェで行っているという、ガンを向けあう緊張下で筋肉を鍛えるガンエクササイズの途中だったが、そろそろ限界なので6つ数えてどちらが早く撃てるかでひと段落させるところであxっつあので、その再開と再び数を数えだすと、真実を知るモーリーが、この状況になったことを回想する。

普段のだらしない生活を変える意味でイースターを利用してレイクとジェマに料理を振る舞いたい彼女が、先に帰ったレイクから隠れるためトイレに入ると、アウラが遅れて入ってきて銃を向けあい。、CIAのエージェントらしい人物がレイクを、いくつも偽名のある英国諜報員と追い詰めていて、奪ったジェマの研究作エッグハンターを返せば命は助ける等の交渉をしだしたというのだ。しかもアウラはひとりイースターを待つ娘に早く帰ってあげたいらしく行動を急ごうとしていて、自分がいつ出てゆくかタイミングを逸しているうちジェマとニッキーが帰ってきて収拾がつかなくなっているが、いよいよ5つ数え終わると、意を決してモーリーは、ハッピーイースター!サプライズ!でも、その銃は、本物!と話を着ていたことを明かし、3人は驚きつつ身を守る。一方正体が割れた二人だが、先に折れたのはレイクで、エッグハンター以上に友人のジェマは大事と銃を降ろし、アウラにそのありかを教えると、アウラもまた、エッグハンターの防衛という最低限の任務は完了し、娘が待つからと銃をしまい一人出てゆく。ジェマとモーリーには謝り、ニッキーだけは本当に始末したいとにらむが、さようならと出てゆこうとするレイクに、今夜は出ていかないほうがいい、それに、ハッピーイースター!料理を作ってるの、とモーリーに促されて、最後のステイルメイト達との一夜を始める4人だった。

③ジャガーノート

止められない圧倒的破壊力ジャガーノートが何を指すのか?と自問自答しながら、シカゴを牛耳るボス・ヴィットリオの情婦であるペイシェンス(梅田悠)の元にやって来たダニー(土矢兼久)は、部屋の片隅で倒れている若い男キンキー(氏家蓮)を見て、お前の7人目の浮気相手のキンキーの生死を確かめるがまだ息はある。7人目ではヴィットリオも許してはくれない、それほど大きいボスがジャガーノートなのだろう、両者は強がりながら、その支配から逃れられないことに自嘲する。そこへ、キンキーを半死半生にした、同じくジャガーノートにダメにされた男と自嘲するチャズ(福地教光)が食料買い出しから戻ると、ダニーは、命令が代わりキンキーを解放しろと告げにきたことを二人に明かし、キンキーを正気付かせて失せろ、と促す。しかしキンキーはペイシェンスを愛してしまったのか、俺と一緒に行こうと彼女を誘う。ジャガーノートに逆らうかのようなその姿に、虫唾が走ると暴行するチャド。ペイシェンスは、どこか哀れな眼を向けつつも一回の交渉で、と失せてとそっけない。

立ち去るキンキーを見届けたダニーは、変わった命令の内容は、と二人に銃口を向けると、7人目の浮気に愛想が尽きたのはペイシェンスに対してで、ミシガン湖に棄てろということになったというのだ。しかしそんな予感があったのか、ペイシェンスは驚くこともなくダニーに隠していた銃を向けて、あんたは殺せる、しかし私はチャズに殺されたいの、その圧倒的思いが私のジャガーノート、と訴える。ダニーは二人もまた関係があったのかと疑うが、そこにキンキーが戻ってきて、話を誤解したのか、ダニーではなくチャズの腹部にナイフを一刺し。俺にとってのジャガーノートはペイシェンスへの愛の力だというキンキー。その姿にチャズは怒るでもなく優しく、俺の車で逃げろと促し、ダニーにはさっきの食料代が未払いだ。15分だけ二人を追うな、と願うと、どこに行っても支配されるだけ自由は無いと絶望のペイシェンスには、いずれは俺が迎えにゆくからと諭して鍵をキンキーに渡せば、残った食料を貰うぜと手にして、にやり笑い出てゆくキンキーとペイシェンス。

残された二人。15分経てば追うと宣言するダニーに、タバコ寄越せ、何か話せと、なかなか進まない時間を持て余すチャズだが、実は、(身体が)すげえ痛え、とそれだけははっきりと言った。

 2 所感

 うわあ後1000字しかないね。①がとにかく観劇後に、換気休憩5分あって、すぐ公演台本読んでみたくらい、伏線とか探しまくったなあ。冒頭の福地さんが、2分くらい無言で、えっセリフ飛ぶ?なんて素人はどぎまぎしたけど、何とも言えない間から実に滑舌よく帳面読み出すのが、もう演者に主導権握られたね。遠藤さんはとにかく最後のなぞかけめいた部分のにやりとした笑いと言い回しが素敵。そして長谷川さんは、帳面読むときは帳面主のように表情豊かで、でもそれをハッと投げ捨てる落差が素敵。

②はとにかく演出細川さんがパンフで、基本コントいうように、30分ほぼ5人が出ずっぱり・最初から弾ける清水さんとちょもが、久代さんと櫻井さんの緊張を解せるかにかかるくらい重要だったね。木村さんは途中まで照明も暗めで、でもリアクション芝居は欠かせない中、回想で光浴びた時の解放感みたいなものが感じられた。久代さんは「ワタシタチのキョリ」でのまっすぐな役とは一転で、でも小生は今作の感じがなんか良い気がした。清水さんには、うちら3Bjr出身者同様のアイドル性みたいなものがあったけど、特に元○○ではないみたいね。櫻井さんは娘との会話シーンのやり取りが優しい表情で、やはり俳優さんの表情術だなあとなったね。

③は、セリフでは女性器の俗語が出るなど舞台ならではで、そうそうテレビや映画にないだろこの自由さがまず最高。福地さんはここではおどけたりの表情も見せたり、初日から楽しんでる感じで、今日までアドリブとかもっと出たんだろうなあ。土矢さんは、これはダニーだけボスというジャガーノートに抗うことない役だけど、終演後挨拶聞くと劇団退団なんてそれこそジャガーノートに抗ってるね。氏家さんは、とにかく最後の、食料貰うぜ、のニヤリが素敵だった。紅一点の梅田さんも、蓮っ葉な情婦感が良かったし、ジャガーノートがチャズってのも嘘で支配から逃れられない絶望感も伝えられたね。

 3 ちょも

演出細川さんから、これまでの出演作品を修了検定的に試された、それが率直な感想です。前2作と直近のものは細川さんは関わりないけど、弾ける演技とシリアスな演技の両方を演じ、主役でセンターに立つ部分は、今作のキャラ紹介の部分で活かされたしね。そしてUDA☆MAPでのコメディが、あの時は笑いは先輩方に任せればよかったのか、今作は出オチ的に最初に弾けないと客席が後についてこれない重責を、清水さんと何度も協力したんだろうな、見事に初演でミッションクリアって感じだったね。

久代さんも櫻井さんも、年代も近そう(木村さんがお姉さんかな)で、その面々と稽古から本番まで付き合い通しで刺激にもなっただろうし、またこれは3Bjr関係者に差を付けたね。次は、誰が追うのかな!?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?