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「夢スター歌謡祭」"夢スター 春・秋 公演" @那覇文化芸術劇場なはーと(2023/5/12)

桑江知子さんに話を伺っていて、以前から気になっていた、夢グループ主催の「夢スター歌謡祭」。桑江さんをはじめ、なんとなく見知った顔も何人か出演されていることと、尾藤イサオさんの生歌を聴いておきたいと思い、新聞広告を見て、一番安い席(3,500円)を注文した。
10列目までのプレミアム席が8,000円で、SS席6,800円が通常料金。3,500円という料金設定が他所の会場でもあるのかは不明だ。これに、550円の代引料金がかかる。
チケットはプレイガイドでは販売されておらず、販売ルートは、ハガキ、ネット、電話での注文。(FAXもあったかも)支払いは代引きのみだ。
5月に入って、コピー用紙にプリントアウトされたチケットが封書で送られてきた。

こうした販売のやり方は、非常に特徴的な印象を受ける。チケットの平均単価がいくらになるのかはわからないが、この規模の公演になるとプレイガイドに支払う手数料もバカにならない。もともとは通販の会社だけに、チケッティングを自社でハンドリングすることで、その手数料をカットして顧客情報も得られるというメリットは大きいはずだ。新聞広告を使ったプロモーションもターゲットとなる世代のことを考えるとピッタリとハマる。(しかし、石田社長は沖縄タイムスの取材に、この部分を否定していた。*記事のリンクは最下段)
コピー用紙に印刷されたチケットは、受付で見せるだけで、もぎりもなく、ほぼスルーで入場できた。座席をきちんと管理して販売枚数を把握してさえいれば、もぎったチケットの枚数を数えて着券数を確認することなんて、もはや不要ということだろう。

平日15:00開演にもかかわらず、なはーとの大ホールは、1600席がほぼ満杯だった。
今回の出演は、ロザンナ(ex.ヒデとロザンナ)、平浩二、高道(ex狩人)、桑江知子、石井明美、ZERO、夢グループ石田社長と有里、おりも政夫(ex.フォーリーブス)、尾藤イサオ、江木俊夫(ex.フォーリーブス)、大野真澄(ex.ガロ)、三善英史、あべ静江、あいざき進也、晃(ex.フインガー5)、伊藤咲子、リリーズといったみなさん。春組と秋組に分かれて、2曲ずつそれぞれのヒット曲、代表曲が披露される。
おりも政夫と江木俊夫、元フォーリーブスの2人が、その場を巧みに回して、40代後半以降の昭和の世代の人ならほぼほぼ知っているであろう歌の数々が次から次に歌われる。バラエティ色の強い、昔よくテレビで流れていた歌謡ショー的なノリに近い印象だ。
特別に派手な演出はない。バンドはいないし、すべてカラオケだ。カラオケであることを寂しく感じないのは、MCの巧みな煽りと、それにビビッドに反応する観客の熱量が理由だと思う。経済的な合理性というよりも、むしろバンドである必然性が希薄なのだと感じた。

余談だが、この記事は面白かった。

前半の最後に、夢グループ石田社長と歌手の保科有里さんが登場して、自社製品をPRするのだが、宣伝臭い感じもなく、ショーの一部として成立していた。ある意味、この部分もこの公演の大きなウリのようにも感じられた。それから二人で1曲「夢と…未来へ」を披露。休憩時間には、石田社長が会場内に降りて、CDを手売りする。それも全然嫌味な感じはなく、飛ぶように売れていた。公演数も多いし、相当数が売れているはずだ。
通販会社ならではだし、ある意味パフォーマンスではあるのだが、こうした直接性を持ったドブ板的なやり方はエンタメでは非常に大切だ。そういうサービス精神に富んだ姿勢は、このショー全体を通して出演者にも浸透しているように感じられた。終演後には、ロビーに出演者の多くが並んで、自作を販売していた。お目当ての歌手のCDを直接買い求め、サインや記念撮影に応じてもらう観客の姿が多く見られた。

それにしても、今月80歳になるという尾藤イサオさんの「あしたのジョー」は、凄かった。「ひまわり娘」の伊藤咲子さんの歌声もえらいパンチ力だった。自分が10代だった頃にキラキラとした舞台で活躍していた歌い手さんが、今も現役で歌っているということを、とても尊く感じられるコンサートだった。

後日、沖縄タイムスのweb版にこんな記事が出ていました。

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