ストレートエッジコラム第十一回『起業して一ヶ月――周りの反応や変化、収支報告』

 先月(株)KADOKAWAを退社、作家のエージェント会社『ストレートエッジ』を立ち上げた三木一馬と申します。最終職歴は電撃文庫編集部編集長です。主な担当作は、『とある魔術の禁書目録』、『ソードアート・オンライン』、『灼眼のシャナ』、『魔法科高校の劣等生』、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』などなどです。

 起業して一ヶ月経ちました。大きく変わったこと、全く変わらなかったこと、いろいろありましたので、それを報告もかねて書いていこうと思います。


■現在の仕事内容

 実はほぼなにも変わっていません!!! 

「俺、本当に会社辞めたのかな?」

 と自問自答するくらい、なんの余韻もなく文庫の編集作業をしています(笑)。それもそのはず、そもそも4月になってからようやく引き継ぎ作業をさせてもらっていたり、現在編集部で活躍している作家さんは、「契約作家」になったというだけで担当編集としては変わりはないので、相変わらず文庫の編集者として仕事をしています。

 この事実は僕に安心感を与えてくれ、いわゆる「会社員ロス」――センチメンタルな寂寥感を覚えることなく過ごすことが出来ました。

 ですが一方では「甘え」とも考えられます。今こそが、新しいことをやっていかなければならないときです。お前、なんで会社辞めたの? と、その意義が問われているときなのです。

 うかつな焦燥は油断とミスを生むので禁物ですが、前のめりな気持ちだけは忘れないようにするつもりです。なぜなら、これからは『企業としてのバリュー』はゼロとなり、『ただの自分』をサービスとして売り込んでいかないとお金を稼げないからです。今までは大きな後ろ盾(アスキー・メディアワークスという名前の認知力)があったから仕事ができたケースは山ほどありました。しかし今後はそうはいきません。『自分を使ってくれるとこんなメリットがあります』と胸を張ってアピール出来ることをひねり出し、メニューとしてクライアントに提示をする必要があるのです。裸一貫になったのに、未だ『虎の威を借る狐』とならないよう、しっかり気持ちを切り替えておかないといけないでしょう。

 あとは……そうですね、あえて違いを言うなら、フリー編集者になって変わったことは、残業代を気にしなくて良くなったことですかね。エンタメ業界は、アウトプットされる結果がすべてなので、その過程である残業時間なんてどうでもいいのですが、上場企業としてはやはり大切なチェック項目なのでした。


■交友関係

 僕は、退職前に元『ジェンコ』(アニメプロデュース会社)、現『エッグファーム』の大澤さんから、こんなアドバイスをもらっていました。

「三木さん。起業したら、すぐに本当に様々な方々が三木さんにお声がけしてくると思います。とてもありがたい手助けの提案をしてくれる人から、うさんくさくてあやしすぎる人まで、本当に様々です」

「その見極めは、もちろん大事なのですが、それより大切なことがあります。それは、声をかけてくれた人『全員』と会うことです」

「どんな出会いが自分の『これから』に役立つか、誰も分かりません。その可能性を潰せるほど、三木さんの会社は順風満帆ではない。とにかく、どんなに忙しくても全員と会いなさい」

「今は実らなくても、いつかその出会いが仕事に繋がるかもしれない。それに、あなたは社長としてど素人なんです。でも成長するまで時間は待ってくれないんだから、とにかく色んな人と会って騙されながら成長していかないと、間に合いませんよ」

 ……なるほど! 目から鱗でした。僕は不精者なので、(おかげさまで起業後様々な方からアプローチを受けましたが)全員と会うなんて考えもしなかったです。僕も引き継ぎや現在すでにある編集者としての仕事や、稼働中のメディアミックス案件だけでいっぱいいっぱいだったので、すぐに会えない方はお断りしようと思っていたのですが、すくなくともそのラインだけは生かしておくべきだったのです。さすが大澤親分だな。

「ちなみにこれは、僕の言葉じゃなくて『J.C.STAFF』のプロデューサー・松倉友二の受け売りね(笑)」

 最後の台詞がなければめっちゃカッコ良かったのに。松倉さんが凄いだけじゃん! まぁそれはさておき内容はかなり参考になりました。

 というわけで、今はできる限りたくさんの方々とお会いしている最中です。GW明けに延期させてもらっていた案件もあるので、そこも一気にと考えています! なにか楽しい出会いがあるといいな。


■周りの友人からのリアクション

 ダイジェストでお届けします!

「いつかやると思ってました(TVのインタビュー風に)」(某有名脚本家さん)

「なんでウチに来ないんだよ!」(某大手出版社の編集者)

「さあ、どの仕事から一緒にする?」(某大手出版社の編集者)

「(会社を辞めると言ったら)……徳島に帰って市長に立候補でもするんですか?」(某有名作家さん)

「なんか、普通すぎてつまんないですね」(某アニメ会社の宣伝担当)

「(起業したと聞いて)地獄の一丁目にようこそ?」(某ベンチャー企業の社長さん)

「株のことなら相談に乗るわよ?」(某IT企業の部長さん)

「三木さん、酒飲むのにストレートエッジって嘘じゃないですか」(某有名ゲーム会社の宣伝担当)

 ……なんかみんな、あまりに多種多様なリアクションすぎて、もうなんかわけわからん。「なんか、普通すぎてつまんないですね」とか、じゃあどうしろっていうんだよ! とにかく一生の想い出になりました。これ、当人が読むと、自分のことだとおそらく分かると思います。


■4月の会社収支

 会社の銀行口座からどんどんお金が出ていく様をみていると恐ろしいです。すでに資本金から数百万円使い潰したよ\(^0^;)/

『私の累積赤字は200万円です』。

(↑これ、フリーザの戦闘力五十三万ですの台詞の発音で再生してください)

 というのも、企業間やりとりは大抵、その月にした仕事の成果(対価)は翌月払いになりますから、4月は無収入になるのです。

ざっくりですが、


アウトゴー(支出):登記内容変更に伴う登録免許税、顧問弁護士料、税理士代、経理アウトソーシング代(コンサル料込み)、固定電話代、その他光熱費、家賃、役員報酬(自分の給料)、取引先相手の昇進祝いのお花代etc...

インカム(収入):無し!!!


 来月からは入金があるはず! なのですが、やはり無収入かつ大金出費というのは精神的にクるものがありまして、これやっべえぞ……と思っていたそのときです!!

 …

 ……

 ………

 …………なんと、

 noteならではの「このクリエイターをサポート」機能によって、1300円もダッシュボードにチャージされてる!?

 なんで!? 見たとき超ビックリしました。なぜみんな、こんなコラムに、あなたたちのとても大切なお金を送ってくれるのか!?! コラムはタダですよ!?

 そのマインドが理解出来ていないのが正直なところなのですが、ただ事実としては、この今はnoteにプールされているお金がウチの法人口座に入金されるとどうなるかというと……

 そうです! 4月には間に合わないのですが、『我が社ストレートエッジの初収入』は、noteの皆様方の支援金1300円です!

 めっちゃ嬉しい! 初クライアントがnoteの皆様になるとは、全く想像すらしてませんでした。

 そもそもこのシステムを知らなかったので申し訳ないのですがとにかく! ご支援いただいた皆様、ありがとうございました!!

 ……ですが! 大事なお伝えごとがあります。このコラムは無料マガジンとして、自由に閲覧し、自由に読み飛ばし、自由に文句を言って、貶したり褒めたり、好き勝手にネタにされるべきものです。

 なので、ご支援いただいた皆様、大変感謝しておりますが、これからはお気持ち『だけ』をありがたく戴きます。今後はお気遣い無く、超ヒマなときに読み飛ばす勢いでお気軽に読んでもらい、そしてすぐ忘れる、というレベルのものとして考えてください。物理的支援は不要です! 貴重なお金は、是非電撃文庫を買うときにつかってほしいなぁ~チラチラ(おい)。

 とにかく! 僕は大丈夫ですので! お気遣い無くでよろしくお願いいたします! 

 ※さらに余談ですが、このnoteの4月のPV数は全部で86000PVでした! 皆様ありがとうございました!!


■今回の『ストレートフォト』

 は、今から3年前、リーブ21さんと『俺の妹』がコラボをして、生まれた商品。題して『俺の妹が髪に良いシャンプー/コンディショナーを使っていないわけがない』です。言ってて自分でカオスになりました(笑)。

■『ストレートニュース』

 すみません! これを読んでいただいている皆様にご相談です。ブログ書き続けていると絶対にネタが枯渇するので、心優しい閲覧者の皆様、質問とかいろいろ送ってください。それに答える形で記事を書いていきたいと思ってまして……!! 罵倒・糾弾・誹謗中傷も大歓迎です!! ヘイトを浴びるとなんか気持ちいいよね。よろしくお願いいたしますm(_ _)m




この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

37

三木一馬

エージェント会社ストレートエッジのマガジン

コメント8件

このシャンプーとコンディショナー欲しい。
三木さんは仕事の合い間にさまざまな映画や小説などを鑑賞されていますが、その作品をどのように選んでいるのか知りたいです。賞をとったものから選んでいるのか、ランキングから見つけたものなのか、知り合いのオススメからなのか・・・ぜひ参考にしたいです
回答、コラムに書かせていただきました、ありがとうございました!
はじめまして。
創作業の末端で働かせて頂いている者ですが、以前よりエージェント業が日本でも根付けば作家はもっと楽ができるのに! と考えていたので、三木さんとその活動にはひじょーに期待&注目しています。頑張ってください!
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。