エージェント会社ストレートエッジコラム第七回『会社の作り方2』


『会社の作り方2』

定款をつくるところまで進んだ会社設立作業。それまでもロリ夢中じゃなかった五里霧中状態だったにもかかわらず、これからもサッパリわからないことだらけでした。

でもそんなときこそインターネット。自分は、会社設立にこのサイトを参考にしました。

http://inqup.com/

ここによると、「定款の作成と認証」の次は、法務局に行って登記書類を申請すれば良いようです。「会社を登記する」ってたまに雑誌とかで書かれていますし、「登記情報を照会する」とかカバチタレとかで聞いたことあります。

これまた上記サイトで見よう見まねで登記書類をつくり、法務局に申請にいきました。最初、間違えて管轄の出張所ではないところに行って(登記する区によって、申請する出張所が異なるのです)、行ったり来たりの往復で結局一日潰れてしまったりと、「この時間があったら、原稿二本読めて打ち合わせ一件やれたなぁ……」と初心者によるタイムロスをかなり喰らってしまいました。二社目を立ち上げるときは、もうすこしスムーズにできるはずです。これで今の会社が倒産しても安心安心。


いざ正しい出張所にたどり着いたとき、大問題が発生しました。なんと、「定款」の記述が間違っていたのです。

公証役場という、「定款が正しいかどうか」を確認してくれる機関で五万円かけて承認をうけていたにもかかわらず、一部に齟齬があり、このままでは会社を登記出来ない事態になりかけました。

定款を修正するには、もう一度管轄の公証役場に行って見てもらって、また法務局の出張所に戻って……とまた一日仕事だよ!と本当に苦労しました。

専門の行政書士さんなどにチェックしてもらっていたらこのようなことはないのでしょうが……「なんでも自分一人で一回やってみる」とこんなに大変とは……しかし、この経験ができたからこそ、大変さも知ることができたのだとポジティブに考えます。

そして、会社は登記するだけでは駄目です。このあとは、税務署や都道府県に開業の届け出を行い、税金を払うための登録もしないといけません。さらに、銀行に行って口座をつくらないとそもそも商売ができませんし、会社をやめたので健康保険と年金にも入り直さねばなりません。

これらの工程、ほぼすべて履歴事項全部証明書といった、会社の設立証明書や、会社の印鑑証明書などが必要になって、とにかく面倒臭い!!!

くそう……文庫編集作業が恋しいよう……はやく原稿の打ち合わせしたいよう……と挫けそうになってしまいました。

そもそも定款作成時には、「オフィス」も借りなければいけません。これについては、自分は知り合いの事務所スペースを間借りしているのでそこだけはまだ助かりました。

ですがとにかく! 公証役場、法務局、税務署、都税事務所、税理士事務所、弁護士事務所、年金事務所……人生で初めていくところばかりで、如何にサラリーマンという職業が箱庭だったかがわかりました……作家さんやイラストレーターさんは個人事業主ですから、むしろ彼らのほうが詳しいのでしょうね、反省しきりの「はじめてのかいしゃせつりつ」でした……。

しかも営業開始後も、登記を適当にやってしまってまた変更申請を法務局と税務署と都税事務所と銀行と年金事務所に……ってめんどくせぇえええ。みんな、適当に決算日を決めるとあとが大変だから要注意だ!

時間もそうだけど、「登録免許税」で変更に1~3万円かかるんですよね……僕の会社の資本金がみるみる不必要な出費で消えていきました。

一番楽に上手くいったのは、ロゴの発注やマスコットキャラクターの制作依頼です。だってこれいつもの仕事だし。

しっかり頑張って行きたいと思います……!


以下、ご質問いただいたことへの回答です。


●フォルトさん

> 素朴な質問になりますが、三木さんがコラムの発信場所としてnoteを選んだことに何か理由はあるでしょうか。

これで仲良くなったから!です。



●編集者見習いさん

> こんにちは。私は三木さんに憧れて、三木さんが以前所属されていらっしゃったK社に入社しました。今は漫画の編集職をしています。未来の編集者には媒体を編集する力も必要になるというご意見、とても納得しました。人間性だけで作家さんがついてきてくれるわけもなく、数字と先見性、そして媒体を編集する力が必要だと痛感しております。作家さんが編集者を選ぶ時代に備えて、自分自身に色々な付加価値をつけようと思いました。貴重なnote、ありがとうございます。これからも楽しみにしております。

→それは光栄です! エレベーターで会うかもしれませんね。K社は今の体質から抜け出して、時代のメディア戦略をとるべく頑張っている方々がたくさんいますから、きっと学ぶことがたくさんあると思います。どこの母体の漫画雑誌かわかりませんが、電撃文庫やメディアワークス文庫のコミカライズもよろしくおねがいしますw


●ケイトさん

> 先日、面白ければなんでもあり 発行累計6000万部――とある編集の仕事目録(ライフワーク)を読ませて頂きました。是非この感想を三木さんに送りたいのですが、送り先は電撃文庫さんで宜しいのでしょうか?

→電撃文庫編集部で大丈夫です~! ありがたく読ませていただきます!


●pick_up_paperさん

> 質問です。今回エージェント契約をしてる方々は作家先生ばかりだと思います。ただ、三木さんの本を読んで感じたのですが、イラストレータ、絵師の方々も重要なファクターだと考えておられると思います。継続してる作品の本の表紙絵は特に問題ないと思うのですが、今後新作なのど立ち上げる時に三木さんはどうように表紙絵などのイラストと関わっていくのか関心を持ちました。また、絵師さんのマネージメントなのども将来的に考えてるいるのか興味を持ってます。

→これはとても良い質問です。イラストレーターさんは、基本的にはエージェント契約を結びません。本来であれば、様々な業界と会社と仕事をしてなんぼのイラストレーターさんのほうが、代理人の必要性が高いはずなのですが、イラストレーターさんはその仕事の仕組み上、マネージャー的な人間を雇えるほど収入は高くないですし、安定していないのです。加え、本業を別にお持ちの方も多く、どちらかといえば「趣味の延長線上」「面白そうな依頼だけ仕事をしたい」という考えの方も少なくありません。ですから、イラストレーターさんとは、これからも通常の取引先のお一人としてやり取りをしていくと思います。ストレートエッジで登録しているイラストレーターさんについても、abecさんはあくまで「この名義のみ」の窓口代行で、石田可奈さんはリーガル面(契約面)の代行のみとなっているのはそういう理由です。


■今日のストレートフォト

2016年3月に、アメリカのシアトルで行われたアニメイベント『SAKURA-con』に、『ソードアート・オンライン』チームで参加したときイラストレーターのabecさんが描いた色紙です。シノンさんです。


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