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おまわりさんのモノサシ

プロローグ

エピローグ

今でも、警察学校を卒業し、緊張した面持ちで赴任先へ向かう光景を思い出す。
初めて会う上司に対して失礼があってはいけないと、警察学校特有の大声で挨拶をして怒鳴られる。
 「そんな大声で挨拶せんでええ。そんなんは学校でだけや。」と。
 ようやく警察署に着き、自分の配属交番が告げられる。
交番で何をするかは一通り学校で教わってはいるものの、机の上と現実では大きく違う。
しかも、扱う相手は生身の人間。
さあ、俺、どうする・・・?

警察学校を卒業したばかりの警察官が最初に配置されるのは地域課です。
そう、いわゆる「おまわりさん」。
警察官の中でも最も人数比率の高い部署です。
こんな理由から、地域課の警察官の仕事が一番楽で、簡単と誤解する人もいるようですが、それは大きな間違いです。
確かに人数は多い。
けれども、最も取り扱う内容が多く、最も危険な部署が地域警察官なのです。

ここで私自身について少し触れておきます。
私は現在53歳で、今年警察を退職したばかりの者です。
警察人生の大半を「刑事」特に「マル暴」として勤めてきました。
「えっ、53歳で退職って、なんか悪いことして辞めさせられたんちゃうん?」
って誤解を持たれるかもしれませんが、決して懲戒免職になったわけではありません。(笑)
自分が目標としていた刑事像をクリアしたので、新たなステージとして違う生き方を選択しただけのことです。
これから書く記事は、実際に私が地域課長をしている時に、若手警察官に教養していた内容です。
ただ、警察を退職したとは言え、

職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない、その職を退いた後も、また、同様とする。

地方公務員法第34条(秘密を守る義務)

という「守秘義務」といったお堅い法律があり、具体的な事件や事案について公表することはできませんので、あくまでよくある事例をもとに、
”事案に対してどのように考えていけばいいのか”
というステップを説明したいと思います。

それと、たいへん申し訳ないのですが、
無料でこの記事を書いてしまうと、巷の悪い人たちが「ふむふむ警察はこう考えるのか。」って参考にしようとするかもしれませんので、有料公開にしようと考えています。(価格以上の内容が詰まっていると自画自賛しています。)
あくまで地域警察官としての事案処理に関する考え方なので、いくら読んでも悪い人たちの参考にはならないのですが・・・。

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