見出し画像

Up Hill Run Training...

定期的にチェックしているwebコンテンツである「Triathlete.com」でUp Hill Run Training(上り坂ラントレーニング)に関する記事「One-Hour Workout: 10x Quick Hills For Run Strength」が投稿されていました。

【One-Hour Workout: 10x Quick Hills For Run Strength】       Warm-up:20 minutes easy jog. 3x(30 seconds of lunges, 30 seconds walk), 2 minutes jog

Main Set:10x(45–60 seconds hard uphill at 5K effort, 60 seconds walk/jog downhill recover)

Cool-down:15 minutes easy jog

この記事の詳細はhttp://triathlon.competitor.com/2016/08/training/one-hour-workout-10x-quick-hills-for-run-strength_78504を参照して下さい。

個人的見解ですが、Up Hill Run Trainingは非常に有効なランニングトレーニングである一方で、上記記事のタイトル「One-Hour Workout: 10x Quick Hills For Run Strength」で示されている「ランニングに必要な筋力の強化」としては不十分であると考えています。

●長距離走競技選手のUp Hill Run Trainingの例:

ちなみにですが、以前、ランナーのサポートをしていた時には横浜にある根岸森林公園を利用してUp Hill Run Trainingを実施していました。

根岸森林公園オフィシャルサイト より

さて、Up Hill Runningは、坂の勾配設定や走速度設定によって強化すべき(強化出来る)体力要素は異なるといえるものの基本的にはスピード筋力、ストライド長を向上させるためのスピードトレーニング(スプリントトレーニング)として用いられ、簡単にいえばスプリント能力、特に加速能力を向上させるトレーニングであるといえますが、スピード筋力の向上、ストライド長の改善といったスプリント能力、特に加速能力に関係する要素は、短距離走競技選手のみならず、長距離走競技選手においても重要な要素ではないかと考えられます。

なぜなら、スピード筋力やストライド長といったスプリント能力、特に加速能力に関係する要素は、長距離走競技におけるレース中のチェンジオブペースやレース後半のスパート(走速度の増大、すなわち加速が必要な状況)に関係することが推察され、最近の長距離走競技にみられる高速レース化、激しいペースの上げ下げに対応する上で重要な要素になり得るのではないかと考えられるからです。

いずれにしても、「走る」という身体活動を考えた時、より速く走るためには、いい換えれば、より大きな推進力を得るためには強く下肢を伸展することが必要となり、下肢伸展動作に関わる下肢の三関節(股関節、膝関節、足関節)の筋(群)を強化することが極めて重要であるといえます。

そして、下肢三関節の筋群の特性等を考慮すれば一関節筋であり筋に対する腱の比率が低い(筋に対して腱が短い)大殿筋が推進力を得るための最大の動力源として働くと考えられることから、スプリント、長距離走に関わらず、より速く走る上で大殿筋の強化は不可欠であると考えることが出来ます。

また、ハムストリングスは大殿筋が産み出した力を伝達する役割を担っていると考えられますので、大殿筋に劣らぬ筋力と膝関節を十分に伸展させる(膝関節の伸展が不十分であると力の伝達が損なわれる可能性があります。)ための柔軟性が必要であると考えられます(ハムストリングスは二関節筋であるが故に伸展性が乏しいといわれていますので、筋力に合わせて柔軟性を十分に向上させることが特に重要です。)。

これらのことから、スプリント、長距離走に関わらず、より速く走るためには大殿筋の筋力とハムストリングスの筋力および柔軟性の向上が不可欠であるといえる訳ですが、速く走るために必要な筋力を強化するトレーニングとして、ウエイトトレーニングが日常にない長距離競技選手にとってUp Hill Run Trainingが有効な手段になると考えられているのではないでしょうか。(長距離走競技者はウエイトトレーニングは不必要であるというという考えが根強く、Up Hill Run Trainingをウエイトトレーニングの代わりにしようと考えているかもしれません。

そのことは冒頭で紹介した記事のタイトル「10x Quick Hills For Run Strength」から、うかがい知ることが出来ますが、Up Hill Run Training(だけ)では十分な筋力強化が図れるとはいえません。

なぜなら、筋力の強化という点で考えればウエイトトレーニングに勝るトレーニングはないといえるからです。

そして、Up Hill Run Trainingは通常のランニングトレーニングに比べれば負荷レベルが高い運動であるといえますので、然るべき筋力と柔軟性がなければ怪我に結びつく可能性もありますし、本来、Up Hill Run Trainingを実施することによって期待出来る下肢伸展動作による推進力の向上という効果が得られない可能性があります。

要はGS Performanceの加賀コーチが日頃から提言する「無いものは使えない」ということであり、大殿筋やハムストリングスの(そもそもの)筋力がなければ、上り坂を効率よく駆け上がる動作が出来ず、そのような状態でUp Hill Run Trainingを実施したところで本来の効果が得られない可能性が高いということです。

いい換えれば、Up Hill Run Trainingは、ウエイトトレーニングによって養った基礎的な筋力と柔軟性を競技パフォーマンスへと転移させるためのトレーニングであると考えることが出来る訳です。

従って、まずは何よりしっかりとウエイトトレーニングを実施し、然るべき筋力と柔軟性を養った上でUp Hill Run Trainingを実施することが重要であるといえるでしょう。

ところで、速く走るために必要な下肢筋群の筋力(および柔軟性)を向上させるためには、どのようなウエイトトレーニングが必要なのかといえば、Rev. Lunge(リバースランジ)、RDL(ルーマニアンデッドリフト)、DL(デッドリフト)が挙げられますが(どのような運動であるかは以下のリンクより確認して下さい。)、ただ単に見よう見まねで取り組んでも効果が得られないばかりか、怪我をする可能性もありますので必ずトレーニング指導者の下で実施するようにして下さい。

そして、これらのウエイトトレーニングの指導を受けるには、GS Performanceの各種セミナーに参加するか、GS Performanceの加賀コーチのパーソナルトレーニング指導を受けることをお勧め致します。

また、GS Performanceではnote有料コンテンツにてRL,RDL,DLを紹介していますので、こちらのコンテンツの購読をお勧め致します!

●GS Performance noteコンテンツ:https://note.mu/gsperformance

●GS Performanceへのお問い合わせ:http://gsperformance.tokyo/contact/

よろしければサポートをお願いします! いただいたサポートはクリエーターとしての活動費に使わせて頂きます!!