フルマラソン挑戦とウエイトトレーニングの関係

2018-2019年のフルマラソンシーズンも終結を迎え来シーズンに向けての準備を開始している市民ランナーも多いのではないでしょうか!?また、来シーズンこそはフルマラソンに挑戦してみようと考え、その準備を進めている市民ランナーもいらっしゃるかと思います。

そこで、今回は市民ランナーがフルマラソンに挑戦する上で必要とすべき体力要素について改めて考察し、フルマラソン挑戦とウエイトトレーニングの関係について考察してみます。

●フルマラソンに必要な持久力は?

フルマラソンは持久系スポーツですので、フルマラソンに挑戦するために多くの市民ランナーが、まず最初に思い浮かべるのは「持久力を向上させる」「心肺機能を向上させる」ことであると推察されますが、古くから多くの先行研究によって持久力を示す指標である最大酸素摂取量とフルマラソン競技パフォーマンスとの間には有意な関係性があることが報告されていますので、フルマラソンに挑戦する上で持久力を高めること、いい換えると最大酸素摂取量を高めることが重要であるということについては疑いの余地はありません。

では、実際にフルマラソンを完走するためには、どの程度の持久力、すなわち最大酸素摂取量が必要なのでしょうか?

実は、最大酸素摂取量が把握できればFosterとDanielsの推定式(以下参照)を使用しフルマラソンの推定タイムを算出することができます。

フルマラソンのタイム(分)=387.3-3.45×最大酸素摂取量(ml/kg/min)

参考:Foster, C. and Daniels, J.; Running by the numbers. Runner's World ,10,14-17,1975

この推定式を用いれば、フルマラソンのタイムを推定できると共に、フルマラソンを完走するためには、どの程度の持久力=最大酸素摂取量が必要であるか考察することができるといえます。

例えば、最大酸素摂取量が50ml/kg/minのランナーの推定タイムは

387.3-3.45x50=214.8分(約3時間34分)


ということになりますが・・・

厚労省によって発表されている「運動所要量・運動指針の策定検討会による健康づくりのための運動基準2006」において、健康維持増進に必要とすべき持久力の目安として示されている「健康づくりのための最大酸素摂取量の基準値(ml/kg/min)」を基に上述した推定式を用いてフルマラソンのタイムを推定すると

20代男性:約4時間9分
20代女性:約4時間33分
30代男性:約4時間16分
30代女性:約4時間36分
40代男性:約4時間19分
40代女性:約4時間40分
50代男性:4時間30分
50代女性:約4時間47分
60代男性:約4時間33分
60代女性:約4時間50分

ということになり、60代でも約4時間30分から5時間程度のタイムでフルマラソンを完走できるということになります。

そして、全日本マラソンランキングを参照してみると、男性ランナーの平均的なタイムは4時間30分程度女性ランナーの平均的なタイムは5時間程度であることがおおよそ理解できる訳ですが、上記の推定タイムから考えればフルマラソンに挑戦するための特別なトレーニング(持久的トレーニング)を実施しなくても、健康維持増進のために日々ウォーキングやジョギングをする程度で(健康増進に必要とされる持久力=最大酸素摂取量で)十分に(平均的なタイムで)フルマラソンは完走できるといっても過言ではないのです。

これらのことから考えると(市民ランナーが)フルマラソンに挑戦するため、フルマラソンを完走するために、持久力を高めること=最大酸素摂取量を高めることは重要であるといえますが、極めて高いレベルの持久力=最大酸素摂取量は必要としないといえることができます。

しかしながら、多くのランナーはフルマラソン挑戦において上述した各年代の推定タイムを下回ったり、膝の痛みといった苦い経験をし、それらの原因は持久力が不足しているからだと考えているのではないでしょうか?

●市民ランナーがフルマラソンを完走するために必要な要素とは?

実は、市民ランナーがフルマラソンを完走するためには持久力=最大酸素摂取量、以上に別の要素が大きく関係している可能性があると考えられます。

フルマラソン競技成績に影響を及ぼす要素、要因としては、コースレイアウト(特に高低差、等)、レース当日の気象条件、レース当日のランナーの体調やエネルギー源(グリコーゲン=糖質)の貯蔵状態、など様々な要素、要因が挙げられますが、特にマラソンビギナーがフルマラソンを完走するには下半身の筋力の良し悪しが大きく影響するのではないかと考えられるのです。

先行研究ではマラソンレース後に下半身の筋力、筋パワーが低下することが報告されており、その原因は筋グリコーゲンの枯渇や筋損傷、等が考えられますが、いずれにしてもレース後半になれば下半身の筋力、筋パワーの低下がみられ、それに伴いランニングスピードが低下することが予想されると共に下半身の筋の痛みや関節の痛みを感じ走り続けるのが困難になることが予想されます。

実際に多くのランナーがフルマラソンレース後半に足が痛い、膝が痛い、腰が痛い、脚が動かない、といった経験をしているといっても過言ではありません。そして、これらのトラブルは気象条件や体調が原因の場合もありますが、レース後半の下半身の筋力低下に伴い接地衝撃に耐えきれなくなったことが原因であるとも考えられます。

なぜなら、先行研究によって中高年ランナーは若年ランナーより最大下ランニング中のピークインパクトフォース(地面反力鉛直成分第1ピーク)が増大することが示され、これは加齢に伴う筋機能の低下、すなわち、筋力の低下による衝撃吸収力の低下によるものであると示唆されており、ランニング動作におけるピークインパクトフォースの増大はランニング障害(特に接地時の衝撃に関連するランニング障害である疲労骨折、足底筋膜炎、等)のリスクになり得ることが多くの先行研究によって明らかにされていることから考えれば、フルマラソン後半で経験する脚のトラブルは下半身の筋力の良し悪しが大きく影響しているといえ、市民ランナーにとって下半身の筋力の良し悪しがフルマラソン完走に大きく関係していると考えられるからです。

参考:中高年ランナーとウエイトトレーニング

従って、フルマラソンビギナーがフルマラソンを完走する上でより重要な要素は下半身の筋力であるといえ、下半身の筋力トレーニング(ウエイトトレーニング)によって筋力ならびに筋-腱組織、関節組織の強さを獲得しておく必要であるといえるのです。

これらのことから、来シーズンにフルマラソンに挑戦しようと考え準備を進めている市民ランナーは日頃のランニングはもとより是非ともウエイトトレーニングに取り組むことをお勧め致します!

追記:こちらの関連記事も参照下さい!!


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野口克彦

マラソン/トライアスロン

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