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Shutterstock用にEPSを4MP以上にリサイズする Illustrator スクリプト (ドロップレット/JavaScript)

ストックフォトサービスShutterstockにベクター画像(EPS)を寄稿する際,幅×高さで算出する寸法が4MP(メガピクセル)以上必要になります。

どれくらいの大きさかと言うと,
幅2,000ピクセル × 高さ2,000ピクセル = 4,000,000ピクセル = 4MP ,ミリメートル換算では 幅700.56mm × 高さ700.56mm くらいです。ストックイラストをそこまで大きく描く方は少ないでしょう。さらに言えば上限もあり,大きさは25MPです。

つまり審査に通すため,各EPSデータの大きさが4MP以上25MP未満になるよう拡大率を計算し,実際に拡大・縮小して保存するという作業が山のように発生するということです。

今回紹介するのは,まさにそのためのIllustratorスクリプトです。


スクリプトのあらまし

Shutterstockアップロードのため,バッチでEPSのアートボードのサイズを4メガピクセル以上25メガピクセル未満にリサイズするIllustrator用スクリプト,minimumArea 2.1.0です。元のファイルには手を加えず,編集後のEPSファイルは新規フォルダにまとめて保存します。

便宜上スクリプトと呼んでいますが,実際はElectronと言う技術で作られたmacOS・Windows両対応のマルチプラットフォームアプリケーションです。インストーラはそれぞれのOS用に分かれ,2つあります。

macOS用(app)
• macOS 10.12以上に対応。macOS 10.12/10.14/10.15(Intel),11.2(Apple Silicon)で動作を確認。Electronは10.10でも動作するので,そこまでは対応の可能性あり
• Illustrator CS6,またはそれ以上のIllustratorに対応。CS6,CC2015.3〜2021で動作を確認

※macOS 10.13は検証環境が用意できなかったため不明です。ただ10.12と10.14両方で正常動作を確認したので,おそらくは動くでしょう。

Windows用(exe)
• Windows 10に対応。Windows 10で動作を確認。ElectronはWindows 7でも動作するので,そこまでは対応の可能性あり
• Illustrator CS6以上に対応。CS6,CC2019〜2021で動作を確認

使いかた

ドロップレットにファイルをドロップする,あるいはスクリプトを実行し,ファイル選択ダイアログを開くなどして対象のEPSファイルを指定するだけです。ファイルは複数まとめて渡せます。初期設定ではスクリプトは下記のように働きます。

1 ファイルを丸ごと新規フォルダに複製し,Illustratorで開く(元ファイルは変更されない)
2 アートボードを基準にして幅と高さを測り,規定のサイズ以上になるよう拡大率を出す
3 大きさが基準に満たないもののみ,実際にリサイズする
4 元ファイルと同じオプションで保存する

動作は後述する環境設定で変更できます。

動画で見たい

インストール方法

macOS用にはdmgファイルで,Windows用にはexeファイルでインストーラを用意してあります。ダウンロードして開けば指示が出るので,それに従って進めればOKです。

インストールが済んだらminimumAreaアプリを開いてみてください。ウインドウが出てきたら成功しています。

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起動しない/動かない

セキュリティの関係でOSやセキュリティソフトが動作をブロックすることがあります。いくつか例を挙げますのでご対応をお願いします。【解決】Shutterstock用にEPSをリサイズしたい!に,より詳しく情報を書きましたのでそちらもどうぞ。

macOS
• インターネットからダウンロードしてきた,開発者未登録のアプリケーションはユーザーが起動を許可する必要があります。右クリックして,コンテクストメニューから[開く]を選ぶと簡単にできます。

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• minimumArea.appがIllustratorを利用する許可を求められることがあります。システム環境設定 > セキュリティとプライバシー > プライバシー > オートメーション と辿り,minimumAreaの項目のAdobe Illustratorにチェックを入れてください。

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Windows
• セキュリティソフトがminimumArea内蔵のexec.exeをウイルスとみなし,隔離することがあります。exec.exeを復元して元の場所に戻し,ウイルス検出対象から外す設定に変更してください。

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仕様

• 最低限のサイズは4.5MPに設定しました。4MPを少し超えるだけだとよく不合格になるからです。同じように最大限サイズは24.5MPで少し余裕を持たせてあります。

• このスクリプトではアートボードを基準としてサイズを計算します。Shutterstockの審査ではバウンディングボックスを基準にするので,オブジェクトとアートボードの間に余白がある場合はアートボードと同じ寸法の塗り・線なしの四角形を配置してください。

• スクリプトは拡大処理をする前に自動でレイヤー/オブジェクトのロックを解除し,非表示を表示に変更します。

• 拡大処理は手動でするときと同じように,すべてを選択,拡大・縮小ツールで拡大,という順序で進めます。不透明マスクがついてこないなど,スクリプトにありがちなトラブルを避けられます。また,線幅や効果,パターン,ライブコーナーなどは比率に応じて大きくします。ただし,Photoshop効果のぼかし(ガウス)など,リサイズに追従しない効果もあるので注意してください。

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環境設定

アプリを起動した状態で,メニューのPreferencesを選ぶと環境設定画面が開けます。ショートカットはmacOSではcommand+K,Windowsではctrl+Kです。環境設定では保存方法の指定・自動編集処理の追加・表示言語の変更などができます。

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保存オプション
おもに保存方法を指定する項目です。

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上書き保存の場合,ファイルを丸ごと新規フォルダに複製し,サイズや編集設定の影響で書類に変更がある場合のみ元ファイルと同設定で上書き保存します。こちらを選んだ場合,それより下の保存オプションは無視されます。

自由に保存オプションが選べるうえ動作が高速です。ただし,審査にアップロードする際のエラー[アートボードを使用]の設定を使用してベクター画像が保存されていますが出るかたは再保存しなくてはいけません。出ない場合はこちらがおすすめです。

別名で保存
の場合,指定した設定ですべてのファイルを新規フォルダに別名保存します。動きが遅くなりますが[アートボードを使用]エラーは防げます。バージョン・プレビュー・オプションはIllustratorのEPS保存ダイアログと同じ意味なので,適宜指定してください。

編集
書類ごとに自動で実行する編集処理の内容と,そのON/OFFを指定する項目です。

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アピアランスの分割がONの場合,書類上のオブジェクトを全選択した状態で[オブジェクト->アピアランスを分割]を実行します。分割できるアピアランスがある場合はただのオブジェクトに変換され,ない場合は何も起こりません。アピアランスが残っていることが原因の不合格を避けられるのがメリットです。

ドロップシャドウや光彩などのラスター効果は画像化されるので注意してください。それはそれで不合格の一因となります。

アートボードサイズの四角形を自動作成がONの場合,アートボードと同じサイズで塗り・線なしの四角形を自動作成します。対象のレイヤーは次の四角形配置レイヤーの設定で決まります。

minimumAreaは規定サイズかどうかをアートボード基準で計算しますが,Shutterstockの審査ではオブジェクトのバウンディングボックスを基準にします。そのためオブジェクトとアートボードの間に余白がある場合は,アートボードサイズの四角形が必要です。ONにしておけば手作業から解放されるうえ,微妙にサイズや位置がずれるミスを防げます。

[アートボードサイズの四角形を自動作成]がONのとき,四角形配置レイヤーで設定した名前のレイヤーに四角形が配置されます。もし該当レイヤーがなければ,書類の再背面に新規レイヤーが追加されます。

Language
環境設定画面の言語を変更できます。Japanese(日本語)とEnglish(英語)から選んでください。初期設定は日本語です。この項目はアプリケーションを再起動したときに適用されます。

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もっと詳しい説明

トラブルシューティングや環境設定など,詳細はリンク先を参照してください。
【解決】Shutterstock用にEPSをリサイズしたい!

旧バージョンの情報はこちらです。
【履歴】minimumArea 1.3.0

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macOS用ドロップレット / Windows用ドロップレット / JavaScript を販売しています。ぜひ購入していただき,下のリンクからダウンロードしてください。バージョン2.1.0と1.3.0がありますが,今のところどちらもダウンロードできます。

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