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悩みと流血

私にはスケートボードをしている友人がいる。
その友人はスケートボードを溺愛しており、スケボーでなら死んでも良いと言うくらいだ。何か1つのことに夢中になれる人に憧れていた私もスケボーを始めてみた。
友人の熱意に充てられて始めたが、これがとても面白い。

練習は裏切らず、時間は掛かれどやればやるほど上達する。
全力でスピードをつけてのオーリーやステア(段差)に挑戦する時の危険な香りは、平凡な日常を送っている私の心が燃え上がる数少ない瞬間である。

死んでも良いと言える程ではないが、私もすっかりスケボーに夢中になっていた。

始めて2年がたった最近、急にスケボーへの熱意が下がっていた。
技の精度、数は始めた頃と比べると桁違いになり、中級者といえるくらいにはなっていた。
しかし、胸の内側から燃え上がる何かを感じなくなっていた。

始めた頃はプロの動画を見て、胸が熱くなり、勢いそのままに一人で家を飛び出して練習に行っていた。
最近はなぜだか心が燃えないし、挑戦したい技もスポットも見つからない。

そんな虚しい気を持ちながら、昨夜ダウンヒルに出た。
途中、普段ならパワースライドをするくらいのスピードの時にそれをせずに屈んでスピードを出してみた。
スピードに乗りすぎたので焦って、パワースライドをしたら体は板から放り出され、私は地面に転がっていた。
板は欠け、肘と膝からは血が流れ出ていた。

けどそんな痛みとは裏腹に心が軽くなっていた。
なんだか、急に悩んでいたことが馬鹿らしくなって笑っていた。
血と一緒に悩みも流れ出ていったみたいだった。

心の燃焼材は、心に何かをため込んで作るのでは無く、体から何かを吐き出したときにそれと引き換えに得ることができたような気がする。
今回私が得るきっかけになったのは痛み、血だったがそれは大声を出すことでも、全力で走ることでも何でも良いんだろう。

なんだかまとまりのない文章になってしまったが、そんなことは気にせずにとりあえず今日も欠けた板を持って滑りに行こうと思う。

夢中って楽しい。

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