ポトフ生活をはじめた話

残高が小学生並みになったので、食生活がままならなくなり、このままでは緩やかに死を迎える状態になった為、生きよう、と決意しました。

その場合の選択肢は?

1・犯罪行為に手を染める

2・自炊する

3・ゴミを喰う

仕方ありませんね、2を選択します。

しかし俺のステータスは、調理スキル:見習いLv1、なため自炊といっても、うどんを茹でる、パスタを茹でる、そばを茹でる、などといった茹で方面の情報しか持ち合わせていないので、自動的に「作り置き」といった、古来より人類が一生懸命発明してきた食料確保の手段に対する知識がゼロの状態にある。

やはり緩やかな死を迎え入れるしかないのか?

やだやだ生きたい! もっと生きて面白い映画を観たいし漫画を読みたいし海外にも行って多様な人種と文化に触れて人生の幅を広げたいし、SNS上でやらかしてる人をウォッチしてせせら笑いたい! などの欲があるため、食料確保の知識を仕入れるしかありません。

幸い我が家には冷蔵庫という三種の神器のうちの一つが設置されているため、食料の保存が容易なのです。やった! 冷蔵庫は、ビールを冷やしておくためだけの機械じゃなかったんだ!

でもしかしbut、お肉も卵ももやしもすぐに賞味期限が切れてしまうのに、保存なんてなんて可能なのかしら?

といった皆さんも抱くであろう疑問も、即座に答えてくれるのがGoogle先生。

火を通せば食料物体の質が変化するため、保存が可能になる場合があります!

目からウロコですよ。

これまでお母さんが台所に立ってコンロで火を使っていた理由が理解できました。

あれは食物を温めていただけじゃなかったんだ!

ちなみに以上のことは小学生の頃に家庭科という授業で習っているはずなのですが、俺はその頃のセーブデータをうっかり消去してしまったらしく、新たにスキルとして覚え直す必要がありましたので仕方ない。

さて、というわけでインターネッツをポチポチしてるだけで新たな知識を得られる便利な時代に感謝しつつ、早速、食料保存&生存への道の始まりだ!

ネッツで「作り置き パーでも出来る」と検索した所、「ポトフ」という料理名に遭遇。

なんでも、料理工程は「煮込むだけ」らしく、これなら「茹でるだけ」とほとんど同じである。オデにも出来る!

早速食材を購入してきました。およそ1,000円です。これだけの値段で五日間食いつなげれば、ざっと計算してひと月四千円ちょっと(ざっと計算しすぎ)で生きられることになります。

しかしここで疑問が発生した。

「作成したポトフが美味しければ、五日間優勝し続けられるが、もし不味かった場合、地獄の五日間を過ごさなければならないのでは?????」

もしそうなってしまった場合、事態は深刻であり、俺自身が、自炊というミッションに対する不信感を抱いてしまう可能性がある。

そうすると、「自分で作るものは不味い。故に外食最高」という思考のみが脳内に存在することになり、やはり今後銀行口座は衰退する一方、ゆくゆくは三鷹市の畑から白菜を盗み出すという蛮行に走り、結果死刑が宣告されてしまう……という未来が確実に待っている。

死刑は勘弁願いたい。死ぬし。というわけで、そのような未来を回避するために何をすれば良いのか? 今まで自分が鑑賞してきた映画や小説、漫画を思い出すのだ。主人公たちはどうした? そう、行動したのだ! 俺もそうする!

行動=ネッ で検索。「ポトフ レシピ」

なるほど! コンソメや塩を入れれば味が出るのか!

これにより最悪の未来は回避された。おめでとう自分。

というわけでまずはジャガイモをあれしていきます。

家庭科の授業のセーブデータがないとはいえ、流石に「芽は毒」という知識は残っていたため、包丁で切り取る。

切り取りながら「あっジャガイモの芽って、目、じゃなかったんだ!」という気づきを得てまたひとつ賢くなる。

なんだよ、ジャガイモの目、って。怖い。こんなんでも大学卒業できてるので日本っていい国ですよね。

引き続き、ニンジンをあれします。

勿論ジャガイモもニンジンも一気に全部調理することはしませんよ。残しておくことにより、二期の食材費を抑えることを目的としているのです……。知恵ですよ、知、恵!

ここで豆知識。

ニンジンはジャガイモよりも皮を剥くのが簡単です!(真っ直ぐだから)

そして玉ねぎをDoします。

玉ねぎの匂いが好きすぎて、玉ねぎの芳香剤があればいいのに、などと考えながら……

で、キャベツもなんかして、全てを圧力鍋に投入します。

エリンギと鶏もも肉も仲良く混ざり合いました。

このように、多種の食材が一つに混ざりあうことにより、世界は形成されていることがよく理解できます。差別なんてなくなればいいのに。

水を入れ、圧力鍋を起動させます。

ところで圧力鍋ですが、家にあるにも関わらず、俺は恐ろしくてとても使用できませんでした。「でかいし邪魔なオブジェだな」くらいにしか思っていなかった。

何故ならボストンマラソン爆破テロで使用されていたという知識だけあったため、圧力鍋=爆弾という偏った知識を持っていたのです。皆さんも同じでは?

「果たして圧力鍋を調理に使用しても大丈夫なのか?」

という疑問を解消するため、「圧力鍋 調理」で検索すると、圧力鍋を調理で使用する結果しか出てこなかったので、安心して使用します。

火にかけてしばらくTwitterランドに没入するなどして楽しんでいた後、蓋におもりを装着していなかったことを思い出し、慌てて装着。

危ない。爆発するところだった……(偏った知識)

やがておもりが揺れながらシュンシュン鳴き出したため、火を止めに行きます。

ここで圧力鍋に対する知識が 見習いLv1 であるため、「もうおもりって取ってもいいんだっけ?」とバッドエンドルートに突入してしまい、何も考えずにおもりに手をかけ、水蒸気とともに旨味成分が蓋から溢れ出し、「うわ~~~~~爆発する~~~~~!!!!!!」とマジで死を覚悟したあとの写真が上のものになります。

爆発しなかった。

やがて鍋内の圧が下がり、「圧が下がったよ」サインが発行され、無事蓋を開けてようやく、俺の中で圧力鍋が爆弾ではなく調理器具にクラスチェンジした。

できた~~~~~~~

と、喜んでいるが、内心「水が増えている……」と焦っている。

野菜から水分が出るため、水の分量が増えることを知らなかったのだ。

早速お皿に取り分け、実食!

初めて作成した特製ポトフ、そのお味は???????

薄い!

京料理か? と思うほどの薄さ(偏見)。

こ、これを俺は五日間消費しなければならないのか? という事実に目の前が真っ暗になり、思わず鍋の中身をぶちまけたくなる衝動に駆られるが、大人なのでそういうことはせず、何が原因かを一つ一つ思い出してみると……

塩もコンソメも入れてないことに気付いたのです。

最悪の未来は回避されていなかった。というか、ネッ で検索した意味なかった。

でもまだ絶望するのは早い!

コンソメと塩を入れ、温め直すことに……

結果、優勝しました!

このように、人は絶望しても、即座に行動すれば最悪の未来を回避できることがわかりましたね?

皆さんも是非、Doしていくようにしていってください。

私から言いたいことは、以上です。

一つ加えるなら、鶏もも肉を圧力鍋にかけると、ほぼ食感がゼロになるため、圧力以後に調理したほうがいい、ということくらいでしょうか。チャオ!


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