『哭声』 感想 ※ネタバレあり。

山奥の小さな村に國村隼が引っ越してきたので村人たちがやだなあ、って怪しむ映画。

地獄を描いた地獄ムービーとして突出している。
『エクソシスト』『エンゼルハート』『ローズマリーの赤ちゃん』などに続く堂々たるオカルト映画の傑作。

何度も見直せば見直すほどに発見がある、考察サイトが盛り上がりそうなヤバイ作り。

凄すぎて人間の手には負えない。

解釈の整理を。
いくつかの解釈が可能ですね。

①日本人は悪いもの。祈祷師も悪いもので、両者はグル。白い女だけが良いもの。

②日本人は良いもの。祈祷師は悪いもの。白い女も良いもの。

③日本人は良いもの。祈祷師も良いもの。白い女が悪いもの。

④全員良いもの。

⑤全員悪いもの。

⑥日本人は良いものであったが、途中主人公に殺されたことにより、悪いものになってしまった。

⑦祈祷師は良いものであったが、ゲロを吐き、車に蛾が飛んできたことにより悪いものになってしまった。

⑧白い女は良いものであったが、主人公が殺人を犯した現場を見て、悪いものになってしまった。

他にももっと細かく分類できそうですが。

なので、個人的な解釈を載せておきます。

白い女は、村に住む、地神のような存在で、村に死が訪れていることに心痛めていた。
死の原因は、悪霊であり、その悪霊が訪れる引き金となったのは、幻覚キノコである。

村に死が訪れるのを知った日本人が村に住みつき、悪霊(幻覚キノコという解釈もできるように作られている)が死者を操り家族を殺し、ゾンビのようにうろつくことを止めるため、被害者たちの写真や持ち物を使い、お祓いをしていた。
主人公に何をしにきた? と問われても話したところで信じない、と答えたのはそういう理由。

外見は同じのよそ者である日本人を、村人たちは毛嫌う。(エルサレムに入ったキリスト)

祈祷師は悪霊を利用して金儲けをしている。

魔女狩りを行う主人公が、日本人を殺害。死体遺棄。

その現場を白い女が見ていた。

祈祷師が主人公の家に行くが、やましい存在である祈祷師は、神の力に耐えかね、鼻血とゲロを大量に発射。

ソウルへ逃げようとするが、蘇生した日本人の力により、車に蛾がぶつかり、戻らざるえなくなる。

蘇った日本人の元に神父見習いが訪れると、日本人はキリストと同じことを言う。
手のひらには聖痕がある。

神父にはその姿が悪魔に見える。
その姿を見て「神よ」と言う。

主人公は娘を探して白い女に出会う。
白い女は「今家に帰れば家族は皆殺しになるから鶏が三回鳴くまでもう少し待て」という。
白い女が悪霊であると判断した主人公は、家へ帰ってしまう。

そこで娘に殺されてしまう。

全てが終わった家に祈祷師が現れ、殺害現場を写真に撮る。
彼の車からは日本人の家にあった写真が積んである。

家族を守れなかった父親の顔のアップで映画は終わる。

なぜ神父には日本人の姿が悪魔に見えたか、というのはセリフで日本人が、「お前がそう思ってるならそう見えるのだろう」というように言っている為、現実にあの姿になったかどうかはわかりません。
最後に神父見習いが「神よ」というのも、神様に助けを乞うてるのか、それとも日本人が神だと確信したのか、わからないままです。

俺の解釈としては、

日本人は初めは良い人だったのだけれど、主人公に殺されたことにより、悪魔が乗り移り蘇った、のではないかという思いです。
悪魔の手のひらに聖痕があったのも、神父見習いに見せる為に、悪魔が作り上げた嘘だったと。
むしろ、初めの日本人は、殺されるまでは、無償で村の死を安らかにさせる、超良い人だったのではないかと。
ですが彼は暴走した村人たちによってゴミのように殺されて捨てられました。

そこに目をつけたのが、悪霊だったのではないか、と。

もちろん正解ではないと思いますし、この作品に正解などないと思います。

祈祷師が何故写真を持っていたのかは、日本人とグルだったのかもしれないし、彼の家から勝手に盗み出したかもわかりません。

どの道ラストで、被害者の家を撮影してましたが、あれは恐らく、あのあと娘がゾンビ化するのを祓う必要があるからではないかと。病院で犯人の1人が突然暴れて死んだのは、あれは日本人がお祓いしたからだと思いますし。

見れば見るほどに解釈が変わり、新たな側面がいくつも見えてくるこんな恐ろしい映画は近年知りません。

エクソシストものとしてキチンと前例に習ってる、「思春期の子供が性の目覚めなどにより不安定になる」ネタもちゃんとやってるばかりか、両親のセックスを見られていて、そこをギャグにしてるのが素晴らしいですね。
エクソシストもので、両親の性をギャグとして描いたのを観るのは初めてだったので大変驚きました。

ラストカットで、娘と家族を守りきれなかった父親の顔がアップになるが、彼は確かに選択を間違え続けたが、それでも間違わなかったことが一つだけあり、それは、家族を必死で守ろうとしたことだ。
ありとあらゆる解釈ができるこの地獄めぐりのような作品の中で、唯一それだけが確実なことであり、そこに観客は感動する(同時に途方も無い奈落へも突き落とされるけど)!

もう一度書きます。
この作品は人間の手に負えない!


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竹内佑

お芝居やライトノベルやらを書いています。 http://www.amazon.co.jp/-/e/B00J5QJI8A 欲しい物リスト→http://amzn.asia/fleoNuZ

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