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デス電所のロゴの話

デス電所には幾つかロゴがあって、その中には自分が作ったやつもあるのだけれど、ダントツで一番使われているのはこれ。

これは、大学三回生の時にデス電所という団体をもう一度立ち上げるぞ、と決めた時(デス電所自体は高校生の頃に作った団体名)、同じ大学の、演劇とはまるで関係ない、エミちゃんという同い年の女の子の家に行って作ってもらった。

エミちゃんと知り合ったのは、元々大学近くのレンタルCD屋さん(後にバイトすることになる)の店員のお姉さんがとても美人で、しかもパンクが好きで、その人と話したくて足繁く通っていたら、そのお姉さんの友達として小顔の可愛らしい小さな女の子を紹介されたからだ。

エミちゃんは当時デザインをやろうとしていて、デス電所の旗揚げ公演と第二回公演までのチラシも作ってもらったので、その時一緒にロゴ作成も頼んだ。

勿論お互い学生でギャラなんて概念もなかったけれど、お礼にビールか何かを持っていった記憶がある。

夜中近くにエミちゃんの家まで自転車を漕いで行って、朝方まで酒を飲みながら次回公演のイメージなんかを話して、チラシを作ってもらった。

エミちゃんの彼氏も家にいることが多くて、よく三人でマリファナのレポート本とか読みながら日本語ラップのアナログレコードとかを聴いたりしていた。

エミちゃんはホットケーキを作るのが上手で、晩ごはんはホットケーキだけ、なんてこともよくあった。ご馳走にもなった。

当時の日本語ラップはソウルスクリームが『Tou-Kyou』をリリースしていたりブッダブランドが『Krush Groove 3』をリリースしていたりと大変楽しく、エミちゃんはそれらを勿論揃えていた。

アナログ盤の『Krush groove 3』はCD盤だと消されている音声がキチンと収録されていて、大変聴いていて楽しかった。

でもそんな楽しかった時期はあまり長く続かず、エミちゃんから「『Krush Groove 3』のアナログが見つからないんだが、お前持ってってねーか」みたいな電話があって、勿論持っていってない俺は「持ってってね―」と返事して以来、なんか徐々に疎遠になっていった。

今思えばその時、「よく探してみたら?」みたいなことを言ったのが余計だったかもしれない。本当は持ってった奴の言い草みたいで。

勿論その時、「酔っ払って持ってったかも知れん」と思い、探したけれど、見つからなかったので、持ってってないんだけれど。

で、デス電所の第三回公演からはエミちゃんにチラシを頼むことはなく、自分でデザインした。

その俺のデザインしたチラシ(第五回公演『仔犬、大怪我』のやつ)を見て、エミちゃんが「配布されてるフォントばっかり使っててダサい」と酷評したのは今でも覚えていて、「配布されてるフォントをそのまま使うのは、ダサいのだな」と、心に刻んでいる。

こないだ久しぶりにデザインした『すこやかに遺棄る』の表面は、配布されているフォントそのまま使ったけれど。

まあ、あれはあれで、実録犯罪のルポ本の表紙みたいにしたかったので、あれで良いのです。

で、この時のチラシも十八年前にエミちゃんに作ってもらったロゴを使用している。右下のあれね。

十八年前、アドビのイラストレーターで作ってもらったデータを、未だに使わせてもらっております。

ありがとう、エミちゃん。

本名がどうしても思い出せないので、現在は何しているのか検索できないのだけれど、きっとデザイナーやってるのだと思うし、いつかまた、チラシ頼めたらな、とも思っています。

そんでその時は、ブッダブランドの『Krush Groove 3』のアナログ盤が見つかったかどうか、教えて下さい。

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