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『ベイビー・ドライバー』 感想

耳鳴りに悩まされる逃がし屋が、ずーっと音楽を聴いている映画。

This is ミュージカル西部劇!



父殺しの映画であることは、前半、ケビン・スペイシー演じるドクが出て来た時点で理解できたが、父の存在があんなにコロコロ変わるとは思わなかった!

そこが相当フレッシュで、ドクが、あの様な最期を迎えるとは想像できなかった。
同時に、バディも。
そういった想像の裏切りを楽しさと共に魅せてくるのがエドガー・ライト監督の素晴らしさであり、どうしたって毎回好きにさせてくれる点でもある。



主人公ベイビーにとって父とは、女性を傷つける邪悪な存在であるのだが、女性を愛していたバディが、愛していた存在を殺されたが故に敵になる、という展開は、まさにベイビーが大人になるための通過儀礼であり、避けられないのだ。
ドクも、いつまでも子供だと思っていたベイビーが、好きな女性のために自分に反抗する姿を見たときに、態度を翻して助けてくれるのも感動的。
「昔の自分を見るようだ」みたいな台詞も粋。
いつまでも子供だと思っていたベイビーが、愛する者を見つけ、父である自分に反抗する姿を、受け入れて道を示すドクはカッコいい。
己の未来を息子に委ねる姿。


あと、ダイナーのシーンがタランティーノ過ぎて笑った。会話だけの緊迫シーン大好き。

かように、今作は西部劇とタランティーノとミュージカルとファミリー映画(家族を描くという意味)とのミックスで素晴らしかったです。
一言でいうと、超面白かった!

映画の中でも台詞で出るけど、ボニーとクライドの『俺たちに明日はない』のラストを踏襲したラストシーンは驚きに満ちているし、その後の爽やかさも秀逸!
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