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『星降る夜のリドラン feat.夏色花梨』 セルフライナーノーツ

はじめに

きっくす(ハイニーソP)です。
11月4日(土)池袋みらい館大明にて開催されたTOKYO6オンリーイベント「第二回しおばな祭」にて、初のフルアルバム『星降る夜のリドラン feat.夏色花梨』をリリースしました。
毎月6日はTOKYO6の日ということで、今回は新譜の収録曲等の解説を投稿したいと思います。

アルバムについて

2022年4月13日の音声合成ソフトリリース以来(正式にはクラウドファンディングのリターンとしてその少し前から)制作してきた夏色花梨のオリジナル曲より、音源化していない作品を中心に10曲+完全新曲1曲を収録しました。

また、おおよそ2022年までに発表した曲を目安に、Synthesizer Vの当時の最新バージョンである1.8~1.9版エディタを使用したボーカル音源への差し替えと一部ミックス調整を行ってリニューアルしています。

『星の数だけ、歩いてきたね。』というアルバムのコンセプトは、リード曲である「クラテリス」のモチーフに由来しています。これまで花梨と走り抜けてきた1年半で生まれた曲たちを星になぞらえて、それらを振り返りつつ次の一歩を踏み出すために形に残すことを目指しました。

ジャケットは以前にMVのイラストでお世話になったTSUMOLさんに描き下ろしていただきました。せっかくCD媒体で出すなら、と表面から裏面まで繋がる壮大な星空を作りたいと思っていたのですが、青を主体としたTSUMOLさんの作風がベストマッチして想像以上の美しさに仕上がったと思います。

これは余談ですが、このアルバムが完成してデータを入稿してまもなく、メインで使用していたデスクトップPCが故障し、動作しなくなってしまいました。ストレージは無事だったので諸々のデータはすべて回収できたのですが、制作完了まで耐えてくれてありがとう……16GBしかないメモリで酷使してごめんよ()

収録曲について

ほとんどの曲は、過去の2022年に作った曲まとめ記事(前編)(後編)で詳しく振り返っているので、今回は簡単にまとめていこうと思います。

1.クラテリス

この曲がなければアルバムは生まれていなかったし、恐らく今こうして音楽を作り続けることもできていなかったかも知れません。花梨と一緒に走り始めた航跡を辿るアルバムのリード曲にふさわしいのは間違いなくこの曲。
ボーカルの差し替え、再構成によって、より表現力豊かな花梨の歌になったと自負していますが、こうなってくるとこの曲に対する思い入れの強さから、アレンジの見直しや生楽器のレコーディング等して最高の形でのリメイクもいつかやってみたいと思ってしまいます。いつかできたらいいなぁ。

2.君色レター

2022年12月に公開した曲を敢えて2曲目に持っていきました。単に時系列順にするのも面白くないなということで、曲調に偏りが出ないように考慮しながら配置しています。普段から作風はブレッブレなのですが、この曲は割とストレートなかわいいポップスが書けたなという手応えを感じていたので、序盤の掴みとしてかわいいかりせんをお見舞いしてやれ!!という思いで2曲目にしています。

3.レディ・トリックスター

記念すべき花梨先輩のデビュー曲です。ソフト発売直前のクラウドファンディング支援者向け一斉投稿企画に合わせ、かなり力を入れて制作したボカフュージョン(自称)です。2023年の1周年で投稿したボーカル差し替えリメイク版をそのまま採用しています。

4.ハレノチミライ

超TOKYO6の日の公開にした曲ですが、実はもともと同時期開催予定だったキラハピというイベント向けに制作していました。そんな中で、毎月6日に馬鹿みたいに新作を生やし続けていたTOKYO6のオタクたちを見かねた公式の、「6月6日を超TOKYO6の日にするから他の月は無理すんな」というお達しを経てじゃあせっかくならそれに合わせるか、といった流れで変更した経緯があります。この曲はMV公開時のミックスに少し違和感を感じていたので、CD収録にあたってかなり見直しを入れています。おかげで当時よりすっきりした仕上がりになった気がします。

5.Synthe×Sis (花梨 Solo Ver.)

自身も企画メンバーとして参加したSynthesizer Vの非公式投稿祭であるSVF2023の参加曲です。オリジナルは京町セイカとのデュエットでしたが、アルバムでは花梨のソロで収録しました。副産物として京町セイカのボーカルもリテイクしたデュエットのリメイクバージョンを10月にしれっと投稿しています。気になる方はぜひチェックしてみてください。

6.ドッカイリョク

ボーカルリメイクによって化けた曲その1です。このアルバム制作当時はまだSynthesizer Vの日本語ラップ機能が未実装でしたが、1.8版段階での生々しい表現力で、こうした速くて細かいフレーズも破綻なく手軽に再現できてしまうのが恐ろしいくらいです。
あと、この曲は自身の作品の中でも一二を争うレベルで重たい概念曲なので配置に悩みましたが、結果中盤くらいにそっと置いておこう……となりました。全部あのあるぱかってのが悪いんだ(経緯は過去の記事を参照)

7.恋日和

FMおたるコラボ楽曲コンテストでAHS賞を頂いた楽曲です。前の『ドッカイリョク』の重たい概念を取っ払うにはこの曲しかないと察し、にぎやかかつ爽やかなサウンドで中和してもらうことにしました(?)余談ですが2月のスタンプラリーで小樽を訪れた際、街をうろうろしながらこの曲が頭の中でBGMとして流れたのはMVで描いた小樽運河ではなくなぜか堺町商店街でした。観光客向けのお土産ものが並ぶ活気のよい空間がそうさせたのでしょうか。

8.ショーウインドウ・ガール

ボーカルリメイクによって化けた曲その2です。かなり初期の作品であったため、進化によるギャップが目覚ましいということもありますが。加えてこの曲自体、自分の中でもかなり特異点的な存在でして、複雑なコードワークやアナログシンセ主体のサウンド等、最近の自分ではあまりやっていないことを積極的にやっていた意欲作でもあります。月一以上のペースで曲を生やしていた時期であるとともに、第一回しおばな祭というとても「濃い」熱量を浴びた直後の作品でもあります。この辺りからいろいろと狂い始めてきたような気がするなぁ……

9.ひかりさす

制作当時の最新曲です。花梨の誕生祭に合わせて公開したもので、公式二次創作である小樽潮風高校のオーディオドラマを題材にした楽曲です。普段自分が制作するTOKYO6キャラクターの楽曲は、公式二次創作の世界線に完全に準拠したものは少ないです。公式二次創作からインスパイアされた他人の概念を題材にした『ドッカイリョク』や、お題があった『恋日和』は例外ですが、その他の楽曲は基本的にはキャラクターの存在を毎回定義し直しています。公式二次創作設定の一部おいしいところは拝借しつつも、高校生活等が絡まない抽象的な概念の楽曲では割と好き放題やっています。その一方で、この曲は公式二次創作に忠実に、オーディオドラマで描かれた花梨の葛藤やたどり着いた答えを尊重する形で表現しました。

10.イナーシア

『クラテリス』を一番手に据えると、この曲は自動的に一番最後に来ることになります(断言)。続編であると公言していますが、クラテリスからイナーシアの時系列に至るまでには、これまでの楽曲群を渡り歩いてその旅路を振り返る必要があります。

ずいぶん歩いてきたね まだやれそうかい?

きっくす『イナーシア feat.夏色花梨』

『イナーシア』は、このアルバムで表現したかったことそのものを一つの曲に落とし込んでいます。花梨に出会って音楽を続ける理由を見つけ、一緒にたくさんの曲を生み出し、一度立ち止まってもまた次の一歩を踏み出すきっかけをくれる。彼女とはそんな関係であり続けられたらいいなと思います。

11.未来系ユニバース(新曲)

『クラテリス』に始まって『イナーシア』で一つの区切りを迎えた旅。その次の一歩がこの新曲になります。
星を主題としたアルバムにおいて、より広い次のステージへ踏み出すために宇宙(ユニバース)というタイトルを持ってきました。
もちろん主役は花梨ですが、その両隣には六花や千冬が存在していて、それはきっとこれからも変わらない未来であるという願いを込めて、コーラスとして3人とも起用しました。
説明するのも野暮なので細かくは触れないでおきますが、歌詞にはこれまでの楽曲で使用したモチーフやキーワードを散りばめています。
そうしたこれまでの旅路では、花梨が自分の手を引いてここまで連れてきてくれました。そんな彼女が最後にこう歌います。

今ならどこへだってゆける これからも導いてくれるよね

きっくす『未来系ユニバース feat.夏色花梨』

今度は自分が花梨を引っ張っていけるように研鑽していきたいですね。


おわりに

以上、これらの思いを込めて制作した渾身のアルバムですが、直近で11月19日(日)に開催される『THE VOC@LOiD M@STER53(ボーマス)』にもこちらの新譜を持っていきます。当サークルstudio biotopeは【D44】配置となりますので、ぜひお越しください。

また、追って準備でき次第BOOTHでも取り扱いいたしますので、イベントに参加できない方もこちらにてお手に取っていただければ幸いです。

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