『リトルタウンビルダーズ』制作ノート デザイン編

※この記事は以前ブログに書かせていただいた記事をnoteへ移動および加筆修正したものになります

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こんにちは。
Studio GGのShunです。

今回は2017年秋のゲムマに発表した『リトルタウンビルダーズ』の制作ノートを公開したいと思います。

『リトルタウンビルダーズ』の概要につきましてはこちらをご覧ください

→『リトルタウンビルダーズ』の概要


着想~制作の動機~

『リトルタウンビルダーズ』を考える最初のきっかけは、ワーカープレイスメントに対する
(ワーカーをボードに置いている意味ないよなー)
という感想からでした。

一般的なワーカープレイスメントは、あくまで、アクションのドラフトであり、ボード上の位置には特に意味がありません。
これがなんとなくもったいないな、と感じたわけです。

『開拓王』で個人ボードのゲームを作ったこともあり,今度は
「メインボードにみんなでワーカーを置く、マップを利用したワーカープレイスメント」
を作りたい、と考えました。

マップを利用してアクション選択を行うゲーム(「イスタンブール」など)は、ロンデル系のいわゆる「その後の自分のアクションを縛る」タイプが主流で、ワーカープレイスメントのような「相手のアクションを縛る」タイプのゲームはあまり見かけないため、作る価値があると思えました。

また、せっかくメインボードにマップを使うのだから、建物もそこに建てたいと思い、
ルールは全然決まらない中、メインボードにワーカーと建物タイルを置くことだけが決まりました。


陣取り系ゲームの調査

「メインボードにみんなでワーカー(駒)や建物(タイル)を置く、マップを利用したゲーム」と言えば、陣取り系のゲームがまず頭に浮かびました。

そこで、この仕組みと相性の良い陣取り系のゲームがないか調査することにしました。

そこで見つけたゲームが「オレゴン」です。

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(BoardGameGeekより)

「オレゴン」はボード上にワーカーや建物を配置して周囲の建物に応じた得点や効果を得ることが出来るゲームです。

これだけ聞くとまさに『リトルタウンビルダーズ』なのですが、
「オレゴン」はワーカーや建物の配置は自由に行うのではなく、手札のカードの組み合わせによって配置します。また、資源に相当するリソースもありません。

「オレゴン」は見た目は似ているものの、その実はハンドマネジメントのゲームなのです。

とりあえず、「オレゴン」からカードを取り除いて、リソースマネジメント要素を導入することで、ワーカープレイスメントっぽく仕立ててみることにしました。


オレゴン + リソースマネジメント

とりあえず最初は、単純にオレゴンにリソースマネジメント要素として、

・資源
・建物の建築コスト
・建物の効果

などを適当に決め、導入してみました。
建物の効果は同じく周囲のタイルの効果を発動させるタイプのゲームである「グレンモア」などを参考にしています。

この時点では、ラウンド制というものは存在せず、
ただ、手番プレイヤーから時計回りに「ワーカーを置く」か「建物を建てる」か選びます。
全てのプレイヤーはワーカーを10個くらい持っており、
全てのプレイヤーがワーカーを置き終えたらゲーム終了です。
「オレゴン」同様、建物を建てた際、周囲にワーカーを置いているプレイヤーが効果を得ることが出来ます。
ボードは「オレゴン」と同等くらいのサイズで、現在のリトルタウンビルダーズの3~4倍くらいのマスがある感じでしょうか?

やってみた感想としては、

・マスが多すぎて、置く場所を探しているだけで日が暮れる
・結局、ワーカーや建物は固めて置いた方がいいため、各プレイヤーがそれぞれ一人で固まりソロプレイ極まる

という感じで、どうにも感触がよくありません。

「オレゴン」は手札で置ける場所や建物を縛ることによって、これらの問題を解決していることが分かりました。

つまり、カードを取り除くためには、別の方法でこれらの問題を取り除く必要があるということです。

選択肢を縛るため、とりあえず、

・とにかくボードを小さくする(現在のサイズ)

ということをしてみると、これが意外といい感触。

長考とソロプレイの問題が解決されたことによりゲームの面白さがだいぶ見えてきました。
ただし、ボードが小さいので、2人専用で、すぐ終わってしまいます。

これを解決しないことにはゲームにならなさそうでした。


ラウンド制の導入

このあたりで、一度ワーカープレイスメントに立ち返ってみると、大事なことを忘れていることに気が付きました。

そう、「ラウンド制」です。

「ラウンド制」を導入することで、小さなボード上のスペースを何回も使いまわすことが出来ます。

ワーカープレイスメントの同じアクションセットのドラフトを繰り返すという仕組みに近づきます。

ラウンド制を導入するにあたっての問題を解決するため、いくつかのルールを整備しました。

・建物の配置時効果をなくす
・建物に所有権をつけ、他プレイヤーの建物を利用する際、賃料を払う
・建築の際、建築現場にワーカーを置く
・ラウンド終了時に食料供給をする

建物の配置時効果は、建物を建てたときに周囲のワーカーが恩恵を受けるという形なので、総ワーカー数が少なくなると効果が薄くなり、建築したプレイヤーの旨みが少なくなりすぎてしまいます。

そこで、建物の配置時効果の代わりに、建築したプレイヤーの旨みとして所有権と賃料を導入しました。
この手のアイデアは「ケイラス」や「ルアーブル」などの共通の場に建物を建てるワーカープレイスメントなどでよく利用されています。

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(BoardGameGeekより)

「ケイラス」のように他プレイヤーにより利用された建物の所有者に直接勝利点を与える方法もあったのですが、主に賃料として利用する特殊な資源として「お金」を導入しました。
これは建物の賃借を通じて、プレイヤー間での経済を実現しようと考えたためです。
プレイヤー間で「お金」のやり取りが発生するほど、街全体が発展することがうまくシミュレートできることはとても面白いですし、対戦相手に勝利点を与えることに比べて自分に発生する不利益が分かりやすいという利点もあります。
また、これらの変更を受けて、建物の効果も「ケイラス」や「ルアーブル」などのゲームを参考に再考しました。

建築にワーカーを利用することにしたのは、拡大をもたらす建物に対し、建築時に手番コストを払わすことで、建築に対するジレンマを与えることと、ワーカープレイスメントらしく、ワーカーにより手番数を可視化することが目的です。

食料供給も建築のジレンマを強化することが目的です。
食料供給がない場合、プレイヤーは最初は建物を建てることしか目指すものがなくなってしまい、ゲームが単調になってしまいます。

これらのルールを導入し、4人でプレイしてみたところ、ほぼ期待通りの面白さが実現できており、この方向で調整をすすめていけば良さそうだという感触を得ることができました。

~ディベロップ編へ続く~


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Shun@Studio GG

ボードゲームデザイナー。 「Studio GG」のゲームデザイン担当。 noteでは主に作ったゲームの制作ノートやゲームデザインに関するコラムを投稿していきたいと思っています。

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