『ミステリーホームズ』制作ノート デザイン編

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こんにちは。
Studio GGのShunです。

今回はゲームマーケット2018秋に発表した推理ボードゲーム『ミステリーホームズ』の制作ノートを公開したいと思います。

『ミステリーホームズ』の概要はこちらから

→『ミステリーホームズ』の概要


着想〜制作の動機〜

推理系ボードゲームというジャンルがあります。
これらの古典ともいえるゲームが「クルー」というゲームです。

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(Hasbroより)

このゲームは部屋を移動し、殺人事件の犯人や凶器、殺害現場を推理するというとても雰囲気のある推理ゲームなのですが、

肝心の推理内容が、あらかじめ抜かれたカードを当てるという「ジジ抜き」的なものであり、本当に事件を推理している感じがしません。

「クルー」以降も、様々な推理ゲームが作られていますが、どのゲームも「ジジ抜き」的なシステムから抜け出せていません。

このため、よりリアルな推理ゲームを作りたいと考えていました。


人狼ゲームとの融合

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(BoardGameGeekより)

別のタイプの推理ゲームとして有名なゲームに「人狼」があります。

「人狼」は正体隠匿型ゲームというジャンルを作ったゲームであり、プレイヤーの中に潜んだ「人狼」という役職を与えられたプレイヤーを推理する会話ゲームです。

しかし、「人狼」は会話で得られた情報のみから推理していくため、「部屋を移動して証拠を集める」といった要素はありませんし、
他のプレイヤーの発言を介してしか情報を得ることが出来ないため、一人の不慣れなプレイヤーがあまり適切でない会話の進め方を行ったことによりゲームが破壊されてしまうといった問題(いわゆる戦犯問題)を抱えています。

プレイヤーの中に隠れた犯人が潜んでいるという構造は極めて面白い構造であり、確固たる証拠を元に推理できるようにすることで、この問題を解決できると考え、
『ミステリーホームズ』も当初より、
「一般人」か「犯人」かを秘密裏に決定するため「正体カード」を導入することにしました。

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情報間の関連付け

「クルー」等の推理ゲームにおいて特に問題だと考えていたのが、「犯人」「凶器」「殺害現場」といった推理の対象となる情報間の関連性がないことです。そのため、この部分に対して改良を施すことを検討しました。

しかし、推理対象のカードをランダムに伏せたとき、これらのカードに関連性を持たせることは不可能です。

そこで、「人狼」のように「夜の時間」を設けることで、「犯人」が事件をセットアップ出来るようにすることを考えました。

つまり、ランダムに選ばれた「凶器」をランダムに選ばれた「殺害現場」に「犯人」が置けば良い訳です。

しかし、これだけでは、まだ「犯人」と「凶器」や「殺害現場」との関係が構築出来ていません。

そこで思いついたのが、「アリバイカード」です。

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ゲームの最初に「正体カード」とともに、「アリバイカード」を配ることで、「犯人」と「殺害現場」に関連性を作りました。

つまり、「犯人」が自分の「アリバイカード」に示された部屋に「凶器」を置くという形にしたのです。

また、「アリバイカード」を導入したことで、「目撃証言」という、他のプレイヤーの「アリバイカード」を確認するタイルを導入することを思いつきます。

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もちろん、これは「人狼」の「占い師」の効果を基にしています。

これにより、「犯人」↔「殺害現場」↔「凶器」の関係を作ることが出来ました。


初期プロトタイプ

7つの部屋を持つボード、4種8枚の「凶器」タイルと、14枚の「スカ」+「目撃証言」タイル、そして「正体カード」と「アリバイカード」という構成が初期のプロトタイプになります。

この時点では、「凶器カード」や「トリックカード」は存在しません。
「犯人」「凶器」「殺害現場」を推理するゲームになっています。

「凶器」はタイルの中からランダムで1枚抜いた物が答えとなり、それと同じタイルを「犯人」の「アリバイ」の部屋に置きます。
それ以外のタイルは他の部屋に適当に置きます。
つまり、真相の「凶器」のみ1枚、他の「凶器」は各2枚、ボードに置かれるわけです。
「ジジ抜き」ですね。

この時点では、「凶器」の推理のみ「ジジ抜き」のままに甘んじている形になります。

これをとりあえずテストしてみたところ、
「犯人」が潜んでいる協力型推理ゲームとして上手く機能していることはわかりました。

しかし、
やっぱり「ジジ抜き」が面白くないということも再認識させられてしまいました。

「凶器」関連のシステムは変更が必須でした。


「トリックカード」の導入

さて、「ジジ抜き」であることを解決する、という課題が出来てしまったのですが、自分は少し別のことも感じていました。

それは、
推理物でお馴染みの「トリック」が存在しないため、寂しい
ということです。

「トリック」を現在のゲーム上で表現しようと検討すると、
・死体を別の部屋に移動する
・凶器を別の部屋に移動する
・アリバイカードを交換する
等といった「特殊効果」により、実現出来そうであることに気づきます。

そこで、「特殊効果」を持つ「トリックカード」を2つランダムに選び、夜の時間に効果を適用することで、「トリック」を実現しようと考えました。

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ここで、「トリックカード」が2つなのは、
・事件のパターンが掛け算により生成されるため、膨大な組み合わせを作れる
・2枚の「トリックカード」で「コンボ」を作ることが出来るようにする
という効果を期待しています。

この「トリックカード」の導入により、お蔵入りしかけていたこのゲームの完成が一気に近づきました。


~ディベロップ編に続く~

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Shun@Studio GG

ボードゲームデザイナー。 「Studio GG」のゲームデザイン担当。 noteでは主に作ったゲームの制作ノートやゲームデザインに関するコラムを投稿していきたいと思っています。

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