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第十八話 確定申告

さあ、年に一度のビッグイベント、「確定申告」についてのお話です。我が家には会社員が1人もいないので、申告の時期が近づくと家の中が大変な賑わいになるのを子供達もよく知っています。

2023年公開の映画”EVERYTHING EVERYWHERE ALL AT ONCE"の冒頭でミシェル・ヨー扮する主人公が、レシートや領収書の山に囲まれて頭を抱えるシーンで、うちの小学生の息子がすかさず「確定申告?」と言っていました(笑)

それはさておき、確定申告とは、1年間の所得から納めるべき所得税の金額を”確定”し、税務署に”申告”する手続きのことを言います。納税は国民の義務ですから、一定額以上の所得がある人は「所得税」を納めなくてはいけません。また、「住民税」は、所得税の申告内容をもとに各自治体が計算をします。

会社員などの給与所得者は、毎月のお給料から源泉徴収(天引き)された税金を勤務先の会社が本人に代わって納めています。ただし、天引きされている所得税は概算であり、会社は、1年間の給与が確定した年末に納めすぎていたなら”還付”、不足していたなら”追加徴収”する「年末調整」をします。

サラリーマンが確定申告をする必要がある場合

次のような人は個人で確定申告が必要です。
⚫︎1年間の給与収入が2000万円を超える人
⚫︎二ヶ所以上から給与をもらっている人
⚫︎副業の所得が20万円を超える人
⚫︎年の途中で退職した人
⚫︎住宅ローン控除を適用したい人
⚫︎医療費が年間で10万円を超えて医療費控除を適用したい人
⚫︎ふるさと納税をして寄附金控除を適用したい人

ただし、ふるさと納税をして、もともと確定申告が必要ない人は”ワンストップ特例制度”を利用することで自動的に住民税から控除されるので確定申告が必要なくなるシステムもあります。

その他確定申告をする必要のある人

⚫︎個人事業主(自営業、フリーランス)
⚫︎不動産所得がある、または売却して利益が出た人
⚫︎年金等の収入が400万円以上、または年金以外の所得が20万円以上の人

ここでわかっていたいのは、「収入」「所得」の違いです。
「収入」とは、売上、給料など1年間で得たすべての金額のことです。そこから事業にかかる仕入れや経費の額を差し引いたのが「所得」です。赤字の場合は所得がゼロということになるので、所得税も発生しません。

ただ、個人事業主にとっては所得の証明になるため、赤字でも確定申告はしたほうが良いのです。別の回で詳しく説明しますが、「青色申告」の場合、年をまたいで赤字と黒字を相殺することができるからです。

年間スケジュールと申告の大きな流れ

1/1  還付申告受付開始
1/4  e-Tax申告受付開始
2/16 通常の確定申告の受付開始
3/15 申告提出期限+納税
4月 振替納税の口座引き落とし
6月 住民税控除(ふるさと納税など)

①必要な書類を準備する
マイナンバーカードまたはそれに変わる本人確認書類
各種控除証明書
領収書やレシート
収支報告書や決算書、源泉徴収票など、収入がわかる書類が必要です。

②申告書作成
「確定申告(会計)ソフト」を使うと、青色申告に必要な複式簿記での帳簿も手間なく作成できます。
また、国税庁のサイトの「確定申告書作成コーナー」を使って作成できます。

③申告書提出
e-Taxでネット提出ができます。パソコンでもスマホでもできるんです。手書きの申告書、または入力してプリントした紙の申告書を税務署に持参か郵送することもできますが、ソフトなら複雑な帳簿作成や控除の計算などもやってくれて、ミスや不備を防ぐことになります。

所得税算出の流れ

①1月1日から12月31日の「収入」の合計金額から「仕入れ」「経費」の金額を引いて「所得」を求めます。
「経費」については別の記事で説明します。

「所得」から社会保険料などの「所得控除額」を引いて「課税所得額」を求めます。
「所得控除」には、医療費控除、寄附金控除、社会保険料控除などがあります。

「課税所得額」に所得金額に応じた「税率」をかけて「所得税額」を求めます。
「税率」は、課税所得が高いほど上がる「累進課税方式」になっていて、5%〜45%の7段階に分かれています。

「所得税額」から「税額控除額」を引いて最終的な「所得税額」を求めます。
「税額控除」には、住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)、配当控除、外国税額控除などがあります。

電子帳簿保存法

2024年1月から、「電子帳簿保存法」(電帳法)が施行されます。個人事業主や法人の書類に関することです。行政が進めるDX化のゴールは、番号管理をして紙の帳簿や領収書なども廃止にしたり、いずれは完全に税務調査や徴税もデジタル化することだと思いますが、少しずつ段階的に始まっています。

決算書や帳簿を電子データにすることで税優遇があったり、紙の保存が不要になったりします。領収書や請求書などもスキャナで読み取れば紙は破棄してもよくなりました。ただ、これらはまだ手間ですし、任意です。

1番のポイントは、電子取引された領収書、請求書、契約書などは、そのまま電子保存しなければいけないこと。これは義務です。紙にプリントすることは不要です。Amazonで買い物をした領収書などは、ダウンロード期限が切れてしまったりするので、その前にすぐダウンロードをして、クラウド上に保存すると良いでしょう。クレジットカードの明細は領収書の代わりにはなりませんので注意しましょう。

その際、改ざんができないように「タイムスタンプ」を付けること必要です。受領して2ヶ月以内にスタンプしなければいけません。そしてそれらをファイルやフォルダに入れていって、求められればすぐに”取引先”、”日付”、”金額”で検索できるようにします。

以上、確定申告のおおまかな説明でした。よりスムーズに申告書を提出するためには、期限が迫ってから慌てて始めるのではなく、こまめに帳簿やファイルを整理することです。次回は「青色申告」についてお話しします。


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