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第十五話 国民健康保険

「日本の健康保険は、世界最強の保険!」 by両リベ大学長


先週(2023年11月2日)飛び込んできたニュースは、「定額減税4万円」です。所得税から3万円、住民税から1万円の減税、4人家族のうちの場合は16万円になるかな。詳細はまだ決まっていないのですが、次の確定申告分だとすると来年の予定納税が少し軽くなるかもしれません。やった!会社員の方は、お給料に少しずつ上乗せかもしれませんね。

さて、今度は医療保険の話。病気やケガのリスクに対する社会保障です。前回の国民年金の時にも言いましたが、日本は「国民皆保険」の国。私たちは生まれた時から保険証を持っているのでこれが当たり前で、時にはありがたみも忘れてしまいがちですが、実は当たり前じゃないんです。

たとえばアメリカでは、収入が低くて医療保険に加入できない人もたくさんいます。しかも、アメリカの医療費はとても高額で、医療機関や症状にもよりますが、請求が〇百万円、〇千万円という話をよく聞きます。

日本では、健康保険証を持っていれば、どこの病院でも誰でも平等に、基本自己負担3割で治療することができます。では治療費が300万円かかったから、その3割の90万円を負担しなければいけないのか。いえ、そんなことはないんです。

①国民健康保険とは

公的医療保険には3種類あります。

「国民健康保険」 自営業者やフリーランスの人が加入します。保険料は、前年の”課税所得”をもとに計算されます(課税所得=売上ー経費ー控除)。本人の分も扶養家族の分も何人いても全額支払います。市区町村の国民健康保険か、職種によっては”国民健康保険組合”に加入でき、サービスが充実していたり、保険料が安い場合もあります。

「健康保険」 会社員が加入します。保険料は4〜6月の給与の平均をもとに計算します。本人と会社半分ずつの折半。しかも、扶養家族は何人増えても負担0円!すごいですね。扶養家族の負担0には条件があって、パートなどの年収が一定金額を超えないこと(106万円の壁とか130万円の壁)なのですが、この先の改正でこの壁は段階的になくなるかもしれません。つまり、負担しなければならなくなるかもしれないということです。

「後期高齢者医療制度」 75歳以上の人、65歳以上で一定の障害がある人が加入します。保険料は年金から天引きされるなどで支払います。医療費の自己負担は、基本的に1割。但し、一定以上の所得があると2割、現役並みの所得者は3割負担となります。

地方自治体によっては未就学児、小学生まで、中学生まで、高校生までなど、独自で全額負担してくれるところもあります。子育て世代は本当に助かりますよね。

公的医療保険が適用されないものは、
・入院時の食事、差額ベッド代
・治療以外の医療行為(美容整形、レーシックなど)
・先進医療
など。先進医療というのは、大学病院などで行われる、まだ世間に出回っていない治療や、まだ認められていない新薬の投与などです。また、これらは所得税の”医療費控除”にはなる場合もあります。

②高額療養費制度

1ヶ月にかかった医療費が高額になった場合、”自己負担限度額”というものがあり、それを超えた分は返金される仕組みです。あらかじめ”限度額適用認定証”というものをもらっておくと、病院の窓口で支払う金額が最初から限度額になります。

限度額は所得によって違いますが、大体10万円ほど。10万円でも高額ですが、これを想定した貯蓄をしておくといいですね。高額療養費制度を知っているのと知らないのでは、心の安心感が全く違います。すごい!

1~2年前に”高額療養費制度が廃止になる⁈”という紛らわしいニュースが発表されてざわついたことがありました。これは私たちが負担する話とは違います。国民健康保険はもともと地方自治体主体でしたが、財政の弱い小規模の自治体では医療費を負担しすぎると苦しいので、国が一肌脱いで一部負担する取り決めをしていました。2018年以降、保険の運営は都道府県に移管されたので、もう自治体の財政負担を緩和する助けの高額医療費負担はいらないよね?という、国と自治体との話なのです。記事にする方も読む方も、正しい理解をしなければいけませんね。

③その他の制度

「傷病手当金」 会社員の健康保険では、病気やケガで会社を休み、療養することになった人が支給されます。連続で4日目以降から1年6ヶ月まで。但し、通勤途中や業務中の怪我などの場合は”労災保険”の方に該当するので、傷病手当金は支給されません。また、国民健康保険にはこの制度はありませんので、個人事業主は別の方法で資金を確保しておかなくてはいけませんね。”一人親方”などの特別加入制度があります。
「出産一時金」 公的医療保険の被保険者や被扶養者が出産したときは子供1人につき50万円支給されます。早産、死産、流産、人工妊娠中絶の場合も支給対象です。これは会社員でもフリーランスでも受け取ることができます。
「出産手当」 会社員本人が産休の時にお給料の代わりに受け取ることができます。出産予定日以前42日から、出産の翌日以降56日まで、会社を休んで給与の支払いがなかった期間支給されます。

いかがですか?かなり手厚いですよね。”世界最強”と言われる日本の医療保険。こうしてみると、個人事業主やフリーターが一家の大黒柱だった場合は公的社会保険のほかに何か対策が必要になりそうですが、必要最低限の土台は公的医療保険でしっかり安定しています。

病気になってしまうことは誰にでもありますし仕方がないことですが、日頃から自分のと対話しながら健康的に過ごせるよう心がけましょうね。のケアも忘れずに!”病は気から”です。

あとは、これから考えられる社会保険料の増加に備えなければいけません。しっかり家計を見直して、ありがたい制度の恩恵を受けながら資産形成していきましょう。


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