第二十話 経費
さあ、皆さん、青色申告の準備はできましたか?今回は「経費」についてお話しします。収入によって税額が決まりますが、収入から経費を差し引くことで所得額を下げて税額を抑えることができます。
申告書類に入力するときに必要な項目に「勘定科目」というものがあります。この経費はどんなものにいくら使ったのか、項目ごとに分けて入力するのです。どんな項目があるのかみてみましょう。
通信費 インターネット、電話代、切手、郵便代などです。
旅費交通費 仕事に使った移動代。グリーン車やビジネスクラスでも大丈夫です。
水道光熱費 水道代、電気代、ガス代の一部。「家事按分」(かじあんぶん)といって、自宅を事務所としても使用する場合、事業で使用する分は光熱費も経費に計上できます。
地代家賃 事務所の家賃、社員の家賃、フリーランスなどは、自宅が賃貸の人は家事按分として計上できます。
車両関連費 ガソリン代、車検代、ドライブレコーダーなどの備品。車両本体は、「減価償却」といって、何年かかけて費用に計上します。ちなみに、ドライブレコーダーなどは、後付けにすると備品になりますが、車購入時に取り付けると車両代に含まれるので、減価償却になります。
運賃 宅配や荷物の運搬費用です。
消耗品 30万円(青色申告の場合)以下のだいたいの”物”はここに入ります。白色申告の場合は10万円です。一つ30万円以上の備品は「減価償却」になります。Apple Watchなども消耗品です。
減価償却費 30万円以上の物は何年かに分けて経費に落とします。新車は6年間、建物は40年間など。あまりないかもしれませんが、30万円以上のパソコンは4年間です。
給与賃金 従業員の給与。役員報酬や手当も含みます。専従者給与も入れることができます。
福利厚生費 従業員のための支出。社員旅行、予防接種、健康診断、通勤手当などです。
広告宣伝費 文字通り広告や宣伝に使った費用。
修繕費 機械を直したりメンテナンスをした費用です。
リース代 コピー機や電話など、リースしているものがあれば。
接待交際費 高い飲食代、ゴルフ、差し入れ、手土産、お中元など。飲食代は複数で飲食した場合で、一人当たり5千円以下だと、会議費に入れた方が良いです。1人で飲食した場合は会議にも接待にもならないので経費になりません。贈答品でブランド品を贈った場合は経費になりますが、本当に贈ったのかどうかを税務署の人に確認されてしまうケースもあります。
損害保険料 火災保険や経営セーフティ共済に加入している場合など。
利子割引料 借入金の利息も経費にできるのです。
研修費 文字通り研修の費用ですが、海外旅行も研修に入るかもしれません。
新聞図書費 新聞、本、研究のために見に行った舞台、コンサートなども。
諸会費 会費として支払っているもの。Netflixなども、ビジネス関連の動画もあるので、仕事に関連していれば良いのです。
租税公課 支払った税金も経費になるものがあります。自動車税、印紙税、事業税、登録免許税、固定資産税、法人事業税、公共サービスの手数料。法人税、所得税、住民税、相続税、消費税以外の税金です。罰金や延滞料なども対象外です。また、税込方式で仕訳する場合の消費税は租税公課の対象です。
支払手数料 サービスにかかる費用はなんでも。銀行の手数料、弁護士の報酬など。
白い空欄 ここには何を書いてもいいのです。業種によっては上の項目にないものもたくさんあります。衣装、美容、整体、フランチャイズ費など、仕事に関連する項目を自分で書き込みます。ビジネスに役立つのであれば映画の鑑賞代も経費になるかもしれません。
雑費 上記に該当しないもの。最終手段として使用する欄です。金額が大きくなると税務署から質問がくることもあります。雑費は”ゼロ”を目指しましょう。もし金額が大きくなってしまったら、申告書3ページ目の「本年中における特殊事情」という欄に書くと良いでしょう。問い合わせが来る前に先に書いておくのです。
いかがですか?細々とたくさんの項目を挙げてきましたが、税務署は税額が合ってさえいれば細かくチェックなどはしません。なので、ある程度自由に書き込んでいいと思います。万が一チェックが入った時のために、レシートなどは7年間保管しておきます。
ただ、専門家に相談せずに自分だけで判断している方は、知らずに”脱税”(!)になってしまうこともあります。その場合は、本来納めているべき税額に加えて加算税や延滞税が追徴されますので注意が必要です。故意の場合は重加算税というペナルティとなり、ものすごい額になることもあります。
しかし世の中、お金がかかることばかりなんだなーとつくづく思います。でも私の経費に対する考え方は、「なるべく抑える」ことです。経費になるからと言ってわざわざ経費を使うことは本末転倒。支出が増えれば現金が減ります。節税できるところで賢く節税して、経営をコントロールしたいですね。
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