日本がここまで強くなった理由と「わずかな差」についての考察

1998年フランスW杯:0人
2002年日韓W杯:4人(DF・GK1人、MF3人、FW0人)
2006年ドイツW杯:6人(DF・GK1人、MF3人、FW2人)
2010年南アフリカW杯:4人(DF・GK0人、MF3人、FW1人)
2014年ブラジルW杯:12人(DF・GK6人、MF1人、FW5人)
2018年ロシアW杯:15人(DF・GK6人、MF7人、FW3人)

これはW杯における日本代表メンバー23人に海外組が何人いたのかをまとめたものです。

日本代表がベルギーと互角に戦えた理由の1つは間違いなく海外の主要リーグでプレーする選手が増えたからだと思います。

代表メンバー以外にも海外でプレーする選手はたくさんいるし、その数も1998/1999シーズンでは2人(1人は中田英寿)だったが2016/2017シーズンでは40人以上に増加している。

海外組が全てではないとは思うけど、やはり主要リーグの1部での経験値はでかいですね。


海外組が増えた理由

海外組がここまで増えた理由はいくつかあると思います。良く言われるのはヒデの存在。

彼が海外で活躍したから後に続けた。

もちろんそれもあると思いますが、ヒデがパルマに移籍したのは1998年のW杯のあと。今から20年も前です。

ここ10年に関して言えばそれ以外にも理由があると思います。

それは、2部リーグやトップリーグ以外のリーグへの移籍が増えたからです。今でこそ本田はミランの10番を背負っていたという印象が強いですが、最初はオランダのVVVフェンロでした。

近年ではそういった1つ下のレベルでの海外挑戦をして、実績を積みより高いレベルへの移籍を考える選手も増えてきました。

日本ではトップリーグの選手の情報しかニュースには取り上げられず、見ている側も「なんだ2部か」という感想しか持たない人も多いですが、それは今後を見据えた選択肢の1つであることを忘れてはいけません。


もう1つの理由

海外へ移籍する選手が増えた理由の1つは日本人選手が過小評価されているからだと思います。

香川真司:15億6000万円
岡崎慎司:9億6000万円
武藤嘉紀:5億4000万円
長友佑都:5億1600万円
吉田麻也:4億8000万円
本田圭佑:4億2000万円
大迫勇也:4億2000万円
乾貴士:3億6000万円
原口元気:3億6000万円
酒井高徳:3億6000万円

これは2017年の移籍金です(参考)。

ちなみに今大会一躍スーパースターとなったフランスのエムバペ(ムバッペ)は230億円です。トップレベルのプレイヤーの移籍金は過剰評価されているので一概には比較できませんが。

各リーグのトップチームは日本人には見向きもしないでしょうが、1部リーグの最下位争いをしているチームや2部リーグではむしろお買い得だと思っていると思います。

香川はマンチェスターUに所属していたこともあり、やや高く評価されていますが、長友、吉田、乾、原口などはまだまだ評価が低いのではないかと思います。

「日本人は安いので買いやすい」というのはあまり良い響きではないですが、裏を返せば買ってもらいやすいということでもあります。

今回、W杯で活躍したメンバーは間違いなく移籍金が高くなると思います。それに伴って海外チームのスカウトは「他にもお買い得な選手がいるかもしれない」と日本人のスカウトを強化するかもしれません。

そうなれば海外でプレーする選手はもっと増えるでしょう。


ケイスケホンダのCKはあれで良かった。のか?

最後のCK(コーナーキック)に対して批判があるのもわかる。あの瞬間、僕もショートコーナーで時間を稼ぎ、延長戦に持ち込んでも良いじゃないかとも思ったからだ。

だが、選手層が薄いことを考えるとあのコーナキックになったのもうなずける。

あの時点で日本には選手交代の選択肢はほとんど残っていなかった。岡崎は怪我をしているし、宇佐美や武藤は予選で動きが悪かった。残されたメンバーで唯一、国際試合の経験もある海外組は酒井高徳だけだった。他のメンバーは予選でも出場機会がなかったメンバーばかりで、いきなり投入するのは不安があるからだ。

ポーランド戦最後の15分の戦い方は、予選突破したことで結果的に正当化された(僕もあれで良かったと思っている派です)が、ベルギー戦のコーナーキックはそれと逆で、結果的にショートコーナーの方が良かったと言われることになるのかもしれない。


わずかな綻び・リスクマネジメント

最後のコーナーキックでとった日本の戦術にはもう1つの綻びがあったように思う。

ここで決めようという気持ちが先行したのかもしれないが、DFの吉田と昌子が2人とも上がっていたのは良くなかった。どちらか1人は残るべきだった。

結果、戻るのが遅れ失点につながってしまった。

とはいえ、ベルギーのあのカウンターは見事だった。5人が一斉に走り出し、わずか10秒足らずで決定的なゴールを奪った。特に、コーナーキックの時にはエリア内にいたデ・ブルイネと決勝ゴールを決めたシャドリの猛ダッシュは素晴らしかった。

あのとき、唯一DFに間に合っていたのは、もともとカウンター対策として残っていた長友と長谷部だけだった。山口蛍も残っていたが、デ・ブルイネをブロックするため足を止めて守っていたためゴール前のスクランブルには間に合わなかった。

高さのあるDFをコーナーキックの時に相手ゴール前に上がらせるのは、ごく一般的な戦略だし、これまでの日本代表でも良く見かけるものだった。

選手層の薄さから考えて延長戦を戦い切る力が残されておらず最後のコーナーキックで決めておきたかったということ、高さのあるDFを上がらせるのはこれまでもやってきた戦術であること、この2点から考えてもあのコーナーキックはあれ以外に考えられなかった。

ショートコーナーを選び延命するか、最後のチャンスにかけるか、状況は違うもののポーランド戦の時と同じような二者択一となっていた。ポーランド戦は結果的にうまくいったが、今回はそうじゃなかった。

どこかで、「このコーナーキックが終わった瞬間、笛がなるだろう」と思っていた選手もいるのかもしれない。これはただの憶測だけど、一瞬戻るのが遅れた昌子のあの悔しがり方を見ると、彼はそう思ってしまっていたのかもしれない。


長谷部は最後までキャプテンだった

最後の最後でカウンターを食らい、アディショナルタイムで逆転された直後、昌子や山口など他のメンバーが悔しがったり呆然とする中、長谷部だけは前を向いて他の選手を鼓舞していた。

何を言っていたのかはわからなかったが、「まだ時間はある!最後まで諦めるな!顔を上げろ!切り替えろ!」と言っていたに違いない。

長谷部自身はまだチャンスがあると本気で思っていたかどうかはわからない。やられた、もうダメだ、と心の中では思っていたのかもしれない。それでも長谷部は前を向いていた。

これが長年に渡って日本代表のキャプテンを任されてきた選手なんだなと、TVの前で勝手に納得していました。


日本は限界まで力を出し尽くしたはず

日本が選手交代を渋らなければいけない状況の一方で、ベルギーはまだ余力が残されていた。ベルギー代表のメンバーのほとんどはヨーロッパのトップリーグチームに所属する選手たちだし、サブメンバーにはもう1人のアザール(あのアザールの弟)やヤヌザイ、デンベレといったワールドクラスの選手が控えていた。

ベルギーと互角かのように錯覚するほどの試合だったが、こう考えると日本とベルギーはかなりの戦力差があったということだ(実際、互角の勝負をしていたんだけど)。

それでもあそこまで渡り合えたのは日本が100%の力を出し、ベルギーは60~70%くらいの力しか出せなかったからだと思う。

アザールは試合前に「日本代表はベスト16に残ったチーム。多少の運もあったが間違いなく強い。本気で戦わないといけない。」と言っていたが、他のメンバーの中にはそう思ってないメンバーもいたのかもしれない。

どんな強敵でも100%の力を出し切れば互角に渡り合えることを日本代表は証明してくれた。この経験は今後の日本代表に大きな影響を与えるはずだし、今後の代表選手にぜひ活かしてもらいたい。


それでも薄い選手層

全ては結果論だが、柴崎に代えて山口蛍を投入したのは失敗だったように思える。酒井(宏)を下げて酒井(高)を入れたほうが良かった。

だが、この選手交代も今までの日本代表ではよくやっていた交代なので、前大会で苦し紛れにパワープレイに出たザッケローニのときとは違う。

まともな選手起用だったが、結果的に良くなかったというだけだ。

ベルギー戦、スタメン11人のうち10人は海外組だった(唯一の国内組はDF昌子)。となるとベンチに残っているメンバーの中で海外組は5人。うち1名は怪我を抱えた岡崎。2名はコンディションが良くない宇佐美と武藤。残るは酒井高徳と本田だけだった。

明らかに疲れていた原口を本田に代えたのは良かったと思う。

フランス大会から考えると海外組が15人になりかなりレベルが上がったのだが、W杯の決勝トーナメントで戦うとなるとそれでもまだ選手層が薄いということだ。


出場機会がなかった選手たちがカギとなる

酒井(宏)は前回のW杯でもメンバーに選ばれていたが、出場機会がないまま予選リーグで敗退したメンバーの1人だった。

その悔しさを晴らすように今回はこれでもかというくらいに走り回っていた。自分に与えられた役割を完全に理解しているように。

今回もベンチを温め続けていた若手選手が何人かいる。MF大島、DF遠藤、DF植田、GK中村あたりがそうだ。

大会前に急遽監督が交代になったこともあり、経験豊富選手を選んだため今回のメンバーは過去最高の平均年齢だった。スタメンの多くは30歳前後であり、次の大会はおそらく出ない(出れない)。

となると、この大会が終わったあとは大幅なメンバー変更が予想される。若返りだ。そのときは彼らがキーマンになるはず。


「感動をありがとう」だけではなく、次を見据えた応援をしたいなと思います。見る目を養い、考えることで、安易な批判や賛同ではなく確かな成長を見極められるサポーターが増えることも代表が強くなるためには必要なはず。

今大会の活躍はまぐれじゃない。確実に強くなっている。そう思わせてくれる4試合でした。

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初めましてヒロです。勉強プロデューサー、勉強コーチ、無人島開拓、古民家活用やってます。css,html,php,ruby少しいじれる。最近はベア・グリルスとかサバイバル系の動画見るのが好き。Scratchの記事は結構時間かかってるので、サポートしてくれると嬉しいです!

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Hiroaki Kato

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