クイズ大会

生徒が「ハマる環境」の作り方

こんにちは。書き出しをどうしようか迷って早くも5分経ってしまったヒロです。

私は中高生に勉強を教える仕事をしています。いわゆる「塾講師」というやつですね。

個別指導にしろ集団指導にしろ学校の授業と同じようなことをやってるだけなんですが、それだと面白くないので「クイズ大会」やりました。


その結果、色々と知見を得たのでみなさんとシェアしようと思います。「今の学校教育とか塾とか予備校って面白くないよね」って思ってる人はぜひどうぞ。


ただ観てるだけだとわかりにくいので、指導方法を完全にマスターした私なりの解説をしたいと思います。


00:00〜「人間はボタンがあるとつい押したくなる」

まず最初のシーンですが、ここからわかるのは「中学生に回答ボタンを渡すと勝手に押しまくる」ということです。

これは早くもすごいことがわかってしまいましたね。

少し前にハンドスピナーとかウィジェットキューブというのが流行ったんですが、このシーンを見るとそれと同じ効果が回答ボタンにもあることがわかります。

よくわかんないけど人間はボタンがあると押したくなるんですよ。チンパンジーを使った真面目な研究結果があったような気がしますが忘れました。

しかも回答ボタンの「ピンポン!」とか「ブー!」という音がさらに、押した時の快感をブーストしてます。

塾にしろ学校にしろ「授業時間」というだけで、みんなストレスを感じているんですが、それを軽減する効果があるわけです。

致命的なデメリットは「うるさい」ってことですね。


00:20〜「回答ボタンは圧倒的なコミュニケーションツールになる」

回答ボタンの効果として、「勝手にクイズ大会を始める」という現象も確認されました。

これもかなり良いですね。普通の授業をやっていてもこの現象は絶対に起きませんからね。

クイズの中身が「私の好きな駄菓子は何でしょう?」っていう究極にどうでも良い内容だったのも良いですね。

なぜかというと、「どうでも良い発言が許される」という共通認識が生徒たちの中で生まれたことを意味するからです。

「授業時間は余計なことを話してはいけない」という謎の暗黙ルールがぶち壊れて、自由な発言ができる環境ができている証拠です。

発言ハードルが下がることで生徒間のコミュニケーションが活発になります。これも普通の授業では見られない光景です。


00:48〜「"あみだくじ"ができないJCたち」

ここはチーム分けするためにあみだくじをやってるシーンです。

この世には「あみだくじ」がちゃんとできないJCが存在することがわかりました。

よくわからないですが、たまに上に行ったり横棒を無視したりしてしまうことがあるようです。認知の問題かな?


01:02〜「つい越後製菓って言いたくなる説」

このシーンで回答ボタンの3つ目の重要な効果がわかります。

ここからわかるのは「回答ボタンがあると”越後製菓!”と言いたくなる」ってことです。

以前から思っていたことですが、TVCMの効果は絶大で、「漢字は覚えられなくてもTVCMの歌は覚えている」みたいな生徒がかなりの数います。

越後製菓は歌ではないですが、CMは頭に残りやすいという点は同じです。

「CM曲作ってる人に勉強関係の曲を作ってもらってそれを配布しまくれば覚えやすくなるはず!」と私は以前から言ってるので誰か作りません?

なんかやらかして逮捕されたましたが、エクスプロージョンっていうダンサー・YouTuberがやってた「本能寺の変」も同じ効果ですね。

ここで重要なのは「内容は学校でやってる勉強と同じなんだけど、表現方法を変えるだけでめっちゃ記憶に残る」ということです。

クイズ大会も同じことが言えそうですね。


01:14〜 「"ですが"問題にまんまと引っかかるJCたち」

クイズ番組でよく見かけるのは「〜と言えば、、、、〇〇ですが、では・・・」みたいな出題形式。

まんまと引っかかってくれました。ここまで綺麗に引っかかってくれると気持ち良いですね。

これによってクイズ大会への生徒たちの食いつき度が上がったような気がします。

こういう要素を入れ込むのも場を盛り上げるためには重要なテクニックですね。最初にこれを考えた人は天才かもしれない。


そして、「ですが」の後に正解すると、普通の問題を正解した時より盛り上がるのもわかりました。

「ですが問題」と「普通の問題」をうまく組み合わせると抑揚が出るのでうまく使っていきたいテクニックですね。


01:43〜「自然と盛り上がるJCたち」

ここは何も意識していないと見過ごしがち。

話してる内容はわかりませんが、問題の回答を考えているところで生徒たちが勝手に盛り上がってます。

このシーンから、この場がいい感じの雰囲気であることがわかりますね。

これも「はい、これから授業を始めます。」とやってしまうと絶対に見れない光景です。

やってる内容は学校や塾の内容と同じですが、やり方を変えるだけでここまで差が出ることがわかりました。

これはより意味のある授業のやり方を実現するための大きなヒントになりそうです。


01:57〜「"桓武天皇"で盛り上がるJCたち」

「794年に都を平安京に移した時の天皇は誰?(漢字20点、ひらがな10点)」という問題を出した時のシーンです。

かつて「桓武天皇」でここまで盛り上がった人類はいたでしょうか?

いや、いないはずです。いるはずがない。


難易度に応じて点数を変えるというのはクイズでは当たり前ですが、高校入試では「漢字で書きなさい」と指定されることがあるので、漢字で書けたら20点にしたところ、思いのほか盛り上がりました。


02:21〜「早押しで負け、不服そうにするJC」

奥・後列の真ん中の生徒が「ガンディー」と答える問題で他の生徒に先を越されたときに不服そうな顔をしています。

これ個人的にツボで、何回も見て笑ってるんですが、これも場作りとしては良い兆候です。

これは明らかに「わかってたけど、答えられなかったのが悔しい」ということを表しているのですが、それだけクイズ大会にハマってるということでもあります。

今回のクイズ大会で「学力が高い人」が「早押し」で勝てる訳ではないということがわかったんですが、これは大きい成果でした。

クイズ大会をやるにあたって、最初から懸念していたのは学力差です。学力低い生徒は、クイズそのものに参加できずあまり楽しめないのではないかと考えていたんですが、そうでもないことがわかりました。

ただの記述回答だと学力差がもろに出るのはわかりきっていますが、「早押し」でもそうなると考えていました。

ところが蓋を開けてみると意外とそうでもなく、「早押し」システムの導入によって「学力差による参加度差」を縮めることができたようです。

他にも「回答者をランダムで決まる」「チームで相談して回答する」など複数の回答システムをやってみましたが、どれも盛り上がって良い感じでしたね。

「織田信長を本能寺で自害に追い込んだのは誰か?」みたいな単純な問題を繰り返していると飽きてくるので、飽きないように複数の回答システムを使い分けるというのは、クイズ大会(場)を盛り上げるためにとても有効ですね。


02:47〜「時空を超えるほどクイズ大会にハマるJC」

今回のクイズ大会の最大のハイライトはここです。早押しで負けて不服そうな顔をしていた生徒がこんなことを口にしました。

「なんかまだ3時くらいの感じがする。」


実際は夜の9時で、クイズ大会を開始したのは夜7時半くらいです。

よく、「時間が経つのを忘れるほど熱中する」という表現がありますが、彼女は時空間をも超えてしまったようです。間違いなく彼女はタイムリープしてます。シュタインズゲートの鳳凰院凶真と同じ能力者ですね。

しかも、この生徒たちはクイズ大会の前に4時間くらい集団授業を受けてるので、本来なら早く帰って風呂に入ったり夕飯食べたりしたいはずの状態です。

この言葉を聞けただけでもクイズ大会をやった甲斐があるというものですね。


「時間も忘れてハマる環境を作れるか」が重要

私は人が成長するときに最も重要なのは「ハマれるかどうか」だと思ってます。

「戦国武将にめっちゃ詳しい子供」や「国旗をめっちゃ覚えてる子供」はまさにこれがうまくいった事例で、時間さえあれば図鑑開いてるみたいなタイプですね。

本来、人間は誰でもこの「ハマる」能力を持ってると思うんですが、教育によってそれを失っているのではないかと思います。

今回のクイズ大会はそれを思い出してもらうためにやったんですが、大成功でした。


クイズ大会を開催するにあたって最も気をつけたのは「誰でも参加できて盛り上がれること」と「クイズの内容は受験勉強の内容に限定すること」です。

私は教育の基本はセーフティネット的な役割にあると思っています。底上げと言い換えても良いです。

学力高い生徒は放っておいても勝手に勉強するし、レベルが上がっていくんですが、学力低い生徒は放っておくと死にます。

学校や塾(集団授業)のシステムは、「学力低い生徒が置いてけぼりになり学力格差が拡大していく」というバグがずっとあるんですが、それを解決する方法がなかなか見つかってないのが現状です。


地味な光景なのでカットしてありますが、今回のクイズ大会の中で「学力高い生徒が他の生徒に教える」ということが自然と起こっていました。

生徒間で教え合うと「教える生徒」「教わる生徒」どちらにも利益があるので、これは一つの解だと思っています。

塾講師をやっているとわかりますが、「教えると理解が深まる」という利益があって、これは学習に大きな効果をもたらします。

教えていると「理解してると思ってたけど、実はちゃんと理解できてないな」とか「こういう風に考えるとわかりやすいな」とか、一人で勉強しているときには思いつかなかったアイデアが湧いてきます。

教えることに快感を覚えた人は「より理解しやすくなるためにどう教えたら良いのか」「こう質問されたらどう答えるか調べないとな」みたいなことをやり始めます。


「そういう場を作り出すにはどうしたら良いのか」

という問の私なりの答えが「クイズ大会」でした。


クイズの内容を受験勉強に限定したのも意味があって、ただクイズ大会だけやると、このnoteに書いたような本質を理解できずに「全然勉強に関係ないじゃん」という見当違いな批判がくるので、それを避けるためです。

動画が全てを物語ってるわけですが、「クイズ大会」は現在の日本における教育の欠陥を補う一つの解だと私は考えています。


タイトルは「生徒が"ハマる環境"の作り方」ですが、生徒を「ヒト」に置き換えても同じことが言えると思います。

どんな組織であれ、正しく評価し、自然と盛り上がる仕組みを取り入れれば、個々人が持っている能力を存分に引き出すことは可能なはずです。

その方法の一つが「ゲーム化する」ということですね。ゲーミフィケーションとか言われてるやつです。


ということで、「クイズ大会やりたい!」って人はご連絡ください。私がプロデュースします。


追記

このnoteを書いてしばらくして重要な気づきがあったので追記しておきます。

上記の動画だとカットされててわからないかもしれないんですが、「問題が解けたときにテンションが上がってやる気が出る生徒」や「問題が解けないときにやる気が出る生徒」、「みんなが盛り上がってると自分も盛り上がレル生徒」、「まわりはあまり関係なく盛り上がれる生徒」など生徒によって盛り上がれるポイントがかなり異なるんですよね。

場を盛り上げるためにはそういう色んなタイプの生徒の盛り上がるポイントを突かないといけないなあと思いました。

今回、クイズ大会をやる前は「学力差」をどうマネジメントするかばかり考えていましたが、実際にやってみると「盛り上がるポイント」のマネジメントも重要だとわかりました。

回答方法を複数用意しておいたのは正解でした。「全員参加の早押し」や「チームで記述回答」などいくつかの方法でやりましたが、生徒によって「早押しがいい!」という生徒もいれば「記述回答がいい!」という生徒もいました。

問題自体も早押しで即答できるものや、「感じで書きなさい」など記述の方が適しているものなど複数の問題タイプを用意しておいたのは正解でした。

問題タイプ、回答方法、学力差、などをうまくバランスさせることが、生徒たちが勝手に盛り上がれる空間を作るためのポイントだと思います。

初めましてヒロです。勉強プロデューサー/コーチ:Lv50。無人島:Lv2。サバイバル:Lv2。YouTuber:Lv1。ブログ:Lv3。Twitter:Lv5。Note:Lv2。Lvは全て自称です。