「経営戦略全史」三谷宏治

学んだことをつらつらと。

経営戦略全史を、約100年前を生きたテイラーから始めることとする。

<近代マネジメントの源流>

フレデリック・テイラー

「経営」を工場や現場の科学的管理だとして生産性向上とともに作業者の働きがいUPを狙った。経済的インセンティブ。「科学的管理法」

フォードはテイラー流を極め、大衆社会を形成。

エルトン・メイヨー

人の生産性は労働条件やプロセス改善だけでは決まらない。「ソフト」なやる気が大切。「人間関係論」

〜テイラーとメイヨーの主張相違の背景〜

テイラーが生きた20世紀初頭、人々は圧倒的貧困から抜け出す時期であった。人は生活水準向上が最も大事な目標であったため、「経済的対価」がモチベーションであった。

一方で、メイヨーの時代は、フォードが大衆社会を生み出した時期であった。人は様々な欲求のために生きる社会人となっていた。人はより社会的、献身的、感情的になっていた。人にとって重要なファクターが変化していた。

フェイヨル

経営は工場よりもっと広く、「企業統制」が中核。企業活動を6つに分ける。(ほぼバリューチェーン)

<近代マネジメントの創世>

近代マネジメントが形作られた。その後は、最も簡潔に述べれば、「60年代に始まったポジショニング派が80年代まで圧倒的で、それ以降はケイパビリティ(組織・ヒト・プロセスなど)派が優勢」となる。

チェスター・バーナード

1929年、アメリカに端を発した世界恐慌が企業に「経営」の大切さを痛感させる。経営者は外部環境の恐ろしさを知る。「豊かな大衆」による市場の拡大に頼った、成り行き任せの経営ではまずいと悟ったのである。(スローンによるGMは成功)バーナードは経営という名の山は高く険しいと語る。システムとしての企業体は、経営者が「共通の目的」をつくるものである。

ーここからが経営戦略論の登場ー

ドラッカー

マネジメントの伝道師。分権化とマネジメントである。イノベーションやCSRの大切さについて当時から言及していた。

アンゾフ

「市場における競争」(=戦略)の概念を持ち込んだ「経営戦略」真の父

①3Sモデル 意思決定の対象を戦略・組織・システムに

②ギャップ分析 戦略を、未来のあるべき姿と現在のギャップを埋めるように

③企業戦略 成長のベクトルを定め、事業ポートフォリオを管理

④競争力の源泉 既存の企業活動のなかでもコアとなる強み

ケイパビリティとポジショニングの融合を勧めた

チャンドラー

戦略と組織は相互に深く関わる。「組織は戦略に従う」と言われるのは、戦略は容易に変えられるが、組織の変革には時間がかかるから。

バウアー

マッキンゼーを作り、「組織戦略」を推し進めた。事業部制の支援という「商品の絞り込み」と、「答えの標準化」

アンドルーズ

「戦略プランニング手法」を広めたが戦略自体はアートだと信じた。SWOT分析はただの整理図にすぎない。戦略は定型化できない。(ポーターが後に反旗を翻す)

コトラー

マーケティング界のドラッカー。STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング(どう差別化))

PLC(プロダクトライフサイクル)理論 戦略は製品自体のステージで決まる

競争的マーケティング戦略 戦略はプレイヤーのマーケットポジションで決まる

<ポジショニング派の大発展>

ヘンダーソン

BCGの誕生と3つの飛躍「時間」「競争」「時間配分」経験曲線

成長・シェアマトリクス 初めて事業の数値で分析 大テイラー主義

グラック

マッキンゼーの逆襲

ポーター

ポジショニング派のチャンピオン。「儲けられる市場」を選んで、「儲かる位置取り」を

「5力分析」外部環境分析

「戦略3類型」全体で戦う位置取りは、コストリーダーシップ戦略か差別化戦略か

「バリューチェーン」よいポジショニングを維持するためのよい企業能力

<ケイパビリティ派の群雄割拠>

ピーターズ

反ポジショニング的ヒット作『エクセレントカンパニー』

7S(7つの成功要因) ハードSとソフトS(ケイパビリティ)

ストーク

「タイムベース戦略」 付加価値を上げる+コストを下げる

ハマー

破壊的リエンジニアリングは自分自身も壊した

ハメルとプラハラード

未来に向けた成長戦略「コア・コンピタンス」=機会付きの強み

イノベーションの祖シュンペーターとフォスター

マッキンゼーの「イノベーション戦略」 2重のS字曲線 担当者の変更

ターマン

シリコンバレーからイノベーターたちがやってきた。起業には、戦略をゆっくり練るのではなく外部から来る機会に素早く対応し続けよ。

センゲと野中

起業の競争優位は、個人と集団両方の継続的学習からしか生まれない

野中のSECIモデル 暗黙知×暗黙知から形式知×形式知へのイノベーションサイクル

バーニー

「資源ベースの戦略論」(RBV)で資源優位を説いたが、外部環境を取り入れる構造になっておらず、VRIO分析が台頭

<ポジショニングとケイパビリティの統合と整合>

ポーター

世紀末に放った反撃の一打『戦略とは何か』 ケイパビリティなどただの業務効率化だ。

ミンツバーグ

「コンフィギュレーション」経営戦略 企業の発展段階においてポジショニングとケイパビリティの組み合わせは変わる。場合による。

キャプトンとノートン

提唱した管理手法バランスト・スコアカード。1970年代後半から、財務価値、株主価値偏重が始まっていた。財務指標だけが経営者の行動原理となり、人減らしで短期的に収益を上げたり、有望事業売却によるキャッシュへの変換で株価が上がって報酬があがる。1990年代、脱却を図ろうとしたもの。

キムとモボルニュ

ポジショニングとケイパビリティを融合した「ブルーオーシャン理論」↓

ベゾス(Amazon)

新しいポジショニングを新しいケイパビリティで実現した 全米8カ所の物流センター(ケイパビリティ) クイックデリバリーが顧客にとって価値であった

<政治と金融の大波に企業が潰された21世紀初頭>

自由主義は不確実を減らせない。世界は膨張を続ける。サプライチェーン・マネジメント=バリューチェーンの機能と機能のつなぎ目に問題がある。これを顧客側でやった「顧客関係マネジメント」は総合コンサル。

クリステンセン 

破壊的イノベーションを生むリーダーシップ。新しい技術や仕組みは遠いところにあるため顧客志向ほど敗北する。イノベーター 行動を

東海バネ ネットにより、オーダーメイドをどこで頼めば良いかわからなかった企業からの依頼が殺到

ワッツ

・人は現在と過去を必然と思いたくなる。未来は確率論だと思っているのに。歴史から、ヒントは学べるが「答え」は学べない。

・結果に目がくらむ ハロー効果(結果により自己評価が変わる)

・自分に甘い 自己奉仕バイアス

シュミッドとペイジ(グーグル)

A/Bテスト AとBを試しにやって良かった方を採用 試行錯誤を!

「社会の中で、仕事も経済成長も小さなベンチャーから生まれている。」一見無駄な試行錯誤を、小さくいろいろやってみるしかない。

WWⅡ以降のアメリカ軍から学べること(『失敗の本質』)

理想の組織こそ失敗しやすい。

「異質による試行錯誤とボトムアップを」

IDEOブラウンのデザイン思考

デザイン思考の5つの循環プロセス

「観察」(対話)による理解・共感が最初の一歩。試作のハードルを下げる。「テスト」を実地に対照実験で行う。

アダプティブ戦略

イノベーションとは人の行動原理を変えること 失敗から学ぶ錯誤

B3Cフレームワーク

土俵は市場魅力度と事業特性で見る。必ず土俵に戻る。


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