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空海とソーシャルデザイン 2020

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空海とソーシャルデザインについてあれこれ調べたことをまとめてゆきます
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記事一覧

菩薩たちからの〈16の問い〉 【ソーシャルデザイン"問い"曼荼羅 vol.3】

前回は、ソーシャルデザイン曼荼羅のモチーフとなっている五智と、それらをソーシャルデザインの文脈で再解釈した、ソーシャルデザインを成功に導く 〈5つの力〉をご紹介しました。 ●ソーシャルデザインに必要な〈5つの力〉 ≒ 五智 一.〈本来の自分〉として一念発起する力 ≒ 大円鏡智 二. 秘められた〈リソース〉に光を当てる力 ≒ 平等性智 三. 日々の煩悩を〈ほしい未来〉に転じる力 ≒ 妙観察智 四. 必要な〈デザイン〉を自在に実現する力 ≒ 成所作智 五. 大いなる〈源泉〉を生

ソーシャルデザインを成功に導く〈5つの力〉 【ソーシャルデザイン"問い"曼荼羅 vol.2】

前回の最後に、「ソーシャルデザイン曼荼羅」のモチーフとなった五智如来をご紹介しました。 五智如来は『大日経』と並んで真言密教の重要な経典である『金剛頂経』をわかりやすく表現した「金剛界曼荼羅」の中心に座しているので「金剛界五仏」とも呼ばれ、五重塔で有名な世界遺産・東寺の講堂内にも五体の像が並べられています。(下の写真は高野山・金剛三昧院の木造五智如来坐像) そして五智とは、これらの五仏それぞれが備えている知恵であり、阿閦如来の大円鏡智、宝生如来の平等性智、阿弥陀如来の妙観

仏さまは"問い"を投げかける先生だった 【 ソーシャルデザイン"問い"曼荼羅 vol.1】

春秋社のウェブマガジン「はるとあき」で連載している『空海とソーシャルデザイン』では、弘法大師・空海の教えをヒントに、社会的な課題をクリエイティブに解決するために必要な5つの力、そして21の問いをまとめています。 その背景には、ソーシャルデザインとは、仏道でいう菩薩道そのものなのではないか、という僕なりの見立てがあります。 そこでモチーフにしているのが「金剛界曼荼羅」というもので、その中心には、空海の教えである真言密教の根本仏「大日如来」が坐し、その周りに1如来+4菩薩をひ

祝! 想定外の出来事に柔軟に対応できると思う学生が69%増! 2019年度の「社会創造演習」を振り返る⑥

2019年度の「社会創造演習」をアンケートで振り返る。第5回〈ほしい未来〉編につづいて今回は〈デザイン〉編を分析していきます。 ※メイン写真は、花とハーブを使って朝起きたくなるジャムをつくるプロジェクト「はっぴージャムジャム」より 〈目次〉 第1回 そもそも「社会創造演習」って?/例えばこんなマイプロジェクト7選! 第2回 〈ソーシャルデザインに必要な力〉を測る32の指標/アンケート結果(全体編)/2020年度の32の指標 第3回 「〈本来の自分〉として一念発起する

祝! 自分のモヤモヤと社会問題との共通点に気づいた学生が130%増! 2019年度の「社会創造演習」を振り返る⑤

2019年度の「社会創造演習」をアンケートで振り返る。第4回〈リソース〉編につづいて今回は〈ほしい未来〉編を分析していきます。 ※メイン写真は、大学キャンパス内でできること、できないことのギリギリを探るプロジェクト「FREEDOMCAMP」より 〈目次〉 第1回 そもそも「社会創造演習」って?/例えばこんなマイプロジェクト7選! 第2回 〈ソーシャルデザインに必要な力〉を測る32の指標/アンケート結果(全体編)/2020年度の32の指標 第3回 「〈本来の自分〉とし

祝!「自分のちょっとした一言で、誰かの背中を押す」と思う学生が88%増! 2019年度の「社会創造演習」を振り返る④

2019年度の「社会創造演習」をアンケートで振り返る。第3回〈本来の自分〉編につづいて今回は〈リソース〉編を分析していきます。 ※メイン写真は、言葉の写真集をつくるプロジェクト「It's a small word」より 〈目次〉 第1回 そもそも「社会創造演習」って?/例えばこんなマイプロジェクト7選! 第2回 〈ソーシャルデザインに必要な力〉を測る32の指標/アンケート結果(全体編)/2020年度の32の指標 第3回 「〈本来の自分〉として一念発起する力」とは/〈

祝!「自分の可能性を最大限に発揮できている」と思う学生が220%増! 2019年度の「社会創造演習」を振り返る③

2019年度の「社会創造演習」をアンケートで振り返る。第1回、第2回につづいて今回は〈本来の自分〉編の分析です。 ※メイン写真は、ぬいぐるみなど好きなモチーフを選んで撮影会+"好評"会を開くプロジェクト「撮影女子会」より 〈目次〉 第1回 そもそも「社会創造演習」って?/例えばこんなマイプロジェクト7選! 第2回 〈ソーシャルデザインに必要な力〉を測る32の指標/アンケート結果(全体編)/2020年度の32の指標 第3回 「〈本来の自分〉として一念発起する力」とは/

〈ソーシャルデザインに必要な力〉を測る32の指標とは? 2019年度の「社会創造演習」を振り返る②

第1回の記事では、「社会創造演習」から生まれたマイプロジェクトをダイジェストで紹介してきました。久しぶりに「noteのおすすめ」にもピックアップしていただくなど、多くの人に届いて嬉しかったです◎ 2回目となる今回は、授業での学びを可視化するためのアンケートについて、どんな指標を用意し、全体としてどんな傾向がみえてきたのか、簡単にご紹介したいと思います。 ※メイン写真は、いつもの風景を亀や花などの視点で切り取るプロジェクト「ANOTHER ROUTINE」より 〈目次〉

ソーシャルデザインに必要な力は身に付いたの? 2019年度の「社会創造演習」を振り返る

いつのまにか梅雨も明けて夏真っ盛り。はや4年目となる京都精華大学の前期授業も先週で終了しました。 僕が担当させていただいた授業は、人文学部2年生の必修科目「社会創造演習」(単位取得予定者およそ70名)、全学共通科目「ソーシャルデザイン概論」(単位取得予定者およそ200名)、デザイン学部の選択科目「デザインスキル6(言葉とデザイン)」(単位取得者14名)など。 どの授業も初めての挑戦と失敗、確かな手応えがあった充実の4ヶ月でしたが、このうち「社会創造演習」について忘れないう

〈ほしい未来〉を明確にするヒントとしての「存在目的」

ソーシャルデザインの多くは、モヤモヤから始まります。 そして、そんな日々の煩悩を〈ほしい未来〉に転じる力を身につけるためには、「何が気になる?」「何を断ち切る?」「何に応える?」「何を願う?」という4つの問いがヒントになる、と僕は考えています。 まずは、何にモヤモヤをしているのか吐き出し、しっかりと受け止める。そして、モヤモヤに振り回されないように現状を正しく理解して、本当のニーズを探る。さらに、カラダとココロの声に耳を傾けて、自分にとって大切なテーマを見極め、最後に自分

〈ほしい未来〉の方向性に気づくヒントとしての「コンパッション」

ソーシャルデザインの多くは、モヤモヤから始まります。 そして、そんな日々の煩悩を〈ほしい未来〉に転じる力を身につけるためには、「何が気になる?」「何を断ち切る?」「何に応える?」「何を願う?」という4つの問いがヒントになる、と僕は考えています。 まずは、何にモヤモヤをしているのか吐き出し、しっかりと受け止める。そして、モヤモヤに振り回されないように現状を正しく理解して、本当のニーズを探る。さらに、カラダとココロの声に耳を傾けて、自分にとって大切なテーマを見極め、最後に自分

モヤモヤを勇敢に断ち切るヒントとしての「システム思考」

ソーシャルデザインの多くは、モヤモヤから始まります。 そして、そんな日々の煩悩を〈ほしい未来〉に転じる力を身につけるためには、「何が気になる?」「何を断ち切る?」「何に応える?」「何を願う?」という4つの問いがヒントになる、と僕は考えています。 まずは、何にモヤモヤをしているのか吐き出し、しっかりと受け止める。そして、モヤモヤに振り回されないように現状を正しく理解して、本当のニーズを探る。さらに、カラダとココロの声に耳を傾けて、自分にとって大切なテーマを見極め、最後に自分

モヤモヤをしっかり受け止めるヒントとしての「アクティブ・ホープ」

私の場合は、「なんで、こうなっちゃうの?」という疑問やいらだちから物事がスタートすることが多いんです。(...)ネクタイもリサイクルも、誰もが知っている、世の中の普通にあるもの。なのに“残念なこと”になっているのはもったいない。 遠山正道さん『日本をソーシャルデザインする』グリーンズ編、p94 ソーシャルデザインの多くは、モヤモヤから始まります。 そして、そんな日々の煩悩を〈ほしい未来〉に転じる力を身につけるためには、「何が気になる?」「何を断ち切る?」「何に応える?」

"3rd Place"から"0th Place"へ

4月5日(金)に開催する「空海とソーシャルデザイン2019」キックオフイベントでは、ゲストにThinktheEarthの上田壮一さん、NOSIGNERの太刀川英輔さんをお迎えし、「ソーシャルデザインというテーマでいま話してみたいこと」をたっぷり伺おうと思っています。 僕も含めて3人×3つずつ=9つのキーワードをもとにトークを進めていく予定ですが、僕が出そうと思っているキーワードがWHOから始めよ!、0番目の場所、「やりたい」から「やらせていただく」へでした。 前回に続いて