見出し画像

場づくりには、"バグ"が必要だ。

今夜は、僕も理事を務めているNPOグリーンズ主催「green drinks STAY HOME!!!」というオンライン呑み会イベントの2回目。

ゲストに『場づくりという冒険 いかしあうつながりを編み直す』を出版したばかりの藤本遼さんを迎え、「いかしあう場づくり」をテーマにワイワイしたのだけど、やー、面白かったです。


画像1


内容もさることながら、沈黙がプレッシャーにならないようにBGMを流したり、グラフィックレコーディングを取り入れたり、これまでの失敗経験をいかした工夫もてんこ盛り。

個人的には、後半からZOOMの設定で、全員を共同ホストにして、Remoのようにいろんな部屋を行き来できるのが新鮮で、よく知られた対話の手法のひとつ、オープンスペーステクノロジー@オンラインの可能性をひしひしと感じた時間でもありました。


で、オンラインで場づくりはどう変わるの?

大きな論点としてみんなで盛り上がったのが、バグというキーワードでした。それは、藤本さんによれば予期しない偶発性のこと。

例えば、財布を落としたことで、すれ違った人と声を交わしたり。兼松家でいうと、娘とダンボールとゴムでギターっぽいおもちゃをつくっていたら、本物の楽器が欲しくなって安いウクレレを買い、指にマメができるくらいハマってしまったり。

バグが発生するからこそ、つながりが生まれたり、創造性が解放されたりする。だからこそ、「バグのないコミュニティはつまらない」(藤本さん)

でも、いまいろいろ行われているオンラインイベントでは、あまりバグは起こっていないのではないか。それは参加者の均質化傾向だったり、シンプルにZOOMのUIかもしれない。

そんな藤本さんの問題提起のおかげで、参加者全員がブレイクアウトルームを気ままに行き来しながら、いいバグが続出する結果となり、最近バグったのはいつか? バグはいかに起こるのか? バグをどう受け止めるのか? といった対話に花が咲いたのでした。(というか、お酒は場をバグらせるためにあるのかもしれない...!)


場にはバグが必要

といっても、例えばこちらの記事のように、オフィスがなくても不便を感じないという組織も増えています。みんながリモートで働くこともできる環境において、どうクリエイティブなバグを生み出すことができるのでしょうか。



NPOグリーンズの周りでは、slackで「#チェックイン」専用のチャンネルをつくるチームが増えている気がします。

チェックインは対話のツールの一つで、「今日の体調」や「いまの気持ち」、「最近のトピック」などを自由に話す時間のこと。会や一日の始まりにチェックインがあり、終わりには「今日どうだったか」というチェックアウトをします。

これはベストセラーとなった『ティール組織』の3つのキーワードの一つ、Wholeness(ホールネス:全体性)に関わる工夫ですが、こうした仕事とあまり関係ない話もチームで共有することが、心理的安全性を高めてくれることを実感しています。そこはまさにバグの宝庫なのでした。



結局のところ、見えないリソースを顕在化させてコミュニティのポテンシャルを高めるホールシステム・アプローチに代表されるような、組織開発や社会変革のために磨き上げられてきたさまざまな対話の手法が、リモートワーク時代に改めて脚光を浴びているのかもしれません。(すでにこうした状況がバグってるという話もありますが)

今回green drinks STAY HOME!!!でオープンスペーステクノロジーがうまくいったように、オンラインならではのアイスブレイクや、オンラインならではの一体感の作り方など、未来を出現させるチャンスとして予期せぬバグをいかす技術を、これからも探究してゆきたいと思います。

ちなみにオンライン一本締めは時間差のバグが起こりやすいので、オススメです◎

はじめまして、勉強家の兼松佳宏です。現在は京都精華大学人文学部で特任講師をしながら、"ワークショップができる哲学者"を目指して、「beの肩書き」や「スタディホール」といった手法を開発しています。今後ともどうぞ、よろしくおねがいいたします◎