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〈ほしい未来〉はどう見つかるの? 煩悩を転じて 「ほしい未来」を描く「MOYAMOYA研究」のすゝめ①

【19/10/31 追記】最新版「MOYAMOYA研究」の記事を公開しました!

前回「ソーシャルデザインの公式 2019ver」という記事で、


本来の自分 × ほしい未来 × リソース × デザイン = ソーシャルデザイン!


という公式とともに、次の曼荼羅のような図をご紹介しました。

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このうち〈本来の自分〉と向き合うワークがbeの肩書きであり、〈リソース〉を発見するワークがコミュニティすごろくであり、手法としての〈デザイン〉をブラッシュアップしていくワークがスタディホールにあたります。

そして今回は〈ほしい未来〉を描くためのワーク「MOYAMOYA研究」について、現段階のアイデアをまとめてみたいと思います。

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みんなの〈ほしい未来〉

僕がgreenz.jpの編集長をしていた3年目に、タグラインが「ほしい未来は、つくろう」に変わりました。

そのタイミングで、寄付読者の仕組み「greenz people」の方々向けに制作したのがgreen Books vol.1『みんなのソーシャルデザイン宣言』(2013)で、その本にはたくさんの〈ほしい未来〉〈ほしい社会〉〈ほしい世界〉が掲載されています。

下の写真の左上にある黄色い小さな本なのですが、おそらくもう絶版になっているので、一部、抜粋してみようと思います。(敬称略、肩書きは2013年当時のもの)

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みんなが家だとしたら、窓が世界に向かって開けている。そんな世界。そういうふうに、みんながなると、とってもいいと思うんだけどなあ。
ナカムラケンタ(日本仕事百貨)


一人ひとりが自分の専門性を持ち、創りだすことを楽しめる社会。
安斎勇樹


デザインにまつわる秘密がなくなっていく世界。僕が見つけた秘密は、どんどん教えてあげたい。
太刀川英輔(NOSIGNER)


それぞれが生活の解像度を高め、いまここに生かされている日々を自分ごとにしている社会。
中村真広(ツクルバ)


眠っているエネルギーが生かされる、使われていく社会。一人ひとりの中のエネルギーも。地域に眠っている資源も。
友廣裕一(つむぎや/OCICA)


みんなが、自分の可能性を信じられる社会。そして、「よくわからないけど、やらない」をやめる社会。
米良はるか(Readyfor?)


みんながいい本を読んで、自分の頭で考える社会。みんなが考えれば、読まなくてもいいんだけどね。
内沼晋太郎(numabooks/B&B)


「誰も排除されない」「誰もが役割を最大化できる」社会。
塩山諒(スマイルスタイル)


少数の「専門家」に社会づくりを預けっぱなしにせず、たくさんの「考える素人」の得意が生きる社会。
横尾俊成(港区議会議員/グリーンバード)


全ての人が居場所を持ち、自分自身の価値を認められる社会。
門田瑠衣子(PLAS)


都会も田舎も本土も離島も、みんなが温かい心をつないでいける社会。
鯨本あつこ(離島経済新聞社)


みんなの中にある「こうなったらいいな」を出して、どんどんプロトタイプできる世界。新しいことに挑戦する喜びを感じてほしいし、「未来をつくっていくのは楽しい!」という空気感をつくりたいですね。
青木竜太(TEDxKids@Chiyoda/VOLOCITEE)


ホームレスや生活保護者のおっちゃんたちが排除される社会から、自分らしく生きられる社会へ。そもそも、どんだけ失敗しても、ホームレスにならない日本にしたい。
川口加奈(Homedoor)


子どもを通して、幸せを感じることのできる社会をつくる!
小笠原舞(asobi基地/こども未来探求社)


幼い頃から"ホンモノ"に触れられる社会にしたい。
矢島里佳(aeru)


自由で自由で自由なんだけど、ちょっとあたたかい社会。超モヒカンみたいなやつがいるんだけど、おばあちゃんと超仲良しみたいな。
寺井元一(MAD City)


いかがでしょう。まさに十人十色で、言葉遣いにもその人らしさがにじみ出ていますよね。

こうしてまとめてみて、改めて感慨深かいなあと思ったのは、それぞれの仲間たちが5年以上経ってもブレることなく、まっすぐに進み続けていることでした。

「beの肩書き」を通して思い出した〈本来の自分〉がソーシャルデザインの足場を固める土台だとすれば、〈ほしい未来〉とはソーシャルデザインを導く、まさにコンパスのようなものなのかもしれません。

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ちなみに、この本の最後は、現在greenz.jp編集長を務める鈴木菜央の、こんな言葉で結ばれています。

一人ひとりが人生の主役になれる社会。その萌芽は、今あちこりで芽吹き始めています。それを集めて可視化して、大きなムーブメントに育てて行きたい、と思っています。それが、この本を発行した目的です。

この物語の主役は、あなたです。あなたのほしい未来は、どんな未来ですか?
『みんなのソーシャルデザイン宣言』p73

そう、この宣言集をつくった目的は「世の中にはすごい人がいるもんだあ」と感心してほしいからではなく、「自分だったらどんな感じになるかな」を考えるための事例集として使っていただくことにあったのです。


〈ほしい未来〉はどうしたら見つかるの?

とはいえ、編集長時代によく聞かれた質問のひとつが、「〈ほしい未来〉はどうしたら見つかりますか?」というものでした。「そんなの考えたことがないから難しい」と。

それはそうだと思います。逆にいえば、最初はイメージが沸かなくとも向き合い続けることによって、どんどん思い描きやすくなるものでもあるように思います。では、何をヒントとすればいいのでしょうか?

そこでまず整理しておきたいのが、〈ほしい未来〉が生まれる2つのパターンです。

「〈ほしい未来〉と出会う2つのパターン」につづく

はじめまして、勉強家の兼松佳宏です。現在は京都精華大学人文学部で特任講師をしながら、"ワークショップができる哲学者"を目指して、「beの肩書き」や「スタディホール」といった手法を開発しています。今後ともどうぞ、よろしくおねがいいたします◎