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ひずみ と はずみ

たった1文字の違い。しかし軽んじてはならない。

なぜならば3文字中の1文字、実に33%以上が異なるのだ。
それはもう全くの別物だ。
家系図で例えると「ハラ違いの兄」ぐらい違う。

漢字で

ひずみは漢字で「歪み」と書く。不正を大胆にも縦にあしらっている。
ゆが(み)、とも、いびつとも読むこの「歪」は、文字通りねじ曲がった様を表している。

はずみは漢字で「弾み」と書く。弓が単(ひとえ)とはどういう意味か。
はじき弓という武具からきているそうだ。というか弓は基本はじくものではないのだろうか。

漢字は大抵の場合、いくつかの漢字が重なりあって出来ている。
ティーチャーGolden Eightが口にした「人という字はなんたらかんたら」に通じるものがあるといえるだろう。

不正はよくない。武具を用いて不正をはじく方が性に合っている。

英語で

His me.(ヒズミー)は「彼の私に」。意味がわからない。
一方、Has me.(ハズミー)は「私がいる」だ。いやあえて「俺ガイル」というべきなのだろうか。

意味が通ることに加えて、強引に直訳すると「私を持っている」。
カッコイイ・・・

カッコイイものには勝てない。Has me.に軍配が上がるといえよう。

音楽で

歪みと聞くとギターロック、グランジ、オルタナなどでよくよく用いられる、ギュワワーンとした音、音の波長をゆがめた音(ディストーション)のことだ。私が好んで聞く音楽にはほぼコレが入っている。

弾みと聞くとスウィングを連想する。
4/4拍子に三連符が並んだり、タン・タ・ターン♪といったシンコペーションが多用される、極めてジャジーでブルージーな音楽だ。
これまた私が好んで聞く音楽には入っていることが多い。

ということは、音楽方面に思いをはせたらば、これはもう互角だ。
音楽に争いはいらない。

たとえば歪みが無くなれば

「歪み」がなくなれば、規律は規律としての異議を失う。
歪んでいる状態が無いということは、真っ直ぐな状態も無いということだ。

規律無き世界にはデザインは恐らく必要ないだろう。ならばルールがない世界なんてゴメンだ。

歪みは必要なのだ。

たとえば弾みが無くなれば

「弾み」がなくなれば、全ての事柄は勢いを失うことだろう。
争いはおこらなくなるかもしれないが、代わりに成長がなくなり、いずれ滅してしまいそうだ。

ゴムのボールが跳ねなくなって、世界から球技が消失するだろうし、
勢いから恋がうまれることも、世界に家族がひとつ増える事もなくなる。

弾んだところのないデザインほどおもしろくないものはない。
見るのでさえ面白くないのだ。やるのはもっとつまらない。

弾んでいない状態が無いということは、つまり抑揚がないということ。
まるで無間地獄だ。地獄に行くにはまだ早い。

弾みもまた、必要なのだ。

ひずみもはずみも

思うに、世界には「ひずみ」も「はずみ」も無ければならないものなのだ。

たとえばこんな悪ふざけみたいな文章だって、
なにかのひずみを感じたから思いついて、
なにかのはずみで書いたのだから。

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