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高校生になってから眼鏡をかけ始めた。

授業を受けていて黒板の文字が見えにくいと感じることが増え、半信半疑で眼鏡屋に行くと、びっくりするくらい視力が落ちていた。

数字だけを見ると、どうして今まで気がつかなかったんだろうと思うほどだった。ただ、通常、1日や2日で視力がガクンと落ちることはない。徐々に悪くなっていくから、その過程で悪くなっていることに気づきにくい。

同じように「未来を見る眼」というのも、知らず知らずに悪くなっていくことがある。

シナリオプランニングという未来のことを考える手法を使ってコンサルティングをやっていると、「未来を見る眼」が良い人もいれば、良くない人もいることがわかる。そして、時間を経て、その状態が良くなっていく人もいれば、その逆の人もいる。

じゃあ、その差は何だろう?

もちろん、いろいろな要因はあるが、「未来を見る眼」が良くない人に共通している発作的な症状として、何か新しいものに触れたとき、「そんなはずはない!」という声をあげることというのがある。

発するセリフはまちまちであるものの、自分が知らないもの、特にこれまで慣れ親しんできたものを否定するようなものに対して過剰な反応を示すという点は共通している。

考え事をするために、たまたま今日読み返していた本のうち2冊に、そういう症状をうまく説明している箇所があった。

未知のものに直面すると、人々は慣れ親しんだものを失うかもしれないという恐怖に襲われる。多くの人々は、権威のある人に頼り、答えを求める。
(『対話型組織開発』230ページ)
見えるはずだと思うものは、はっきり見える。自分のパラダイムに合致しないデータは、よく見えない。まったく見えないことさえある。

「間違った」データが目の前に出てきたとき、わたしたちは、関係ないといって無視するか、自分のパラダイムに合わせ、歪めて読んでしまう。
(『パラダイムの魔力』110ページ)

そうはいっても、「そんなはずはない!」と言いたくなる気持ちもよくわかる。なぜなら、未知のものを警戒することは、古来から私たちが生き残っていくために必要な反応だったはずだから。

そう考えると、未知のものに過敏に反応してしまうこと自体は悪いことではない。当然のことだ。

一方で、良くないのは、過敏に反応してしまったことをごまかすかのように、目の前のことをありのままに見ようとしないことだ。

そういうことを繰り返していくと、あなたの「未来を見る眼」は確実に曇っていってしまう。

あなたにとっては「信じられない」データや事例であったとしても、それが信頼のおけるものである限り、そのデータや事例は「事実」なのだ。

幸い、警戒心を持っているときというのは、普段よりも注意深く行動することができる。だから、その注意深さをもって、目の前にある「信じられない」データや事例を注意深く眺めることから始めてみよう。

それを続けていくと、気づいた頃には、あなたの「未来を見る眼」はかなり良くなっているはずだ。

■最後まで読んでいただき、ありがとうございました■

シナリオプランニングを学びたい・試してみたいという方は株式会社スタイリッシュ・アイデアのウェブサイトをぜひご覧ください。

Photo by Mel Baylon on Unsplash

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