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~神話・民話の世界からコンニチハ~ 25 中国神話より、ひとりの巨人と天地開闢(てんちかいびゃく)

おはようございます。近ごろはだいぶ温かくなってきました。

第二十五回は! 中国神話から、世界で最初にお生まれになったただひとりの巨人、盤古(ばんこ)さまの死による世界の誕生、そして三皇の方々の顕現(けんげん)のお話&インタビューです。

今回のお話

その昔、卵の中身のように混沌とした状態から世界でただひとりの巨人の神、盤古さまがお生まれになったとき、天と地はとても近すぎて、盤古さまはとても窮屈で暮らしにくい思いをしていました。

そこで、盤古さまは一日一日とその背を伸ばしてゆくことで、天と地のあいだを押し広げていき、一万八千才になったとき、ついに天地を分離することに成功しました。盤古さまのそのまぶたを開けると世界は染明け、閉じると黄昏となりました。息を吐くと世界は暑くなり、吸うと寒くなりました。

そして盤古さまは老いて死に、その体からはさまざまなものが誕生していきました。

その両目は太陽と月となり、息は風となり、声は雷に、頭や五体は山岳に、体からにじみ出た油は川と海に、髪や皮膚は草木になりました。この世の万物で、盤古さまから誕生していないものは何も無いのです。

そして世界が定まった後に、三皇(さんこう)と呼ばれる神さまがたが現れになりました。伏羲(ふくぎ)さま、神農(しんのう)さま、女媧(じょか)さまです。



……三皇には、このお三方以外の組み合わせもたくさんあり、盤古さまも死後にそのお体が世界になった説と、もともと世界そのものであり、万物とその現象であるという説、実在に近く、たくさんの子どもをもうけたという説と、さまざまなものがあります。盤古さまの諸説、そして三皇五帝を始めとする中国神話の「神さま」というのは、絶対の力を持った神ゴッド、という存在よりも、どちらかというと実在の人物の行いをもってそれが尊いために神さまとするという感じがとても強いです。まさに仙人、というイメージ。

伏羲さまは天地の理(ことわり)を理解して八卦を画き、文字をつくり、蜘蛛の巣に倣って網(鳥網・魚網)を発明し、また魚釣りを教えたとされます。

神農さまは木材をつかって農具をつくり、土地を耕作して五穀の種をまき、農耕をすることを人々に伝え、また、薬となる植物の効用を知らせたとされます。

そして女媧さまは、伏羲さまの妹君でありまた妻でもあります。泥をこねて人間をお造りになりました。

……それでは、三皇のなかから、女媧さまとの対談インタビューと参りましょう!


すー: 女媧さま、どうぞよろしくお願いいたします。

女媧: ニーハオ~! こちらこそ、よろしくアルね。

すー: 物語の時系列的に、盤古さまのお話を最初にしましたけど、世界の大洪水のあとに伏羲さまと女媧さまが生き残り、人類の始めになったという伝説もあるんですよね。これまで追いかけてきたメソポタミア神話もけっこう異説がたくさんあって神さまがたがちゃんぽんになっていたり、バビロンのマルドゥクさまみたいに権勢誇示の目的でひとつの神さまが強くプッシュされていたりしましたが。中国神話も、盤古さま、そして三皇の方々の伝説にしてもバリエーションがとても広いです。

女媧: 中国の大地は、自然を敬う文化がさまざまなところから伝わってきて残ったアル。三皇も自然の中でいかにひとびとが良い暮らしを送ることができるかという術を残した、というところに重点があるアルね。

すー: 伝説としての文献の古さは、紀元前である漢の時代の「史記」にはすでに記述がある伏羲さまと女媧さまの方が先で、盤古さまのお話は三世紀になってからの文献で初めて残っていますからね。書物の順番通りのストーリーを追うと、世界があって、洪水で一度滅んで再生したお話が先で、今回の盤古さまの死によって万物が生まれたというお話があとになっちゃいます(笑)

女媧: たくさんのさまざまな物語が残っているということは、中国でも神話や伝説をずっと親しんできたひとびとが多かった、ということアルね。殷、周、秦、漢、三国、晋、南北朝、隋、唐、五代、宋、元、明、清と、代々の王が治めていたころは、焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)というおバカなことがときに行われたことはあっても、それをかいくぐって祖先の霊と物語とを大切にしてきた多くのひとびとがいたということアル。中華民国、中華人民共和国となっても、物語の豊かさはなんとか守られたアル。すこしくらい、文献としては物語の順番が違っても、問題ないアルよ。

すー: はー。中国ン千年の歴史の深さを感じます。世界が洪水で滅びてから、天地創造があっても問題ないと(笑)

女媧: 洪水神話で最初の人間ともされる私と夫の伏羲の体が、一説では蛇のすがたで表されるつながりは、龍体である古き神々の息吹が東洋の地域には強く残っているということアルね。

すー: 確かに。東洋は今でも龍神さまをお祀りするところが多いです。自然の風雨という恵み、そして大地の恵み。それが猛威ともなることを東洋は気候や地質として強く感じる場所でもあるからでしょうかね。台風はしょっちゅう来ますし。地震も多いですし。激しい気候や天候、地震や津波が起きるのは神さまがたの範疇(はんちゅう)という意識が強いのかもしれません。女媧さま、どうもありがとうございました。次回もどうぞよろしくお願い致します。

第二十五回「~神話・民話の世界からコンニチハ~ 25 中国神話より、ひとりの巨人と天地開闢(てんちかいびゃく)」は以上です。

少しでも楽しんで頂けたなら、それに勝る喜びはありません。

ここまでお読みくださり、誠にありがとうございました。

次回予告

第二十六回は、天地が創られた後に壊れかけたため、それを修復した女媧さまのお話&インタビューを予定しています。お楽しみに~。

※ 見出しの画像は、みんなのフォトギャラリーよりAsamiさんの作品をお借りしました。ありがとうございます。

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