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むかしのうたへ おもううた4 アメリカ名詩選より

おはようございます。今日は「むかしのうたへおもううた」その4をお届けいたします。

引用元にしましたのは岩波文庫の「アメリカ名詩選」(1996年11月第8刷)から。

ウォレス・スティーヴンズ氏、アメリカ現代詩を代表する詩人さん、ハーバード大学の研究生を3年在籍したのち、ニューヨーク・ロースクールから法律を学んでハートフォード損害保険会社に就職。副社長まで昇り、生涯同社に勤めました。詩集は40代に入ってから初めて出されたとのことで、私もミジンコながら40代でリアル絵描き活動を始めたこともあり、とても親近感を持ちます。

彼の作品から冬のウタをひとつ、日本語訳の部分を。

【38】The Snow Man 雪の男(雪だるま)

霜や、雪の皮でおおわれた
松の枝をじっと見つめるには、
冬の心を持たねばならない。

じっくり寒さをこらえてはじめて、
氷でけば・・だったビャクシンの木や、
一月の陽を受けて遠くできらめくぼさぼさの

トウヒを眺めることもでき、また風の音や
かすかな葉擦はずれの音に、
みじめな思いをせずにいられる。

その音は、同じように吹きさらしの
至るところで吹いている
同じ風にさらされた、大地の音。

聞く者は、雪の中で耳を傾け、
わが身も無と化して、そこにないものは
何も見ず、そこにある「無」を見つめるのだ。



……この作品が、初めて刊行されたのは1921年10月。

ほぼ100年前の作品ながら、アメリカも日本も同じ北半球。1月は昔も今も、一番寒い季節の体感は同じで、時も場所も超えて、風のたけだけしさを耐え、雪の重みで静かなそのとき、を感じられるようです。

この素晴らしい詩に、私なりの返歌は


1月の 雪野に黄色く 咲く花と
緑の産声 ふきのとう

無音の冬を 超え行きて
四季駆けの春は ついに至り

いちがつの ゆきのにきいろく さくはなと みどりのうぶごえ ふきのとう

むおんのふゆを こえゆきて
しきかけのはるは ついにいたり

それでは、今日も良い1日を~♪

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