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「過去未来報知社」第1話・第11回

<<第10回
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 明治や大正時代の小学校みたい。
 笑美が六合荘に最初に抱いたのは、そんな感じだっった。
 どことなく重苦しくこちら側にもたれかかってくるようなシンメトリーな作り。
 規則正しくならんだ窓。
 無機質な少しくすんだ白樺の壁。
 小学校の裏にこんな旧校舎があったな、と頭の片隅でぼんやりと思い出す。
 あまり思い出したくもない昔の記憶を、笑美は頭を振ることで追い出した。
 玄関横の呼び鈴を押そうとした笑美は、ソレと目があった。
 うっすらと細く開かれたドアの隙間。そこから覗く細く光る目。
「キャーッ!」
 叫ぶなり笑美は外開きのドアを思いっきり押し付けた。
「ギャーッ!」
 ドアの中から響く甲高い叫び声。
「なんだ? どうした?」
 男は笑美の両脇を抱えて軽々と持ち上げた。
 空中で足をジタバタさせる笑美。
「な、なんか、いた。なんか覗いてた!」
「酷いなぁ……」
 キィ……ときしんだ音を立て、ドアが開く。
 そこに立っている男を見た笑美と男は……。
『ネズミ?』
 右手にふーふーと息を吐きながら出てきた男。30半ばぐらいだろうか。
 薄い髪を、ぴっちりと半々に分けて丁寧に撫でつけている。
 カーキ色のパンツに白いYシャツ、アーガイルのニットを羽織る。
 のっぺりとした顔で一際目立つのは、大きな出っ歯。ちょろりと生えた髭。
 神経質そうに小さな丸メガネを押し上げてこちらを見上げている。
 小柄な笑美より、さらに小柄なのである。
「おたくら、どちら様?」
「私は……」
 笑美が名乗ろうとした時だった。
「キャーッ! ねづっちが帰ってきてる~!」
 黄色い喚声が背後で響く。
 同時に男はビクッ! と肩を震わせるとキョロキョロと辺りを見渡す。
 周囲には誰もいない。
「今のは……」
「つーかーまーえた!」
 ドサッと音がして、上から何かが男に向かって落ちてきた。
「ギャーッ!」

>>第12回
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