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「過去未来報知社」第1話・第9回

<<第8回
https://note.mu/su_h/n/nb5c5b3a3f7ae
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「……そこに何かご用ですか?」
「大家に会いたい」
「大家さんのお知り合いですか?」
「そうとも言えるし、そうじゃないとも言える」
 笑美は男をねめつけた。
 男はしらっとした顔で笑美を見下ろしている。
「行っても、会えないそうですよ」
 男は首を傾げる。
「なんで?」
「引きこもり中、だそうです」
 さらに男は首を傾げた。
「俺の知っている大家は、いい年をした大人の男だったと思ったが」
「いい年をした大人が引きこもっていて、いろいろ周りが困っているんだそうですよ」
「……そうか。まぁ、変人のようではあったな」
 顎に手を当てて首を巡らす男。先ほどからどうも常人と会話のテンポにズレがあるようだ、と笑美は思った。
「じゃ、私は仕事がありますので!」
 笑美は片手をあげると、足早に公園を後にする。
 その脇をすり抜けて、黒猫が笑美の前にでる。
「な、なによ」
「にゃあ」
 笑美に向かって一声なくと、猫は笑美の前に立って歩きだす。
 しばらく歩くと、止まって振り返り、また一声鳴いた。
「……もしかして、ついてこい、って言ってる?」
「みぎゃ」
 答えるように一声なくと、猫は今度は止まらずスタスタと歩き出した。「六合町の案内猫……」
 つぶやくと、笑美は急いで猫の後を追った。

>>第10回
https://note.mu/su_h/n/n827e068b087d
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