読みたい本を、つくればいい。
田中泰延さんという人といっしょに、本を作った。渾身の力を込めた本。渾身だ。
田中さんはもうすぐ50歳だ。24年間、電通のコピーライターとして、クライアントの商品の魅力をできる限り短い言葉にまとめる「コピー」という受注制作物を作り続けた。しかしあるとき、「誰かのために書く」ということが苦手になり、電通を離れ、映画評や音楽評などの随筆という形で「自分のために書く」という生き方を選んだ。
私は、田中さんに依頼したとき、34歳だった。10年間、編集者として、読者の課題解決に繋がる