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心が動いた記憶

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日々感じたことを言葉にして表現する練習。心が動いたことを、そのままにしないように、書きたいことを書きます。
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2019年8月の記事一覧

#45 あの夏にも、この夏にも、うんと昔の夏にも乾杯

#45 あの夏にも、この夏にも、うんと昔の夏にも乾杯

「カメラを捨てるべきやな」
彼女は言った。いつになく真剣な表情で、一点を見つめながら。
「写真を撮ってしまうと、記憶が薄くなる気がする」

潮風が、やさしく頬を撫でる。

「憶えておきたいのは、そのときの匂い、音、誰かの表情。
・・・自分の感じたこと、なんやと思う。」
そう呟くと、彼女は無骨な一眼レフを置いて、海を見にいった。

ここは、丹後半島にある伊根町。美しい舟屋が並ぶ京都北部の町だ。
夏や

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#44 好きなことば、書き続けている理由

#44 好きなことば、書き続けている理由

短いことばに、ハッとする瞬間が好きだ。
長い間こころの中でじっと時を待っていたような感情に、輪郭をつけてくれることば。

ことばを声に出してみる。音が引き金となって、感情がじわりと滲み出てくる。記憶と結びついていくのを待ってから、もう一度読む。
すると、私なりの物語が生まれてくるのだ。

それは、広告コピーであったり、Twitterに流れる誰かの一言だったり、小説の一文だったりする。日々、様々なか

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#43 やっていなかったことは諦めていたことではない

#43 やっていなかったことは諦めていたことではない

失敗が失敗となるのは、「諦めた瞬間」だという。「諦める」とは、どうすることを指すのだろう。
途中で辞めること? 目標やゴールに達することができないと決めること?

あきら‐める
1.【諦める】 《下一他》とても見込みがない、しかたがないと思い切る。断念する。 「夢を―な」
2.【明らめる】 《下一他》事情・理由をはっきり見定める。

「断念すること」であり、「明らかにすること」でもあるのか。

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#42 非常時だと認定することで救えるもの

#42 非常時だと認定することで救えるもの

昨日から、喉が痛い。私は喉から体調を壊すタイプだ。へろへろになると、声が出なくなる。この喉の痛みは、そろそろ危ない。

だから、今晩は何もせず眠ることにした。マスクをして、首にタオルを巻いて、ひたすら眠る。これで、復活することを知っているから。

ふと、今までの私なら、もう一日通常モードで過ごしてから、喉の痛みが酷くなって休んでいたなと思った。

昨日参加してきたミシマ社のイベントで、三島さんがお

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#41 私の興味は、誰かの「好き」から始まる

#41 私の興味は、誰かの「好き」から始まる

期待して行ったイベントが、全然楽しくなかった。何百もの出店者が集まった手づくり系のイベント。好きなジャンルのイベントで、規模も大きいのに、なぜワクワクしないのだろう。

考えながら歩きまわって、気がついた。
出店している人たちが、私からは楽しそうに見えなかったのだ。

「見てもらえて嬉しい!」「もっと知ってほしい!」という熱量が、感じられなかった。魅力的かもしれない商品よりも先に、売っている人たち

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#40 習慣を一つずつ増やしていく面白さ

#40 習慣を一つずつ増やしていく面白さ

今まで27年間生きてきて、
「習慣にする」ことほど
苦手なことはないと思ってきた。

続けることが苦手。
あたらしく夢中になることができたら
やると決めたことを忘れる。
まあいいか、と辞めてしまう。

そして、後になって
あれを続けていたら今頃・・・
と悔やむ、ような気分になる。

本当に悔やんでいたら
何かしら工夫するだろうが、
今まで改善したことはなかった。
苦手、で終わらせてきた。

そんな

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#39 やってもらったことが原体験

#39 やってもらったことが原体験

"やったこと"と"やってもらったこと"
どちらが記憶に残るだろう。

前職の先輩と話をしていて、
「原体験って、
やってもらったことだと思うんだよね」
と彼女は言った。
やったことなんて覚えていない、と。

考えてみれば、そうだなと思う。
「あの時こう言ってもらったおかげで」
と言ってもらっても、大概は覚えていない。

一方で、この人のおかげということは
とても鮮明に覚えている。

聞き書き甲子園

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#38 決めたことを口にする前に

#38 決めたことを口にする前に

決めたことを伝えるまでに
自分がどのように決めたかを
振り返るようにしよう。

一度発した言葉は、もとに戻せない。
引き受けられるかどうか
決めてから口にしよう。

それが、責任を持つということだ。
責任なく思ったことを口にするのは
雑談であり、遊びであり
互いにそういう時間として
そこにいるときにしよう。

今どういう時間か、確かめよう。
近しい人だからこそ、
そして自分のためにも
分からないま

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#37 アイデアが生まれる余白

#37 アイデアが生まれる余白

余白の恩恵を受けている。
今の私は、切羽詰まっていないとは言えないが、なんとも自由なのだ。

朝5時半に目覚めて、お犬の散歩に行って、朝ごはんを作って食べて、洗濯して、前日の朝ドラを観て、それでもまだ7時半にならない。

今日なにする?
と、自分に聴くことから一日を始めている。

今日は、夕方から琵琶湖花火大会に行くから、それまでにあれこれやりきろう。

好きなこと、楽しみなことがあると、

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#36 選ぶことに疲れてしまう訳

#36 選ぶことに疲れてしまう訳

悩んだ末に「これでいいや」と
投げやりに決めてしまうことがある。

決めはじめは、
たくさんの選択肢にときめき
じっくりと時間をかけて
検討しようと意気込むのに、
気づけば疲労困憊。

何もかもどうでも良くなって
えいや!で決めてしまう。

こんなこと、よくある。

有給中、時間があるので
熟慮して決めること
の面白さに気づいた。

評価項目と基準を決めて
比較検討することは、
「自分で決めた」感

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#35 ”やさしさのやさしさじゃないのよ”の豊かさ

#35 ”やさしさのやさしさじゃないのよ”の豊かさ

誰かと話をしているときに、
ある言葉の意味を
辞書で確かめることがある。
ある言葉の定義について、
確認し合うことがある。

それは、認識を合わせるために
必要なことだ。

でも、ことばの意味って
辞書に載っている範囲に
おさまらないこともあると思う。

糸井重里さんが、今日のダーリンで
ぴったりな表現をされていた。

矢沢永吉は、いまじゃなくて、若くてギラギラして
「金がほしい」と言ってる時代か

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#34 書くことは、自分を愛すること

#34 書くことは、自分を愛すること

高校3年生のわたしは、
書くということをこう表現した。

私にとって「書くということ」は、そのときの感情をずっと大切にするためのものだ。感情をそのまま言葉にするなんて、私にはできない。でもそれを自分で確かに「書いた」のなら、その感情はいつまでたっても、そしていつでも、自分の中に大切に持ち続けることができるのだと思う。たとえそのとき「これだ」と納得していなくても、「書きたい」と自分自身が強く思ったこ

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#33 魔法にかかった最後の日に思うこと

#33 魔法にかかった最後の日に思うこと

この気持ちは、一体なんだろう。
「好き」と「感謝」と「さみしさ」が
絡み合っているような。

昨晩あまり寝付けず、
早朝から目が冴えている。
ついにこの日が、大切な場所の
閉店の日がやってきたからだ。

その場所は、京都の北野白梅町にある
誰でも店長になれるお店
「魔法にかかったロバ」。
通称「まほロバ」。

8年前、2011年11月1日に
オープンした。

立ち上げの事務局メンバーとして、
20

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#32 回復するときを言葉にしてみたら、未来の自分へのプレゼントになった

#32 回復するときを言葉にしてみたら、未来の自分へのプレゼントになった

先日「#私の回復じかん」という
ハッシュタグを見つけた。

生きる知恵を共有しあえるって
素敵だなあ、
誰かの知恵を教えてもらえるって
ありがたいことだなあと
思って読んでいた。

だから、ささやかだけれど
私も書いてみることにした。

回復したなあと感じるのは、
どんなときだろう。

誰かとお喋りした帰り道。
本を読み終えたあと。
一人で、その記憶を味わっている時間。

過去について想いを巡ら

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