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心が動いた記憶

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日々感じたことを言葉にして表現する練習。心が動いたことを、そのままにしないように、書きたいことを書きます。
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#エッセイ

何かを好きでいることの意味

何かを好きでいることの意味

とても不思議で、嬉しいことがあった。

一緒に働いているメンバーの幼馴染という人が、ゴールデンウィークに東京から丹後に来てくれた。出版社に勤めているそうで、自然と本の話になる。

とても好きな本が出てきた。
小学生の頃、塾の国語のテストで出てきたキッチンの冒頭が好きすぎて、全てを読みたくて小6のお誕生日に本を買ってもらった。それから暗記するほど読んだ大切な本。

えっ!
高校生の頃、私はつまらない

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誰に「大丈夫」と言われれば、
私は足を止められるだろうか。

誰に「大丈夫」と言われれば、 私は足を止められるだろうか。

誰に「大丈夫」と言われれば、
私は足を止められるだろうか。



スマホを落とした。
手が滑って。

いや、
手放したかったのかもしれない。
なにもかも。

地面に落ちたスマホは
なぜかカメラが起動していて、
画面には青空が写りこんでいた。

その青から視線が動かせない。
吸いこまれる。静寂。

もうずっと空なんて
見ていなかったんだ。
上なんて見られなかった。

モノクロの世界が
当たりまえに

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人生初のショートカットが教えてくれたこと

人生初のショートカットが教えてくれたこと

脚は、階段の高さを憶えていた。
扉の重さは、今日初めて知った。

待ち合わせの場所。
ここで、何度も見た彼の後ろ姿をなぞる。
傾けた首の角度まで鮮明に。

胸がきりりと痛んで、
まだ好きだということを認める。

湧き上がってきそうなそれを
ぐっと押し込んで、
ずんずんと歩みを進めた。

感傷的になっている時間はない。
美容院の予約時間が迫っている。

今から、人生で初めて
”ショートカット”にする

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半年後、私は自分の心に「自信」と名付けた〈言葉の企画2020 最終回〉

半年後、私は自分の心に「自信」と名付けた〈言葉の企画2020 最終回〉

12月12日の朝。
シャッターを閉めたrootsの机で、
阿部さんへのお手紙を認めていた。

肌身離さず持ち歩いていた招待状。
少しくしゃっとなってしまっている。

半年間、通いきれたことに安堵しながら、
最後の課題にしようと決めていた
「自分の心に名前を付けよう」
を前にして、一息ついた。





今、私はどんな気持ちだろう。

思い返す。

よく晴れた午後。
まだ空席があれば申し込むと

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”わたしがわたしになる” 葛藤と決意の話

”わたしがわたしになる” 葛藤と決意の話

今、書くべきこと。
まだ書けないこと。
書かないこと。

その違いを明確に持っている。

なぜそう感じたのか、
そう行動したのか。

腹落ちすれば「書ける」。

糧にしたことを言葉にして
誰かに伝えたいとき、
わたしは「書く」。





今なら「書ける」。

深夜2時。
3時間かけて話を聴いてもらって、
不意にその感覚はやってきた。

言葉を企画して変わった
一番大きなこと。

”わたしが

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言葉は、見る世界を180度変えられる。

言葉は、見る世界を180度変えられる。


言葉の奥には必ず感情があって
それは光っている

感情という光は
わたしにしか見えない

でも、
もし言葉にすれば
あなたにもおすそわけできる

感動という火は
あなたにしか見えない

でも、
もし言葉にのせれば
誰かの心にも火が燈るかもしれない

だから、
やっぱりわたしは
言葉で想いを伝えたい

言葉は
見る世界を
180度変えられる

そう、教えてもらったから

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幸せの超訳し方

幸せの超訳し方

朝7時。
強烈な朝日を浴びながら、
はじめての朝を迎えた。

引越の緊張から解き放たれて、
ひさしぶりにぐっすりと眠れて。

お布団で大の字になりながら、
昨日の夜からずっと考えを
めぐらせていたことに戻る。

あの「幸せ」という感情に、
名前をつけてあげたい。

そっと胸に秘めながら
また現れてくれるその日まで
日々を大切に生きられるように。

名前をつけてあげたい、と。

昨日、私は「京丹後市

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会ったことのない私たちは「再会の乾杯」をする

会ったことのない私たちは「再会の乾杯」をする

2020年12月12日。
私は、大切な大切な待ち合わせをしている。

まだ会ったことのない仲間たちとの「乾杯」の約束。

その「未来の待ち合わせ」を特別にしたくて、日々たくさんの言葉を交わし、伝えることと伝わることの狭間で悩み、こうしてnoteを書いている。

***

緊急事態宣言が発令された4月。
6月末で仕事を辞めなければならなくなった5月。

そして、6月。
私は「言葉の企画」というオンラ

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#48 譲れているか、というモノサシ

#48 譲れているか、というモノサシ

自分の調子をはかるモノサシがある。

混んでいる電車で、立つことを選べているか。
エスカレーターで乗り合わせそうなとき、先を譲れているか。
会話の中で、相手の話を先に聴けているか。

そっと、胸に手を当てて確かめる。
自分のためだけの、おまじないのようなもの。

***

「もっと余裕を持って」
ずっと言われてきたことだった。

何かに夢中になると、まわりが見えなくなる。自分のことも見えなくなるか

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#45 あの夏にも、この夏にも、うんと昔の夏にも乾杯

#45 あの夏にも、この夏にも、うんと昔の夏にも乾杯

「カメラを捨てるべきやな」
彼女は言った。いつになく真剣な表情で、一点を見つめながら。
「写真を撮ってしまうと、記憶が薄くなる気がする」

潮風が、やさしく頬を撫でる。

「憶えておきたいのは、そのときの匂い、音、誰かの表情。
・・・自分の感じたこと、なんやと思う。」
そう呟くと、彼女は無骨な一眼レフを置いて、海を見にいった。

ここは、丹後半島にある伊根町。美しい舟屋が並ぶ京都北部の町だ。
夏や

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#43 やっていなかったことは諦めていたことではない

#43 やっていなかったことは諦めていたことではない

失敗が失敗となるのは、「諦めた瞬間」だという。「諦める」とは、どうすることを指すのだろう。
途中で辞めること? 目標やゴールに達することができないと決めること?

あきら‐める
1.【諦める】 《下一他》とても見込みがない、しかたがないと思い切る。断念する。 「夢を―な」
2.【明らめる】 《下一他》事情・理由をはっきり見定める。

「断念すること」であり、「明らかにすること」でもあるのか。

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#42 非常時だと認定することで救えるもの

#42 非常時だと認定することで救えるもの

昨日から、喉が痛い。私は喉から体調を壊すタイプだ。へろへろになると、声が出なくなる。この喉の痛みは、そろそろ危ない。

だから、今晩は何もせず眠ることにした。マスクをして、首にタオルを巻いて、ひたすら眠る。これで、復活することを知っているから。

ふと、今までの私なら、もう一日通常モードで過ごしてから、喉の痛みが酷くなって休んでいたなと思った。

昨日参加してきたミシマ社のイベントで、三島さんがお

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#41 私の興味は、誰かの「好き」から始まる

#41 私の興味は、誰かの「好き」から始まる

期待して行ったイベントが、全然楽しくなかった。何百もの出店者が集まった手づくり系のイベント。好きなジャンルのイベントで、規模も大きいのに、なぜワクワクしないのだろう。

考えながら歩きまわって、気がついた。
出店している人たちが、私からは楽しそうに見えなかったのだ。

「見てもらえて嬉しい!」「もっと知ってほしい!」という熱量が、感じられなかった。魅力的かもしれない商品よりも先に、売っている人たち

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#39 やってもらったことが原体験

#39 やってもらったことが原体験

"やったこと"と"やってもらったこと"
どちらが記憶に残るだろう。

前職の先輩と話をしていて、
「原体験って、
やってもらったことだと思うんだよね」
と彼女は言った。
やったことなんて覚えていない、と。

考えてみれば、そうだなと思う。
「あの時こう言ってもらったおかげで」
と言ってもらっても、大概は覚えていない。

一方で、この人のおかげということは
とても鮮明に覚えている。

聞き書き甲子園

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