映画「ハケンアニメ!」を見たら感想を書かずにはいられない

だって、こんな誰かのどこかに刺さる映画を見てほしいから。たぶん自分が見た映画の中で、「本当に見てほしい映画」を選ぶとしたら五本の指に入る。なお、ネタバレをふんだんに含むだろう感想なので、これから見るかもしれない人は注意してほしい。

見る前にはあまり情報を入れていなかった。まぁなんとなく「SHIROBAKO」みたいな感じでアニメ制作の現場を描く、みたいなだろうと思っていた。もちろんそういう場面はたくさんあるが、私が惹かれたのは「何かを作り上げる大人たちの本気の熱量、そして仕事をやりきることのすばらしさ」なのだ。この辺りは実写とアニメを混ぜ込んだこの作品だからこその思いだろう。

ざっとあらすじを言うと、同時期同時刻のアニメ枠で2つのアニメがぶつかる。制作進行を経ての新人監督の「サウンドバック」とカルト的な人気監督の「運命戦線リデルライト」。覇権(ハケン)を取るのはどちらか。

といった感じにはなるのだが、この文章には全く収まらない、人間の内に秘める熱さが魅力なのだ。一人一人の熱さがしっかりと書かれていて、この辺りがよくぞ2時間弱に収めたなぁと。せっかくだから一人一人に注目したい。

「サウンドバック」新人監督の斎藤瞳。公務員を辞めてアニメーション制作会社に入社。制作進行を経て監督になる。SHIROBAKOの宮森さん的な感じ。仕事を全うしようとキツい言葉をかけてしまう。成長ポイントは憧れの王子監督、になるのだろう。周りの人をちゃんと見ること。そこから彼女の物語は加速していく。
「サウンドバック」プロデューサーの行城。アニメを売るためには何でもやる。とみていたのだが、裏ではちゃんと監督がやりたいように味方になってくれているし、これいい役です。めっちゃかっこいい。
対する「運命戦線リデルライト」の監督、王子千晴。カルト的な人気を持ち、その出で立ちはまさに王子。しかし実は産みの苦しみとプレッシャーにもがき続ける。そうだよな!きっとそういう人が多いんだよ!
「運命戦線リデルライト」のプロデューサー有科。すごい仕事ができる人。たぶんSHIROBAKOの宮森さんが成長したらこうなっていそう。王子に振り回されている。

ほかにもいろいろな人がいて、フューチャーすれば主役になりうる。その中でもすごいと思ったのが声優『群野葵』役の声優、高野麻里佳さん。作中では顔出しをしっかりやって、いわゆる「客寄せ」の声優。の役。監督の思う声とは違うからなのか何度もリテイクとなる。全然下手じゃないのに。そんな中でしっかりと役に向き合って成長する姿がなんともいい。もしかしたらデビュー当初にそういう売られ方をしていたのかもしれない。「日本一の客寄せパンダになってやる」はすごいセリフだ。

劇中アニメは土曜夕方5時のクオリティではない。これで1クール見たいと思わせるほどである。そりゃ覇権を取ろうっていうアニメで質が低かったら覚めるんだけれど、なんなら劇場アニメで見られるくらいに素晴らしい。個人的には「サウンドバック」は確かにTBS系の夕方が似合うが、「リデルライト」は深夜アニメだと思う。どちらにしても作りこみがすごい。

あとは刺さるセリフが多かったのも印象的。何度も見たくなるような映画です。それこそ「10年後にも心に残る」作品である。きっと見たらどこか刺さる部分があるはず。

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