「新聞記者」

普段、映画の感想を纏めようなんて思わないけど、今回はもう。

日曜、「新聞記者」を観ようと思い、雨の新宿を歩いて向かったのに、なんとピカデリーは売り切れ、慌てて池袋のチケットを押さえ映画館へ。

日曜日の夕方の回、ほぼ満席状態だけど割と年齢層は高め...

映画という比較的馴染みのある媒体、たった2時間の拘束時間、ただ映画館に座ってるだけでもいいと思います。絶対に観て欲しい。

今回入れて行った前情報は、ポスターのみ。
「リアル」を撃ち抜く衝撃の「フィクション」
すごいコピーだなとおもってたけど、もう圧巻。こんなにコピーに納得する映画もひさしぶりに観たなあ。


さて、本編。
薄暗くてしんとした、色彩がなく、人と人の言葉が通わない内調、対して、会話や書類が飛び交う乱雑とした東都新聞。内調も新聞社も、先にいるのは人なのに、見え方が違うような。
「国の人間ですから」って台詞に痺れた、国の人間、国と国民はイコールではないってこと。
内調にいる杉原は、国の人間でしかなく、家に帰ると、瞳に色が出て。手のやり方やぐっと噛んだ唇に思いが見えたり、なんかもうとにかくずっと松坂桃李@杉原とシムウンギョン@吉岡の表情が人間で、映画の世界を生きる人ではなく、今どこかで息をしているような、繊細な表情ですごかった。

吉岡の部屋にある「誰よりも自分を信じ、疑え」のメモ、神崎さんが杉原へ伝えた言葉、多田の言葉、ひとつひとつが観ている人に、日本に、「おい!!」と言っているようで。
電話を片手に、杉原のもとへ走り出す吉岡のシーン。あんなに静かで、強い描き方。すごい。

映画観終えたあと、感想ツイートを見ていると、あれは映画じゃなかったのかもしれないって思えるくらい、ハッとした。どうか別の世界の話であれ、と願うけれども、どうやらそうではないのかもしれない。
これは映画なのか、夢なのか、現実なのか、フィクションなのか。「リアル」を撃ち抜く衝撃の「フィクション」、唸る。

難しいことはわからない、考えられない、考えたくない、と思っている選挙権のある若い世代には絶対観て欲しいです。本当に。悪夢のような、呼吸を忘れるラストカットを。

上手く言葉にできないのがもどかしい...
やっぱり、今、絶対に映画館で感じるべき作品です。


「この国の民主主義は形だけでいいんだ」

刺された気分だった。


#新聞記者 #新聞記者みた #藤井道人 #松坂桃李 #シムウンギョン

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