透明な「さようなら」を


君の街には雪が降ったのかい
こちらの空は硝子の色だけれど
まるで造りものみたいなんだ
スノードームに隠した秘密
もう少し、あと少しと束ねた声が
ふるふると心に降らせたもの
どうして忘れられないのだろう


透明な「さようなら」を
口元で転がした
ほろほろ こぼれたのは きっと
ほんの少しの名残惜しさ
寒い朝に蒔いた花の種が
縮こまったままでいるように
その目は遠く遠くを見ている


丸い心を三角形に切り分けた
ナイフに残ったクリームの
鮮やかなベリー色と
少し染みる甘酸っぱさ
なんて名付けたらちょうどだろう
少女は硝子の瞳をくるくるさせて
窓から花束を投げ捨てた


ここまでお読みくださり、ありがとうございました