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繁盛店づくりの肝をお伝えします


宇宙一外食産業が好きな須田です。

昨日、出版社の方と打ち合わせをしておりまして、最大売上の話しになりました。

○○○○屋さんなら月商この程度が限界ですよね?と聞いて来るので、何故そう思われるのですか?と聞いたところ、

「それぞれの業種に一般的な店舗規模と売上の平均みたいのがあるじゃないですかぁ それを見てくと、まぁこの業態ならこのあたりが限界かなって思っています」

と、仰ってました。

マスコミ関係にいらして沢山の情報に囲まれている方でも、このように考えているのかと、興味深く伺っていました。



さて今日は、最大売上をとる為にというお話しをさせていただきます。


例えば、ラーメン屋さんの月商の最大値ってどのくらいだとお考えでしょうか?

都心の繁華街立地で、店舗規模20坪席数30席、坪当たり1.5席ですから、そこそこ席数を抱えている方です、さてこのお店ならどの程度の月商を思い浮かべますか。

大体、平均500万円前後くらいを想像していますか?


20坪程度、1日200杯売れるならこのくらいかなと。
因みに都心の一等地で20坪ですと、賃料40万円から60万円はします。
月商400万から600万は確保する必要がありますので、500万いけば何とかなりそうですよね。 

恐らく長年の勘でこの程度だろうと考えていませんでしたか?
実はこの勘が一番あてになりません、と、言いうか、成功を邪魔してしまいます。

因みに私が過去に設計したラーメン業態では、フランチャイズであったにもかかわらず、10坪21席月商1,000万円、45坪100席月商2,000万円、つい最近は、37坪43席月商1650万円など驚異的な売上を誇ったラーメン業態を作ってきました。


なぜこのようなことが出来るのか!


これは綿密な設計理論と、高効率オペレーションと、商品戦略を上手く合致させるとこのような超繁盛店になります。

私がお手伝いしたラーメン業態の方では、月商3,000万円オーバーの方が数名いらっしゃいます。

その方々は、何れもラーメン博物館のような複合施設でナンバーワンを勝ち取った方々ですが、彼らと話すと共通しているのは効率を限界まで追求することに、非常に強いこだわりを持っていることです。


さて、本題に。


あなたは今の業態の店舗を設計する時に、席数を坪当たり何席と設定しましたか。


設定することなしに、設計者に「何席取れた?」なんて、質問をしていませんか?
その設計者は飲食業に精通されていますでしょうか?
あなたの業態を熟知していますか?


業態を理解して、商品の製造工程を理解して、消費形態を理解して、店舗オペレーションを設定して、あなたのお店の月商を想定して設計をしていますか。


それとも、「この大きさの箱なら、この程度が席数の限界ですかね」なんて説明を受けて、「そっかぁ~ 限界か しょうがないな」となっていませんか!

売上に直結する席数の検証よりもデザインの方に力を入れていませんか。

私が設計をするときに一番初めにクライアントに聞くのは月商幾らくらいを狙っていますか?
目標値の本音を聞かせてくださいと、伺います。

経営者の方は、皆さん素直で謙虚なので、なかなか本音を語りません。
「ぶっちゃけ本音は?」と聞くとやっと仰ってくれます。

商品を信じず、スタッフを信頼できず、可能性を低く設定してしまう傾向があります。
その原因は、今までの成功体験から知らず知らずに沁みついてしまった、成功の限界と間違ったノウハウです。
ここで、強く言わせていただきますが、


「過去の成功体験は現在の足かせとなります!」


成功体験は嬉しいものですが、その成功体験が限界と自分に制限をかける可能性もあります。
ですから、設計者から席数はこれが限界ですと言われると、そっかぁ~となってしまします。
何故なら、過去に同様の店舗規模で、ある程度の成功を手に入れているので、またその再現が出来ればいいと感じてしまうからです。

先日、実質的なクライアントではないのですが、私の友人のような若い経営者の方から電話があり、

開口一番「須田さ~ん! 以前に麺の茹で時間をあと1分短くできると、人生変わるよ!みたいな話をされていましたよね。もう一度教えてもらえませんかぁ~?」

と唐突にお願いされました。

その場で、茹で時間を1分短縮することの効果を話しましたが、たった5分程度のお話しですが、ひどく感銘しておりました。


現在リニューアルオープンして、最大月商をこれまでのお店の軽く40%程度はクリアしているそうです。

先ず大事なのは、店舗のレイアウトです。


私は、その店のレイアウトを見ただけで、繁盛するか苦労するかが一瞬にして理解出来ます。


ほぼ、はずしたことはありません。

断言しますが、レイアウトの成否で繁盛は決まります!


商をするうえで最も大切なのは、いかにして瞬間で多くの客数を勝ち取るかです。
30席のお店よりも40席の方が確実に売上は取れます。
私は常日頃言っているのは、「お客様の数」などという生易しい表現ではなく、
「いかの多くの胃袋を掴み取れるか!そこを考えましょう」と言います。


はっきりと言いますが、胃袋の数が売り上げに直結します。


先ほどお伝えしたラーメン屋さんは店舗規模37坪 43席ですが、フリースタンディングの店舗なので、バックヤードを除くと実質28坪程度で43席取りました。
坪当たり1.5席ですから、一般的なラーメン業態よりは非常に多いかと思います。
駐車場が13台しかないので、滞在時間と消費形態を鑑みてここで止めたのが本音です。
本当はもっと席は取れたのですが、ここにとどめました。

実質28坪、駐車場13台で、日販幾らだと思われますか?
なんと55万円です。

しかもラーメンは札幌味噌ラーメン、中華鍋で野菜を煽って仕上げる正統派の味噌ラーメンです。


それでも提供は5分をキープしています。

厨房のシステムを今回のオープンに際して改善しましたので、それが可能になっています。

さて、この店での席レイアウトでは何を行ったかと言いますと、ゾーニングを明確にしました。

厨房は勿論オープンですから、鍋を振る音も湯切りしている姿も全て見えますし、入店した瞬間に味噌のかぐわしい臭いもしてきます。
その厨房に面してカウンター席を設けて、厨房とカウンター席の間に50cmの通路を作りました。
カウンター席のお客様には、カウンター越しに前から提供をしています。
カウンター席のすぐ後ろには2名席を配置しました。

窓際にはソファー席、奥にはボックス席、入口に近いところに半個室を設置しました。

どのようなゾーニング理論かと言いますと、厨房に近いところには1名様、2名様の席を配置することで、徹底して回転率で回すゾーンにしました。
着座して商品提供まで6分以内、消費して退店するまで20分以内を想定して、客単価は1,500円以下で、いかにして多くの客様を回すのかを徹底的に追求しました。


奥のソファー席は、3人連れ4人連れのお客様、着座後の滞在時間は30分、組単価5,000円程度、ボックス席は4人連れ限定で着座後の滞在時間は40分、組単価6,000円以内、一番手前の半個室は子供連れの4名以上で着座後は50分、組単価6,000円以上を想定しました。

奥に行けば行くほど、組単価で稼ぐようなレイアウトにしました。
奥の席は厨房から遠く提供する杯数も多いので、提供も時間が必要ですしバッシングにも時間が必要ですから、その分、組単価がある程度稼げないと面白くありません。

このゾーニング理論をオーナーに話したところ、えらく感心と同意をいただき、
「こんなこと考えている設計やさん初めて会ったよ、何、そこまで考えて設計してくれていたの!」と驚愕されました。

実はこの方、同じ北海道出身の方でしたので、会話はほぼ全て北海道弁で話していました。

店舗スタッフには、店舗オペレーション上、1人客は絶対にカウンター席へ誘導すること、2名は真ん中の2名席に、もしくはカウンターに横並びで、基本的にソファー席には座らせないように、座らせる場合は2名席ようにテーブルを分けるように、人数が多くなるにしたがってソファー席、ボックス席へ案内するように徹底しました。

子供連れは待って頂いても半個室に案内するように、お伝えしました。
ウエイティングもシッカリと確保して、ベビーカーを置くスペースも用意しました。

ですから、席が空くにしたがって、先頭の方からではなく空いた席にハマるお客様からお通しするようにしました。

1名でお待ちいただいていても、2名席が空いた場合、1名の方にお断りを入れてから2名様を先に通す用にしましたが、ウエイティングから適度に席が見えるので、食べている様子が見えます。

ですから先に2名のお客様をお通ししても、すぐにカウンター席に案内してくれることが予感出来るのでトラブルはありません。
そのような心理になるように設計しました。

どのお客様をどこに配置して、どのように客数を確保しながら効率よく回すのか、それが最大売上を確保する鉄則です。

私が設計した最大規模の居酒屋は400坪900席の店ですが、最大月商60,000,000オーバーです。

この時も回転率で回すゾーン、組単価で稼ぐゾーン、宴会を回しまくるゾーンを設定し、店長に細かくレクチャーして、その結果60,000,000オーバーとなりました。

ゾーニングは繁盛店創りの肝です。


次に気になっていると思います、ラーメンの麺の茹で時間の話ですが、これまでに気にしたことはありますか?
3分と4分では人生が変わるそうです。

これはらーめん業界では誰もが知っているカリスマ経営者の方から伺った話ですが、私のクライアントと一緒にいる時に、たまたまそのカリスマ経営者の方とお会いして、


「そう、ラーメンやっているんですか、ところでお宅の麺の茹で時間何分? 4分! 惜しいなぁ 1分長いなぁ 3分にしたら人生変わるよ!」

と言って頂けました。
クライアントは、ポカンとしておりましたので、お礼を言ってから1分の違いを解説しました。

どういうことかと言います、
通常、茹で麺機は6テボですが、フル回転することはあまり無く、大体のお店が4テボで回します。
ということは一回に仕上げられるのは4人前です。

湯で時間4分ですと実質提供までに6分と想定すると、1時間当たり、60分÷6分でロスをみて9回転できる計算になります。
9分に1回4食の販売数ですから、4食×9回転=36食となります。
茹で時間が3分となると実質提供までは5分となり、1時間当たり10回転は見込めます。
ということは、1時間当たり40食販売出来ることになります。
平均単価900円で設定すると、時間売上32,400円と36,000円、1日の営業時間を12時間で設定すると、43,200円の差異が出ます、月に換算すると1,296,000円、年にすると15,552,000円です。
5年後は77,760,000の差が出ます。

1分短くするだけで、5年で約8,000万円弱も売上が増えます、これなら人生は変わります!

なので、私はラーメン業態を開発する時は、茹で時間3分以内、茹で延び劣化耐性8分と設定しています。

3分以内で茹で上げられること、茹で上げてから8分はベストな状態をキープすること、これを条件に製麺業者さんと話を詰めていきます。

勿論消費時間や商品を選ぶ時間、ラーメンだけを食べるわけではないので、100%この公式通りの数値にはなりませんが、でもこういったことを基準に設計を行います。

時間当たり40食提供できるとするならば、席数はそれに見合った席数を確保出来る用に設計します。
私はラーメン業態の場合坪当たり席数を最低1.5席で考えます。
出来れば2席は欲しいところです。

多くは坪当たり1席のようですが、実際に坪当たり1席の店はランチピークに多くのお客様を帰してしまっている光景をよく見かけます。

大きなチャンスロスです。

一人でも多くお客様に美味しいらーめんをと、思うと席数を確保したくなります。

繁盛店を作るには、このような明確な設計理論が必要です。

商品を磨き込み、販売力を強化したとしても、店舗レイアウトが見合ってなければ最大売上は達成できません。

すべてのバランスを高いレベルで構築することが、繁盛店作りには必須です。

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