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席効率を意識するだけで店は変わります


宇宙一外食産業が好きな須田です。

以前お伝えしたことですが、席効率のこと、覚えていらっしゃいますでしょうか?



意図的にゾーニング理論を取り入れて、お客様のモチベーションと人数を把握して効果的に席効率を上げる方法をお伝えしました。
上にその記事を掲載しましたで、まだご覧になっていない方は是非読んでみてください。


さて、席効率という概念をご存知の方も沢山いらっしゃると思いますが、今日は少し違う視点のお話しをさせていただきます。

私は想定売上を設定する際に、席数を基準に設定しますが、同時に組人数を重要視します。
これは業態によって最も多く利用する組人数に違いがあるからです。


例えば、カフェやラーメン業態は圧倒的に1名様が多いですし、寿司業態ならば2名様が多いです。
アルコールを販売する居酒屋や焼き肉業態ならば2名様から4名様、ファミリー向けの業態ならば3名から6名のお客様が圧倒的です。

この組人数の設定を間違えているお店を頻繁に目にします。

売上を構築する上で、何名獲得するかと同じように何組獲得するのかという観点も重要になってきます。

ゆったりとしたレイアウトを希望なさるクライアントは多くいらっしゃいますが、見せかけの席数はあったとしても、実質客数を確保出来ない原因に卓数を確保出来ていないという点があります。


例えば、都心の駅前立地では喫茶業態・カフェ業態では一人利用と2人利用のお客様が60%~80%いらっしゃいますが、郊外の喫茶業態では、その比率が下がります。

ところが、地方の繁盛店を観て来て、ゆったりソファ席を入れたい、席と席の間隔は広めがいいと希望するお客様がいらっしゃいます。

お気持ちは理解出来ます。

お客様の立場に立てば広くてゆったりした席の方がよろしいに決まっていますが、それでは売上が確保出来ません。

広くてゆったりとした席は、滞在時間が延びてしまいます。

私はカフェ業態の場合、時間消費と共に商品消費を連動させるような戦略を導入して頂きます。
お客様には、ゆったりと時間を過ごしていただきますが、それに伴って商品の追加オーダーを獲得する方法を導入して時間帯あたりの売上を確保するようにします。

この方法の事は違うタイミングでお話しします。

今日は席効率をテーマに、お話しを進めて行きます。

席数と卓数を確保しないままオープンすると、いつも満席で入れないお店と印象がついてしまい、いつしか利用しにくいお店という印象が広まってしまいます。

実は、これが怖いんです!

知らず知らずに、嫌われてしまっているんです。


しかも、満卓のわりには客数を確保出来ていないので、売上は伸びません。
数字で表現すると、

15坪15席 満席率50% 回転率6回転 平均客単価¥800、日商¥36,000 月商100万円ほど。
賃料が15万なら家賃比率15%で、カフェ業態の限界値となります。

一日あたりの客数は45名、仮に時間消費に伴って商品消費を連動させれば、客単価は¥1,200程度まで見込めます。
すると、月商は160万円ほどを見込めます。
同じ客数で月商は大きく跳ね上がり、家賃比率も10%を切ります。

地方の駅前立地には、実際に存在しているお店の規模感と言えます。

弊社のすぐ近くに、業界では有名な喫茶店があります。
海外から直接珈琲豆を輸入して、自社工場で自家焙煎した豆をオーダーごとに挽いてハンドドリップで丁寧に珈琲を淹れてくれます。
客単価は900円程度と思います。
このお店が時間消費と共に、商品消費を上手に導入しております。

以前伺いましたが、1日で10回転はするそうで、1日あたり平均250名ほどのお客様がご利用なさるそうです。
勿論豆の販売も行っていますし、最近豆のネット販売も始めました。
豆の販売もありますから、月商1,000万ほどは有りそうに思えます。

このお店の席効率が秀逸で、基本的に対面の2名席しか用意しておりません。


今流行のゆったりソファ席も、4名席もありません。

2名席オンリーですが、その分徹底した2名戦略をとっています。


1名と2名のお客様が80%で、時々3名様以上が来店しますが、3名のお客様は席が空くまでお待ちいただくか、先客の方に席の移動をお願いするか、椅子を持ってきて2名席を3名でご利用頂くようにしています。

決して窮屈な感じはしないのですが、理由はメインの通路幅のみを確保して広い印象を与えていますが、席と席の感覚は30cmにしています。
客数は坪当たり2名を確保しております。

私もチェーン展開しているカフェを数業態設計しましたが、テーブルの間隔は30cmを基準にしていました、最低は20㎝でした。

回転率を考えなければならい業態の場合、席数の確保以上に、卓数の確保が重要になってきます。

業態特性を理解して最も多い組人数を基準に、卓数を設定することは繁盛法則の一つです。


上記の喫茶店も過去に、カウンター中心の喫茶店を出しましたが、そのお店は1年で撤退しました。

カウンター席のみですと、お客様どうしのコミュニケーションが取れない事、カウンターに入るスタッフのキャラクターでその日の売上が変わってしまうことが原因で、撤退を余儀なくされました。

販売力に個人差が出てしまったこと、カウンターでの1名利用は満席率が50%に低下してしまう傾向があり、撤退を余儀なくされました。

出店する際にこの客数と卓数を綿密に計算することは非常に重要となります。


例えば焼肉業態は、ロースターの数がそのまま組数となります。

1人であろうと4人であろうとロースターを1口使用します。
ロースターを何台設置できるかが組数を決定します。
最近展開が目立ってきた一人焼肉業態は、このことを理解している秀逸な業態です。

ロースターの口数がそのまま客数に匹敵するように設計されており、回転率が既存の焼肉業態では考えられない回転数となっており、その結果ほぼ食品販売業の領域になっていると思います。

私は、以前大阪を中心に展開しているファミリー向けの焼肉業態を設計したことがあります。
88坪34卓156席だったと記憶しております。
ブッフェ併設のカルビと新鮮なホルモンがウリの業態でしたが、ディナー営業だけで連日500人を捌いていました。
実質回転率4回転以上を誇り、店長に聞いたところ、


「訳がわかりませんが回っています!」

と仰っていました。


基本的にこの店は4名テーブルを基準にして、ゾーニングの70%を回転率で稼ぐようなレイアウトにして、奥に掘り炬燵式の小上がり席を設置して、家族をとり込み宴会も取れるようにしました。

厨房もオープンキッチンして、デシャップカウンターをオールデシャップにした結果、スタッフがパントリーに逃げ込むことのできないようにしました。

常にスタッフがお客様と接点をとるようにして、
商品提供が嫌でも早くなるようにしました。


それまで社長は「焼肉では宴会は取れないですよ!」と、豪語しておりましたが、焼肉に宴会需要が無いのではなく、宴会が取れないレイアウトになっているだけであると指摘して、このお店を実験店舗にしましたが、結果は、週末は予約で小上がりは全て埋まってしまいました。
結果的に予約利用率は80%となり1時間半利用を徹底しました。

自分たちの思い込みで売上も顧客のモチベーションも逃してしまっていたことに初めて気づく結果となりました。

徹底した組人数戦略を取ることで、最大限の席効率を発揮した事例となりました。


客単価2800円のファミリー向けの業態でしたが、オープン月は20日間の営業で月商は3,000万を超えました。

次にゆったりの概念をお伝えしたいと思います。


通常ゆったりを意識する場合、席と席の感覚であったり、通路幅を基準にしてゆったりと考えてしまいます。

ゆったりの表現がここで間違えてしまいます。

私が表現するゆったりは、座った時に自分たちの空間を確保できることをゆったりと表現します。

“ゆったり”を考える時、他人との距離感を基準に考え、プライバシーの確保には席間距離を基準にして考えますが、その考え方も良いですが、賃料の高い都心やそもそも店舗面積が広くない場合は席数の確保は出来ません。

お客様が席に座った段階で、他者を気になることはあまり感じないが、他の人の気配は感じられるようにします。

ご利用頂いているそのお客様のグループ感を確保して、こもり感を確保するようにします。
“座ってゆったり”が本来のゆったりと思います。

たまにしか通らない通路を広くしてもお客様にはメリットは有りません。

メインの作業動線となり、避難通路となるところだけを広く確保して、それ以外は最低減の通路幅で良いと言えます。

ただ、視線を切ることは重要になります。


席間が近くなると、視線が合いやすくなりますので、お客様同士の視線が合わないようにすることは大事です。

先にご紹介した焼肉屋さんは、4名席のテーブルサイズを1350と1500にしました。
1350はゆったり4名、1500はゆったり4名+キツキツ6名にしました。

このキツキツ戦略が見事にはまって、満席率を押し上げ回転率を向上させました。


席効率の改善はそのまま売上に反映する戦略です。

明日は、厨房と席効率についてお話しします。


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