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どこに出店すれば繁盛店になるのか?


宇宙一外食産業が好きな須田です。

さて、あなたはなぜ現在の場所にお店を出しましたか?

このあたりじゃここが一番の繁華街だから!
以前から狙っていた!
賃料が安かったから!
たまたま出物が出たから!
内見してみたらよかったから!

沢山理由があると思います。


今日は出店立地の選び方お話しをします。


ご存知のように飲食業は立地選択が非常に重要な業種です。
出店立地を間違えると、その後とんでもなく苦労することになります。

一般的に店前通行量や昼間人口や夜間人口、人口分布などを参考にして出店の可否を決めます。

何故これらの調査をするのかいうと、自分のお店の営業時間帯に出来るだけ多くのお客様がいるほうが繁盛する可能性が高いと考えるからです。

立地選択の条件は兎に角、人が沢山いるところというのが定説です。

アメリカのある有名なコンサルタントはセミナーで、

「あなた方に、これからあなたが望む最高の条件で飲食店を出店してもらうと仮定して、どんな最高の条件が欲しいですか?」

と質問をしたそうです。
すると聴衆からは、最高の立地、最高の商品、最高のスタッフ、最高の店舗、絶対もうかる業態など色々とアイディアが出たそうです。
その答えを聞いてコンサルタントが答えたことは、

「今出た条件のどれもが欲しい条件ですが、私のとは違いますね。 私が最も欲しいのは、飢えた群衆です!」

と言ったそうです。

そうなんです、飲食業にとって最も大切なことは客数なんです。
そのことに異論がある方は少ないと思います。
あなたもそう考えていると思います。

では、何故、店前通行量も多く人で賑わっている繁華街に出店しても上手くいかないお店があるのでしょうか?

飢えた群衆とまではいかなくとも、そこそこお腹もすかせた多くの人がいるはずなのに、不思議ですよね。

それは、モチベーションが合っているか、合っていないかの違いです。

私がクライアントに依頼を受けて出店地位を検討する時、一番大事にしていることは、そこのエリアに、クライアントがやりたい業態に対するモチベーションが存在しているのかという点です。

これを勝手にモチベーションマーケティングと名付けています。


現代の飲食業の経営において最も大事なことは、常にお客様の欲求と必要性を確実に獲得していくことです。


人が多いから、値段が安いから、旨いからという理由でお客様が殺到する時代は前世紀の後半には既に消え去っていました。
すなわち20年以上前です!

世の中にはマーケッターと呼ばれる方々がいます。
マーケティングを専門に行っている方々ですが、彼らが出店に際して必ず確認することがありますが、それがマーケットインか?プロダクトアウトか?です。

マーケットインとは、その出店候補地にやりたい業態を利用したいと思えるお客様のモチベーションが存在しているのか?していないのか?
しているのなら、どれくらいのお客様が潜在的にそのように感じているのか?
これを調査して、ここのお客様はこれを望んでいる、これを必要としている、まだ気づいていないだけ、だからここで出店すると成功するという顧客心理をもとに業態・商品を作り上げることをマーケットインといいます。
やりたい業態があったとしても、お客様のモチベーションに合わせてカスタマイズしていきます。
業態の表現の仕方も、商品の戦略も、マーケットが望むものに修正と調整をしていきます。

マーケットインは、お客様に答えをもらってから業態開発をする、最も効果的で効率的な手法です。

一方、プロダクトアウトというやり方もあります。
実はこの考え方は日本人気質にピッタリなため、江戸時代より綿々と受け継がれている困った考え方です。
どう言うことかといますと、

「良いものさえ作れば絶対に売れる!」

この言葉聞いたことがありますよね。
あなたももしかすると、よく言葉にしているかもしれません。

プロダクトアウトは、世に優れた商品を提供することで、大きな成果を上げようという考え方です。物創りで戦後復興をしてきた日本と日本人には、多くのすばらしい過去の実績と証拠があるので、今でも「良い商品神話」は根強くこびりついています。

プロダクトアウトが優秀なのは、その作り出されたものが潜在的な顧客の欲求とピッタリとハマった時はとんでもない大ヒットをします。
この大ヒットを日本人は何度も経験しているので、プロダクトアウト信仰が根強くはびこっています。

ただ、検証していくと過去のプロダクトアウトで大成功した商品の多くは、実は創造の前段階でマーケットインを行っていることが多く見受けられます。

ですから、プロダクトアウトの大ヒットの裏には、マーケットインが存在しているということです。

そこで、出店立地を決める時には、そこにターゲットとしている客層に潜在的な欲求が存在しているかを検証することです。

先だって亡くなったアメリカのマーケッターの第1人者のダンケネディは、「答えは客に聞け!」と言っていました。
彼のマーケット調査は凄まじかったと沢山の記録が残っています。

ここから絶対にやってはいけない立地選択をいくつかお伝えします。
正直、ここからだけを読むだけでこの記事の価値はあります。


やってはダメなこと1 その不動産が安いから!

これは別に賃料の高いとことを借りてくださいということではありません。
賃料が安いから、そこそこの売上でもなんとかなるであろうという考え方に問題があると言うことです。
この賃料が安いということが、出店者には大きなメリットという錯覚を与えてしまいます。
本当に優秀な物件で賃料が安ければいいですが、そんな話はほぼ存在しません。

賃料が安い理由が存在しており、多くは集客がしにくい場所であったり、悪い導線であったり、箱の形が悪かったり、誰も借りないから安くしていたりと、何らかのマイナスの要素がふんだんに、それこそ沢山存在しています。

安物買いの銭失いという諺がありますが、まさしくそれです。

むやみに安いからと飛びつくと痛いしっぺ返しを食らいます。

賃料は成功する可能性を買っていると考えてください。
安い賃料の物件は成功確率が下がる危険性が高いです。
適正賃料の物件は最も成功確率が高まります。
高い賃料の物件は大家さんと不動産屋さんが儲けたい物件です、すぐに切りましょう。


やってはダメなこと2 居抜きだから

居抜き物件をおすすめしない訳ではないですが、誰かがやっていてダメになった物件です。
その物件で成功しなかった物件です。
多くの人は、自分なら上手くいく、自分の業態・商品なら絶対大丈夫、投資が安く済むから多少売り上げが悪くても何とかなる経済的な物件だと、考えます。

この考え方が全てダメです!

では、なぜこんなに居抜き物件が出回っているのでしょうか?
居抜きの、居抜きの、居抜きなんてこともザラです。

そうです、ダメになる理由があるからいつまでたってもその物件は居抜きなんです。

居抜きで成功するためには物件を見抜く力が必要です。
居抜きで出る物件の共通している特徴は、厨房が広い、客席が取れていない、席効率が悪い、座りたい席が無い、ファサードが弱い、導入導線が悪い、オペレーションがやりにくい、無駄に人が必要だ、目立たないなど共通の問題点を持っています。
これらを瞬時に感じ取って、それでもその物件でやり切れるというオペレーション能力と業態力がある人だけが居抜きで成功出来ます。
居抜き物件で成功するには、ある程度の改装と投資は必要です。
そのままではほぼ上手く行きません。


やってはダメなこと3 希望的観測の調査をする

脳は認識したいものを認識する癖があります。
赤いものを見ようと思えば赤い物がやたらと目に飛び込んできます。
あそこに青いものがありましたが、気付きましたかと聞いても誰もそんなものは無かったとなります。
折角マーケットインを覚えて立地調査に来ても、成功欲にまみれた調査ではどんなものも自分の都合の良い風にとらえてしまいます。
たまたま起こっている現象を、ほんのわずかな事例を、最大限に評価してしまいます。

立地調査は疑いの目で見るぐらいでちょうど良いです。

私の立地調査法は、そこに何度も足を運ぶだけですが、ルールがあります。
平日の夜、週末の夜、平日のランチ、週末のランチ、晴れた日、雨の日、五十日(ごとおび)、月頭月中月末、それぞれに出来る限り行きます。

この曜日も時価帯も天候も変えて調査することで、人手の傾向がわかります。
売り上げ予想が立てやすくなります。
次にやりたい業態に近いと思われるお店と、全く違っていてもそこで流行っているお店を観察してきます。
その中に成功のヒントが隠れていることがほとんどです。
ダンケネディの「客に聞け」をやります。

お客様がどんな表情で食事をしているのか、テーブルに何が乗っているのか、幾ら使っているのか、
グループ人数は、客層は、年齢層はなど、そのエリアで繁盛しているお店を見れば多くの情報が見えてきます。

これがモチベーションマーケティングの本質です。
そこに顧客の利用動機が存在しているのか、眠っている欲求は無いのか、それを確かめに行きます。

一般的な調査会社を利用したことは過去に一度もありません。

もし、今、あなたのお店の業績が芳しくないのなら、提案したいことは二つ。

立地の再調査と業態の再調査です。

その調査結果を踏まえて、立地にあった業態に変更するのか、
業態がマッチする立地に移転するのか、
繁盛を勝ち取りとりたいのならば、答えはこのどちらしかありません。

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