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2025年の崖の手前にあるDXの壁の話

最近、色んな企業とDX(デジタルトランスフォーメーション)のプロジェクトを進めさせて頂いている中で、DXに向けた真の課題というか本当の難しさが見えてきた。

DXといえば、2025年の崖という経産省のレポートが話題だ。

なんでもこの崖を超えないとDXが成功しないだけではなく、毎年12兆円の経済損失を被るという事らしい。

ふむふむなんて思いながらレポートを読んでみたが、僕の実感値はこの崖の手前に大きな壁があって、そこでつまづきがちなのです。

今日は、2025年の崖の手前の壁について今僕が思うところを率直に書いてみたいと思います。


そもそもなんでDXなんてやってるの?

もともと、Kaizen PlatformはA/Bテストの会社でした。

単なるクラウド上のソフトウェア、いわゆるSaasを提供しても、常に変化していく顧客の課題は解決できません。A/Bテストのツールだけ渡して、「はいどうぞ!」と言ってもお客さんの事業は改善しませんでした

それもそうで、そもそもツール(道具)が欲しいのではなく、ツールと一緒に問題に取り組んでくれる仲間とアイデアが欲しいと僕自身がマーケターだった時に思っていたので、A/Bテストのツールと合わせてクラウドソーシングによるアイデアを提供できるようにしました。

それでも顧客の課題は解決できませんでした。

KPIが正しく設計できない(むしろできてる事業の方が少ないです)からサポートして欲しい、伴走して欲しいというニーズからKaizen Platformではカスタマーサクセスチームを2014年に立ち上げています。多分国内でも相当初期に立ち上げて、あれこれ工夫してきました。

そこから、顧客の課題をテクノロジーとチームで解決して行こうということは全くブレずに事業を少しずつ拡張してきました。

クラウド上にツールやデータを用意するだけではなく、一緒に事業のグロースをサポートしてくれるカスタマーサクセスチームやクリエイターやエンジニアやデータサイエンティストなどのグロースハッカーのチームも合わせて提供していけるようなコラボレーションできるワークプレイスをクラウドにつくろうと少しずつプロダクトを拡張してきました。

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そこからパーソナライズ、動画など様々なサービスを加えてきました。

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お客様と一緒に実行させて頂いた施策数は3万を超えるとことなりました。


戦略上じゃなく行き掛かり上やることになったDX

そんな感じで、ずーっと顧客が困っている事を一緒に考え続けて、実行し続けたらいつの間にかDXの支援をする事になっていたんです。信じられないかもしれないけど、ホントの話。

DXをやろう!と思って戦略的にはじめたわけじゃないのが、経営者としては情けない所だけど、事実なんで仕方ない。

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現在では様々な企業のDXのプロジェクトをご支援させて頂いています


求められる事をサービスメニュー化

支援する方法も様々で、

そもそもDXの事例を知りたいということで勉強会をしたり、

戦略やビジョンを描きたいから経営陣や中核メンバーの皆さんとワークショップをやったり、

DXプロジェクトのPMO(事務局)を丸ごと請け負ったり、

もちろんサイトやサービスのリニューアルや時に開発や運用体制の構築まで、

徹底的にDXにおける実行面で顧客が求めている事をサービスメニュー化し、色んな角度で支援してきました。


実践してみるとわかる真の課題

宣伝はこれくらいにして、ここから実際に自分でやってて思う素直な感想を。

DXのプロジェクトマネジメントは本当難しい。

多くの人が誤解してるのが、デジタルとかいうから戦略の立案が難しいと思うかもしれない。

でも僕が知る限り、DX戦略そのものはシンプルな狙いが多い。

戦略って難しいとダメだというけど、本当そう。

何が難しいかっていうと実行(Execution)が圧倒的に難しい

なぜか?というと様々な部署やベンダーを同時に上手く連携しながら色々動かさないとDXって実現できないから。

これが難しい。単純にいうと、総論賛成・各論反対のオンパレードだから。


同床異夢で見るDXの夢

本当にしょうもない事だけど、この組織間の対立ってどこでもある話だと思うんですよ。

特に情シスとかITベンダー VS 事業部やマーケの対立構造が典型的。


「(あーこの情シスの担当の人苦手)すいません!システムのこの文言修正してください」

「(は〜、またかよ、いい加減にして欲しいな)わかりました。3週間かかります」

「え?こんなカンタンな修正に3週間かかるんですか?(怒)」

「カンタンって思うんだったらやってみたらいいだろ!(怒)」

とかって奴です。

負の連鎖、繰り返す怨嗟、とかって韻を踏みたくなるくらいデジャブを見る。


「タグを入れるのに3ヶ月かかります」

「6ヶ月先まで開発要件が詰まってるので、その要件は少なくとも半年先の着手になります」

「仕様凍結で15ヶ月何にもシステムさわれません」

(全て実話です)

このコミュニケーションが、DXのプロジェクトに深刻な影を落としていくんです。マジで。

別に営業部門とプロダクト部門や事業部とコーポレートでもいいし、ベンダー間の対立でもいいんですけど。

毎回これが本当大変です。

故意なのか過失なのかはこの際ほっておいたとしても、常に誰かが誰かの足を引っ張る状況、さながら地獄絵図

これが哀しいかな必ず起きていくのがDXのプロジェクトなんです。


組織のもつれがたった5%という成功難易度を生み出す

スイスのビジネススクールIDMのマイケル・ウェイド教授が世界中のDXの事例をまとめたこの書籍にも書いてあります。

おおこの本のなかにDXを通じて、思ったような効果をあげられたケースは僅か5%と出ています。95%は、思ったように上手くいっていないって結構衝撃的な数字です。

そして僕が地獄絵図と表現したことは「組織のもつれ」と表現されている。

さすが国際的ビジネススクール、表現は綺麗だけど僕の実感値は「もつれ」というよりも「ほどけない絡まり」に近い。

もはや宗教戦争といっても過言ではない。


宗教戦争の根源はレガシーシステム

最近このDXがあまりにも進まない事に国としても危機感を持っているようで経産省が出したのが、冒頭紹介した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」である。

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最近あまりにも、これについてどう思いますか?とあまりにも聞かれるので、

「いや、どうもこうも書かれてる事はごもっともとしか言いようがないです」

と答えるようにしてる。

ここに書かれている通り、既存の基幹システムそのシステムの前提となる業務プロセスそれを支える組織構造そのものも全部ひっくるめてレガシーシステムと呼ぶとすると当然DXなんて前提にしてないわけです。これがそもそもの原因でなんとかしないとヤバイぞと書いてある。激しく同意。

前提として全て密結合。

疎結合になってる基幹システムってみた事ないくらい。「一度でいいから見てみたい〜」と歌丸師匠のノリで言いたくなるくらい。

それでも日本企業って優秀なんでオペレーションエクセレンスを追求する思想というか宗教感が自然発生的に生まれてるというのかな。

各役割や機能組織毎の土着化が凄いっていうのかな。

千鳥のノブ風に言えば「クセが凄い」という事になる。


土着化によって磨かれ続けて来た栄光の歴史

このレガシーシステムに起因する各役割や機能組織毎のクセというか土着化って事業会社の各組織だけじゃなくSIerやベンダーもご多聞に漏れず染み付いている。

単なる仕事内容だけじゃくて、呼吸とか思考、言動の一挙手一投足に現れる。

実際の所、これまでの業務では各部署や各ベンダーの擦り合わせという、ある種の職人技でオペレーションを進化させてきたんだと思う。

実際それで市場も伸びてたし、業績も伸びて来た。

ところがデジタルによって社会や市場構造が変わってしまうからと言って、この洗練され尽くしてきたこれまでの方法を捨てて、全く別の方法やタイミングで呼吸を合わせていくなんてそもそも至難の業なのだ。


じゃあどうしたら良いのか?

できない理由はわかった。じゃあどうしたらいいのか?

これに対する銀の弾丸は正直に言えば持っていない。

本当は「100%成功させます!私失敗しないんで!」とドラマの主人公のように言いたい所なんだけど、恥ずかしながらうまくいかない事もある。ちなみに結構ある。

ただ、もうこの3年間で20近いDXと呼ぶに値するプロジェクトに色んな形で関わらせてもらって来た中で、わかって来た共通点はある。


成功してるDXプロジェクトの共通点

重要なのは、大きく2つなのだ。

1:社内に影響力のある実力者のコミットメント

2:結果を先に出してプロセスを変えにいくという通常と逆のアプローチ

これが上手くいっているプロジェクトの共通点なのである。

逆説的に言うと、この2つのどちらが欠けても上手く行かない。

因果関係なのか相関関係なのかは、まだよくわかっていない。

でも面白いように共通してる。


結果を先に出すための裏口を用意する

結果を先に出してプロセスを変えると言う事はどう言う事か?

正攻法を選んでいないと言う事である。

要するに、最初は正面からプロセスを変えようとしないで、ある意味邪道でも方法を選ばずに結果を出しに行く事がメチャクチャ重要になってくる。

つまりいきなり基幹システムを触るとかしない。

いきなり複数の部署やベンダーを動かすとかしない。

プロジェクトの初期に、なるべく少数のステークホルダーで、クイックウィンを目指す方法を取るという事である。

この方法論は、色々あるんだけど僕らがやっている具体的で実践的なものを一つご紹介したい。


タグを入れてPoC(Proof of Concept:コンセプトの証明)をする

当社も、他のマーケティングソリューションと同様にタグを入れていただくサービスです。

GoogleやAdobeをはじめ、ほとんどタグを入れて使う。

原理原則は、お客さまの開発チームで施策実装してねと言うサービスなのである。

そりゃそうです。

普通に考えれば、そのサイトやシステムの仕様って開発してるトコじゃないとわかんないし、java scriptで何かするって言って、うまく動かなかったら大変だ。

それをA/Bテストをクラウドソーシングで回すために、QAやインフラ、セキュリティーのレベルをずーっと高め続けてきたKaizenでは普通にお客様ではなくKaizenのチームが施策実装をやっている

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自分達では、当たり前だと思ってやってきたが、ある意味クレイジーで非凡なサービスと言える。

最近のパーソナライズなんてほぼ機能開発みたいなもので、マイページをつくったり、フィードをつくったり、フォームをインクリメンタルに最適化したり、動画やコンテンツを出し分けたり、UI上でできる色んな開発もやっている。

これを基幹システムとかに触らずにタグを入れるだけで機能実装しPoCを実施している

金融からEC、サブスクまで色んな事業の改善をするために、情シスやITベンダーを介さなくても、実際のユーザーが触れる画面上で顧客体験(UX)を変えるような機能開発が出来て試せる高速プロトタイピングを実現している。

数字が取れて検証できるのである。

実際、ある金融機関のサービスでフォームを劇的に改善したら、

「フォームって触れないと思ってました」

と本気で涙ぐんで喜ばれた時に、そんなに社内調整って大変なんだとこちらが驚いた事がある。

それくらい現実的に大きな壁となって立ちはだかっているのである。


うまくいくこと以外やらない開発を目指す

基幹システムに触れたりする開発は、実際誰もやりたくない。

それで成果が上がらないなんて日には目も当てられない。

だからPoC(Proof of Concept:コンセプトの証明)が重要になってくるのである。

DXのプロジェクトもまさに同じで、いかに小さく早くPoCを実行出来るか?がとても重要になってくる。要はプロトタイピングだ。

究極的に言えば、うまくいく事がわかっている開発を目指すと言う事になる。ちなみにそうなると既存の情シスもITベンダーも強い(はず)。

そのためのプロトタイピングをどのように実行(execution)するか?が一つの鍵となってくる。


DXにもプロトタイピングが存在する

先ほどあげた2つの成功しているプロジェクトに必要な2つの条件

1:社内に影響力のある実力者のコミットメント

2:結果を先に出してプロセスを変えにいくという通常と逆のアプローチ

これらは言い換えるとDXのプロトタイピングをどのように実行するか?によってその後のプロジェクト全体の成否が分かれてくると言う事と同義といえます。

ここでコンセプトに関して、具体的なリアリティを掴めると大分その後のプロジェクトマネジメントの難易度が変わってくるというのは実感値としてあります。


まとめると

いきなり崖と言われるレガシーシステムに着手すると、自ずと複数の部署やベンダーをまたがる巨大なプロジェクトになりがち。

→そのプロジェクトマネジメントは、とにかく難しい。

→何が難しいってなぜか足を引っ張り合ってしまう構造になってしまう事。

→これが2025年の崖の手前に壁として立ちはだかる

→それを防ぐためにも、まず小さな成功を具体的に実現して見せることが重要

→なんらかの方法で基幹システムに触れずに、少数のステークホルダーでPoCを実施して成果を見せて進めることでスタックが減らせる

という話です。


これが万能の策なのか?まだわからないですけど、僕なりのDXの崖の前の壁への向き合い方の一つの解です。


Kaizen Platformは、デジタルトランスフォーメーションの専門家集団です。ご相談は、こちらからお気軽にどうぞ!


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【勝手に未来想像シンクタンク】

Kaizen Platform CEOのsudokenです。企業の未来戦略において重要になると思われるテーマについて、私自身の見立てをまとめるノートです。

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