Salfordの夜


まもなく夜零時。
パブの上にある部屋を借りている。独房のような狭さだが、この空間は今のわたしには天国だ。

逃避の旅も残り10日を切った。あっという間だ。
3年ぶりの渡英で、しかも3週間なんてそこそこ長い期間、19歳の時の短期留学ぶりである。
日本に帰りたくて仕方なくなる不安があった。
それがどうだ、日本食は恋しくても、日本に帰りたいとは微塵もならないもんだ。日本での親しい人たちをこっちに連れてきたい気持ちはあるが。
わたしは今いるイギリスという不思議な島国が、心底好きで仕方がない。
この国に、定期的に帰還するためにはやはり金が必要だ。わたしは日本に帰ったら、また金を稼がねばならない。たったそれだけが、重要な問題…


一般社会でまともに労働ができないアダルトチルドレンが、ひたすら言い訳を続けて逃げているだけの人生に過ぎないのだが、どうしようもなくこの人生が好きだなあ、
わたしはわたしが大好きだから、わたしが惨めな目に遭っているのが耐えられないんだ。

これから自分が人生において何をすべきなのか、その答えが欲しい。けれどもちろん誰もそんなことは教えてくれない。誰もわたしを連れ出してはくれないから、わたし自身が連れ出してやるしかない、それと同じように、わたし自身が答えを出すしかないのだが、どうも難しいったらありゃしない。

ぶらぶらと旅をしていたいだけ
それだけなんだけどなあ

髪型は1ヶ月おきに飽きるし
恋人とは半年以上続いたことないし
仕事に関しては、同じ組織に1年も属していたら苦しくなってしまうし

あ、友人家族関係はめちゃくちゃ良好です

こいつが大事なたった1人の家族である母を安心させるためには、かつ愛しい自分が元気でいるためには、一体どうしたらいいんだろう

何か欲しい。
欲しいものは昔からだいたい与えられてきたこの人生。
わたしが「欲しい」と言わずとも、みんなが何かしらを与えてくれた人生。
なんでもあるのに、なにもない。

明後日からはウェールズに3日間。
これといって大した予定は無い。
引きこもってなにか考えなければ

今回の旅ばかりは、「楽しかった。また行く」だけでは終わらせてはいけないから、少しばかり焦って涙をボロボロに流した。そんなSalfordの夜。現在の気温は11℃

今ここにある孤独はたいへん心地がいい…


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