買い物をする際「袋はご入用ですか」と尋ねられる。大抵「はいMサイズを」と答えたり、首や手を横に振るジェスチャーで不要の意志を伝えたりしている。
ある日のこと。その問いに対し「あっ、これに入れていきますから結構です」と手に下げたエコバックを提示しつつ、袋不要の意を伝えた。が、怪訝な顔をした店員に、先の台詞を復唱された。

声が小さかったか？マスクのせいで聞こえにくかったか？それとも私の滑舌が悪いのか？と疑念がわいたが、そのことはすぐに忘れた。

数日後、別の店で同じことを聞かれたので「これがあるからいいですよ」とエコバッグを見せて断ったのだが、またしても店員から同じ台詞を聞かされることになった。

う～む。おそらくこの問いに対し「はい」「いいえ」以外の変化球をつけてはいけないらしい。ふたりとも若い人だった。相手をAIと思い、わかりやすい答えを返すべきなのだろう。

また別のお店で買い物をした。レジ打ち担当は、年配の女性。私の手元にエコバッグがあるのを見て、「袋は？」と尋ねることもなく、流れるように精算を済ませてくれた。

会話は一切なかったが、久しぶりに血の通った相手に対応してもらえた気がした。