Pay it forward/恩送り
Pay it forwardという言葉を皆さんは知っていますか?
自分にしてもらったことを、相手にそのまま返すのではなく、他の誰かにしてあげようという素敵なやーつです。
日本語だと「恩送り」と言われたりもしますよね。
今日はそんなPay it forwardについての話です!
ある日のこと。
「ねぇ、聞いて!」
ある女の子の生徒さんが満面の笑みで話しかけてきました。
もう話を聞いてほしくてたまらないといった様子でした。
「どうしたの?」
と返すと、
「あのね、今日ね、めっちゃ良いことあってね!」
「よかったじゃん!」
「そう!でね、何かっていうと、今文化祭の出し物の準備をしててね、クラスの全員でダンスをすることになってるわけ。で、毎日練習してて結構大変なの。」
「なるほど」
「でね、ダンスの振付を考えてくれて、みんなに教えてくれる役割の子がいるんだけど、すごく一生懸命にやってくれてるのね。みんなそういう役割ってやりたがらないじゃん?」
「いい子だねー!」
「そう!でもね、その子はダンス部じゃなくて、普段は全然違う部活に入ってるから、慣れない部分とかもいっぱいあるの。」
「大変だねー」
「でね、中にはあんまり協力的じゃない子もいて、大変そうだなーって思ってたの。」
「ほうほう」
「私的には、すごく一生懸命なのがわかるし、すごく丁寧に教えてくれて分かりやすいし、すごいなーって思ってたわけよ」
「優しいねー」
「でね!思ってるだけじゃなくて、ちゃんと伝えようと思って、普段あんまり連絡とかしないんだけど、その子にラインで伝えたわけ!」
「おー!!!偉い!!!それは凄いね!」
「感謝の気持ちをちゃんと伝えるのって大人でも中々出来ることじゃないからねー!さすがだね!」
とまぁここまではよくある流れだったのですが、ここから思わぬ方向に行くわけです。
「いや、偉くないの!」
「いや、偉いでしょ!」
「偉いのは私じゃなくて」
「ん?」
「いや、普段、先生が色々ちゃんと褒めてくれるから、私もそういうことちゃんとしてあげよーって思ったの!」
「だから、偉いのは私じゃなくて先生なんだよ!」
「・・・」
褒めのカウンターとでもいうのでしょうか。
ボクサーがカウンターでK.O.されたことにしばらく気づかず呆然とする感じでしょうか。
余りに予想外のことで、リアクションが取れませんでした。
「・・・あーありがとう。」
「そういうことだから!」
と満面の笑みで颯爽と去っていきました。
何度振り返っても褒めどころしかない話なのですが、何度振り返っても最低のリアクションでした。
なので、次の授業で
「この間の話なんだけど、感動し過ぎて上手くリアクションが取れなかったので、改めてお伝えします!本当に素晴らしいです!」
と「追いガツオ」ならぬ「追いホメ」をしっかりしておきました。
で、Pay it forwardの話に戻るのですが、
僕が生徒と接するときにしていることは、全て僕が生徒だった時に坪田先生や他の先生にしてもらっていたことなんですよね。
あまりに親身に接してくれるので、僕は坪田先生に聞いたことがあります。
「なんでそんなに良くしてくれるんですか?ぶっちゃけ別にここまでしなくても良くないですか?」
その時に教えてもらったのが、Pay it forwardという言葉でした。
「僕も昔そうしてもらって嬉しかったからね。もし君が嬉しいと感じたなら、他の人に同じように接してほしいなー。直接お返しを貰うよりもそれが一番嬉しいよ。」
という何とも素敵な返答を頂いたのですが、その時はその真意があまり分からずに
「謙虚な人だなぁ」
という謎の解釈をしていたのですが、
教える側の立場になって、やっと分かるようになりました。
そして、今回の話に至るわけです。
僕の生徒がPay it forwardを自然と受け継いでくれたことが、本当に奇跡的な繋がりですし、
この繋がりをもっともっと広げていければ、理想を押し付け合うことなく、自然により良い世界を作っていけるんじゃないかなぁと思いました。
生徒から学ばせてもらうどころか、逆に褒められるという、この関係性が本当に有難いですし、
社会の一員として考えれば、上下の関係ではなく、チームメイト同士であるという目線は忘れないようにしていきたいですね。
それにしても遠い昔のどこかの誰かの優しさが繋がって、
感動して、感謝して、笑ったり出来ることが本当に凄いことだなーって思います。
そしてその優しさの連鎖に加えてもらった幸運を考えると、また次に繋げていくことが自分の役割なんだろうとも思います。
生きている間に少しでもその輪を広げられたら、それだけで「良い人生だった」って言えるのかもしれないですね。
それでは!
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