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【体験談】田舎者が初めての渋谷でパニックになった話 ~スマホがない、勇気もない~ 2話目“iPhoneのバッテリー交換をしたい”(全4話)

私は人混みや都会が苦手。コミュ障でビビりな性格です。


②え! 2時間もかかるの!?


iPhoneのバッテリー交換をするために、渋谷のアップルストアへ行くことに。 都会に苦手意識がある田舎者ですが、推しのイベントついでに勇気を出して、アップルストア渋谷店の来店予約を済ませました。


(1)事前の自分調べ(GoogleMAPのクチコミ情報=不明確情報)では30分と書いてあったけど? 30分なら店内で待とうと思っていたのに。(自己中炸裂)


いざ、バッテリー交換をするために渋谷のアップルストアに行く日になった。
 
ちなみに昨日の推しのイベントは最高だった。
余韻に浸りながら、恵比寿駅前のビジネスホテルのチェックアウトを済ませる。

まず、恵比寿駅から渋谷駅へ山手線で1駅移動する。渋谷駅に着いたら、アップルストア渋谷店へは徒歩で向かう。
 

ちなみに本日のスケジュールは

  • 朝10時 渋谷のアップルストアに入店・受付・スマホを渡す(アップルストア内で、バッテリー交換が終わるのを約30分間待つ)

  • 11時 スマホを受け取って退店

  • 13時 新宿発の高速バスで帰宅

というものだった。
 

都会に恐怖心を抱いている私。
事前にGoogleマップのクチコミを予習済みである。

バッテリー交換をした人のクチコミや経験談が沢山書いてあり、その記事をまとめると、

・午後~夕方に持ち込むと、受け取りは翌日になる
・曜日や時間帯によるが、空いていれば30分ほどで受け取れる

早い時間に持ち込めば、30分ほどで終わりそうだ。

私は朝一番の枠で予約しているんだから、多く見積もっても、せいぜい1時間ほどで終わるだろう。
(つくづく人間は自分に都合の良い解釈をしがちな生き物である)



朝9:50、アップルストア渋谷店に到着。

渋谷駅に着いてからは、Googleマップを片手に、田舎者丸出しでキョロキョロしながら歩いてきた。

方向音痴&田舎者の認識なので、若者の街である渋谷は迷路・魔宮・訪れる者すべてを惑わせるエリア。ああ、こわかった。
 
私の予約は開店と同時の朝10時の枠だったが、私は慎重派(ビビリ)なので、開店の10分前に到着してしまった。

すでに店の前には開店を待つ人が4~5人立っている。
また、アップルストアの店員さんと思われる男性が、アップルストアの前で立ち止まる人に声をかけ、開店前の整列をさせている。

店員男性が客に
「予約はしていますか?商品の受け取りですか?修理ですか?」
と声をかけている。
それぞれの客の用件によって開店前の待機列が分かれるようだ。

また、予約をしていない人は待機列には並ばず、近くでウロウロとしながら待つシステムのようだった。
 
私もその店員男性に問われたため「修理で予約しています」と伝えると、修理の待機列に並ぶように指示を受ける。私の前には一組の待ち客がいた。

 


朝10時、アップルストア渋谷店がオープン。


なんとアップルストアは開店直後、拍手で客を迎えてくれる。
20代のフレッシュな店員さんが多めである。店内は明るい。
やはり都内のアップル店員。

  • みんなシュッとしていて

  • 性格も明るい(と思われる)

  • 美男美女たちが揃っている(ように見える)

そのすべての店員が拍手をしながら、客を迎えている。

一方の私は田舎者なので、
驚きと恥ずかしいような照れるような、なんとも変な顔で、奥のエレベーターを目指し店内を突き進む。
 
これは、客側はどうやって入店するのが正解なのか。客も拍手すべき? いっそハイタッチとかすべきなのか?
 


そのまま3階にある修理対応受付階(ジーニアスバー)へ進む。

3階でエレベーターが開くと、さっそく店員が話しかけてきてくれ、「空いている席にどうぞ」と言われた。

私のほかに修理を申し込む人は2組。私を含めた計3組がそれぞれ自由に椅子に腰かける。

次に店員が客の名前が呼んでいく。小学校のホームルームのような光景だ。

男性店員 「山田さーん」(仮名)

私の名前が呼ばれたので、私は片手を上げて存在を示した。
今回、私の修理受付をしてくれる男性店員がタブレットを手に、こちらまで近づいてきた。

 
男性店員の話によると、
まず私のiPhoneを店のタブレット端末も使いながら、iPhoneの状況を確認。本当にバッテリーが劣化しているか、他に不具合はないか等を調べるらしい。
 
ちなみにこの時点でiOSのバージョンアップがされていないことが判明するが、今回のバッテリー交換作業にはとくに差し障りはないとのこと。
 
また、1週間前にiPhoneのバックアップは済んでいる、という記録が残っていたようだ。ただ、男性店員の口ぶりでは、バックアップは修理に出す直前や前日にやっておいたほうが良い作業のようだ。

要は修理の際に、万が一データが消えても保証はしないですよ、自分で記録を取っていてくださいね、ということだろう。

 
私のiPhoneの状況が終わると、端末(iPad)を使いながら、今から行うバッテリー交換の流れや注意点を説明してくれた。そこで私は驚愕の事実を知らされる。
 
男性店員「本日のバッテリー交換は2時間はかかりますね!」


(2)店内で待てないの?


えええーっ! 
30分で終わるんじゃないの!?(こちらの思い込み)
朝一番に来たのに?(こちらの都合1)
帰りのバスの時間もあるのに?(こちらの都合2)

今から2時間かかるって、修理が終わる時間は13時近いな・・・。
バスの時間に間に合わないな。東京でもう一泊する?(バッテリー交換だけのために?)
いや高速バスをキャンセルして、新幹線に乗れば当日中に帰れる?(せっかく節約したくて高速バスを予約しているのに?)
わーーーー パニック!
 
とは、もちろん相手に言わない。なぜならこちらはビビりの田舎者。
コンマ何秒の間に、脇汗をビッショビショにかいた。

男性店員に
私「2時間ですか。実は高速のバスの時間があって・・・」
と、真っ青な顔になりながら、必死に言葉をひねり出す。

続けて、
私「2時間・・・店内で待つのは無理ですよね? ここ(渋谷)の土地勘がまったくなくて、スマホがない状態で歩き回るのが不安すぎるのですが・・・」
と、この世の終わりのような顔で心情を吐露した。
 
なんせ、こちとらビビリでコミュ障。相当こじらせている田舎者である。

この若者の街・渋谷駅というダンジョンに降り立つことすら、数十年間避けてきたビビリの玄人である。
 
男性店員「店内で待つのは、ちょっと・・・。もう少しすると、この場所は人でいっぱいになります。」

(この意味は後々知ることになる)


(3)スマホがない&土地勘が全くない状態で、1時間も渋谷の街でどうやって過ごそう(不安)


そして、男性店員と私の間に沈黙が流れる。
 
男性店員の厳しい表情に気づいた私
「あの、じゃあ、もう今日は、(バッテリー交換を)あきらめます・・・」
と精一杯のつくり笑顔で伝える。

 
過去に私も接客業の経験がある。

無理なものは無理なのだ。自分のわがままを言って、店を思い通りに動かそうという悪質なクレーマー客にも幾度となく遭遇した。
そもそも、私の予測や考えが甘かったのだ。
事前に電話なりでお店に直接聞いておけば良かったのに、それを怠ったのは自分。


すると
男性店員「・・・ッ! 少々お待ちください・・・ッ」
と苦しげな表情はそのままに、男性店員はその場を離れてしまった。

どこに何をしに行ったのかは分からない。
その間に帰り支度を進める私。日を改めて、また来れば良い。スマホのバッテリーの持ちがやや悪いくらいで、日常生活にはさほど支障はないのだ。

そして男性店員は音もなく戻ってきた。
男性店員「確認したところッ、なんとか1時間でやってもらうように手配してきましたッ!」
 
なんと! どこに、何の確認に行ったかはわからないが、無理矢理ねじ込んでくれたのだろう。バッテリー交換が1時間で終わるなら、いろいろ何とかなりそうだ。
 
そのままバッテリー交換の手続きを進める。
バッテリー交換にあたって、注意点がいくつかあった。説明は店員さんのタブレット端末を使って進められた。

  • バッテリー交換後にデータが消える可能性があること

  • バッテリー交換は液晶画面をパカッと開けて行うため、液晶画面の保護フィルムが傷つく可能性があること

  • 新しいバッテリーに交換しても、充電の残量が30%くらいしかないこと

  • 機械を開けてから、内部の水濡れが発見されれば、本体ごと交換になるため、12,900円がかかること(私はアップルケアに加入していたからこのお値段で済むそう。入ってなければもっとかかるらしい)

最後にタブレットに署名を書いて、バッテリー交換の手続きは完了した。


そして、私のiPhoneを店員さんに渡した途端、私は猛烈な不安にかられた。

私は慢性のスマホ依存症であり、トカイ(都会)・・・コワイ・・・病である。
そんな私がついにスマホを手放した。
これから1時間、身一つで渋谷の街を彷徨わねばならぬ時間が来てしまった。


不安に押しつぶされ、血の気が引いた顔の私を見た男性店員は
「この坂を少し上がったところに、エクセルシオールというカフェがありますよ」
と教えてくれた。


坂? ここに坂なんてあったか?
不安でパニックになっている私は正常に頭が働かず、
「ああ、はい(^_^;)」とこの顔文字通りの作り笑顔で、なんとか返答した。

実際に来るまで全く知らなかったが、渋谷は意外と坂が多い。
このアップルストア渋谷も、実はゆるやかな坂の途中にある。
当日は、道の勾配を気にする余裕は一切なかった。

しかし、この男性店員の一言が後々の私を救ってくれるのだった。


私はアップルストアを出て、渋谷の街で時間を潰すことになった。

受け取りの時間は11:15頃なので、約1時間、渋谷を徘徊する。

とりあえず、アップルストアが視界に入っている範囲で動けば、迷うことはないだろう。

まず、目の前にパルコがある。

また、さらに少し行ったところに無印良品がある。
ムジラーな私は、無印良品の店内で平気で40分はいられる。大都会の無印良品ともなれば、豊富な品揃えだろうし、余裕である。むしろその品揃えを見るのは楽しみである。

まず、意気揚々と無印良品へと向かった。
しかし、まだオープンしてなかった。

現在時刻 10:20


なんと無印良品は11時オープンだった。
都会は眠らない街と聞いていたので、お店も長い時間、開いているものと思ってしまっていた。

気を取り直して、隣のパルコへ向かう。
このパルコはいくつかの巨大な棟に分かれているようだ。客も沢山来るだろう。きっともう開店しているはず。

あ、なんか係員が立っているぞ。
そうだよな、朝から沢山の客が来るはず。

なんだか行列が見えるぞ? たしかに大都会のパルコなら、係員が沢山の客を裁く必要があるな。

もしやスムーズにパルコに入ることもできないか? いや、こちとら時間を潰したいのだ。むしろ入場を待つ時間があるくらいがちょうどいい。


よく見ると、係員はポケモンセンターの人のようだ。
パルコの中にポケモンセンターが入っているのか。たしかに、道行く人を見れば、ポケモンの絵柄のついた袋を提げている。ポケモンセンターへ向かう客を案内している係員。うーむ、これは嫌な予感がするぞ。

そう、パルコも11時オープンだった。
ポケモンセンターは10時オープンだが、パルコ本体はまだ開店していなかった。

私はさすがに時間を潰すためにポケモンセンターに立ち寄れるスペックではなかった。

ポケモン人気は知っているけど、私が最後にポケモンをしたのは20年以上前。まだ液晶画面が白黒の頃。私は20年以上前にポケモンを卒業をしてしまっていたのだ。

現在時刻 10:22


こんなとき、時の進みは遅い。ああ、どうしよう。

とりあえず巨大パルコの棟の外周を歩いてみることにした。
学生時代の部活を思い出した。校舎の周りを“外周”と呼んで、走る練習があったからだ。

そんなことを思いながら、なんとなく歩き出した、そのときだった・・・


③へ続く

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