人形の社会的な立ち位置と、企業との雇用関係、グリフィンにおける誓約についての考察

聡明な指揮官諸氏ならば、一度は「誓約ってなんなん?」と思ったことがあるだろう。
メタ的に言えば、某お船のゲームにおける「ケッコンカッコカリ」と同じシステムである。レベルの上限と限定ボイスが解放される、一つの到達点とやりこみ要素。煎餅布団はドルフロでも欲しかった
だがあちらの艦娘は設定がぼかされており、人間なのかそうでないのか、よく分からない。それにプレイヤーの性別設定も存在しない。だからこそカタカナ表記で(仮)とまで付けられているのだと思う。
しかしドールズフロントラインに登場する「人形」には、はっきりと設定が定められている。彼女たちはヒトに作られたアンドロイド、ガイノイドで、その魂は所詮ただの人工知能に過ぎない。
だがまあスケベな指揮官たちにとってそんなことはどうでもよく、どうしたらG&K退職後も誓約した人形とイチャイチャ生活できるか考えている人ばかりだろうから、ここではその可能性を考察してみる。退職後は賞金稼ぎになってる? それは公式が勝手に言ってるだけでしょ

人形の社会的な立ち位置

自分を買い取る人形

人形は大戦後の人口減少の穴を埋めるため、消費活動を行えるよう設計されている。だから飯を食べるし、趣味や好みに基づいて各々が自由に金を使っている。
つまり、ある程度は人間社会において人間と同様に活動していることが見て取れる。実在する人間とそっくりに設計・改造することは違法とされているそうなので(季節イベント:繭中の蝶より)、人間が最優先される、あくまで人間社会全体へ奉仕する存在として社会活動を認められていると推測できる。
気になるのは、人間同様の権利も有しているか、ということである。代表的なところで例えば「選挙権」を、果たして人形も持っているのか?
KSVKのMODストーリーでDP-12は、当時の勤め先に対しKSVKと自分を買い取ると発言している。ただし、それでも「社会的な身分はない」、とも。

自分を買い取るということは、彼女たちの所有権を勤め先が保有していることだと思われる。
我々人間は仕事を辞める時、自分を買い取ったりはしないだろう。我々は会社との雇用契約を解消するだけにすぎない。だが人形は、どうやら自分自身の所有権を他者に保有されることができるらしい。
それと同時に、我々は会社を辞めてプー太郎になろうとニートになろうと、「社会的な身分」はある。社会的な「地位」ではなく「身分」
少なくとも日本に身分制度は一部を除き存在しないので、総理大臣も生まれたてホヤホヤの赤ちゃんも、等しく国民・市民としての身分を持つ。それが、人形にはないらしい。ならば当然、選挙権もないだろう。

自分を買い取った後はどうなるのか?

同じ文脈でDP-12は、自分を自分で買い取った後も「社会的な身分はないのでここに置いてほしい」と勤め先に伝えている。要は、そのまま働きたいと言っている。
では自分を買い取る前後で何が変わったか? 

そもそも、所有権を他人に保有されるとはどういうことか。人形が社会生活を営む本来の目的に沿えば、おそらく虐待や破壊は法律で制限されているだろう。要は所有権を持っているからと言って、自分の人形を好き放題できるわけではないのだと思う。常識的な範囲で"使用"しなくてはならない。Thunderの前職などの例外もあるようだが、だからこそ成り立つ商売だったのだろうとも推測できる。
ということならば、人形が自身を所有されるということはそこまで物騒な話ではなく、オーナーの命令は絶対だが一方で普通に暮らせるようなものなのだと想像できる。KSVKとDP-12もそのようで、これが私の仕事だと言いつつ、普通に過ごしていた。一般的に想像される奴隷のような扱いではない。
また、これは想像だが、おそらく給料は発生していなかったのではないかと思う。なぜなら勤め先にとってDP-12らは所有物で、彼女たちが自分たちのために働くことは当然だからである。その代わり衣食住も勤め先が負担していたのではないか。あるいはちょっとした小遣いも。

一方、自分で自分を買い取るということは、自分が誰にも所有されなくなるということ。誰の言うことも聞かなくて良いが、誰も面倒を見てくれない。生活の安定を一挙に失うだろう。だが自由になる。所有者に縛られることはなく、やりたいことをやれるようになる。
言い換えれば、人形たちは自分を自分で買い取るだけの金を用意することで、社会的な自由を手に入れられると言える。おそらく、職業選択の自由を始めとする自由権の多くはここで初めて発生するのだろう。

企業との雇用関係

所有権売却か雇用契約か

それでは一度自由になった人形は、どうやって生きてゆくか。
二つのスタイルが考えられる。
一つは、再び自分の所有権を個人や企業に売却して、所有物となって面倒を見てもらうこと。
もう一つは、我々現実の人間と同じく、個人や企業と雇用契約を結ぶこと。所有権はあくまで自分が保有したまま、給料の対価として労働力を提供するのである。
G&Kがどちらのスタイルを採用しているかは分からない。それぞれにメリットとデメリットがあり、あるいは人形本人の意志によって使い分けているかもしれない。

第三のスタイル

そしてもう一つ、見過ごせないスタイルがある。それはリースである。
現実社会でも、高価な商品はリース形態でやりとりすることがある。ちょっと使うだけなのに買うには高すぎる、なんて時に活用される。重機なんかはリースが多いのではないか。身近なところだとサブスクリプションサービスとか。定額使い放題である。人間の正社員もそうかも……
人形もその例に漏れないだろう。重機ならぬ銃器かなり大量生産され普及した世界だとはいえ、あれだけ高度なアンドロイドがホイホイ買える値段だとは思えない。
また、製造時から戦術人形として生まれたI.O.P製の人形は、初めからリースでしか販売していないかもしれない。軍事技術の塊を、軍相手ならともかくG&Kなどの民間企業に対し完全に手放すとは想像できない。
このリース形態は、すなわちI.O.Pに所有権を保有されているスタイルだとも言える。貸し出される商品として、例えばG&Kで働く。I.O.Pはリースするための人材を募集する必要がないので(自前で生産すればいい)、G&Kにリース形態で働く人形がいるとしたら全てI.O.Pに所有権を握られている人形だろう。

誓約とは

まとめると、G&Kにいる人形の雇用形態は次の3パターン+1だと予想される。
①G&Kに直接所有される人形
②G&Kと雇用契約を結んでいる人形
③I.O.Pに所有されG&Kにリースされている人形
④提携企業から出向している人形

さてようやく触れる「誓約」だが、そもそもこれは何か。
アイテム「誓約の指輪」の説明によると、「誓約した人形は更に多くの権限と使命を得る」とある。
……ぶっちゃけよく分からないが、GrMG36は誓約ボイスで「履歴書に書き加える」などと言っているので、履歴書に書くようなものであるらしい。
現代の一般的な履歴書を想像するならば、プライベートなことは書かないだろう。
だから、誓約という名称そのままでないにしても、人間同士の「結婚」に代わるドルフロ世界の一般的な社会制度であるという説は否定される。「○年△月×日 結婚」などとは履歴書に書かない。
では、昇進に当たるものだとしたらどうだろう? 「更に多くの権限を得る」という説明文も、昇進ならば違和感はない。
ところがどっこい、人形たちの誓約ボイスをたくさん聞いてみると、どうもその説も怪しい。指揮官との個人的な関係を結んでいるかのように思えてくる。「愛してる」とまで言ってのける人形もいる(LWMMG)。
それでいて社会的に認められた疑似結婚制度でないなら、これはG&K社内だけの用語、システムであるということになる。

そこで有り得そうなのが、「所有権/雇用主の移行」である。
要は例えば①G&Kが所有する人形と誓約を結ぶことは、その所有権をG&Kから指揮官へ移行することであり、人形からしてみれば勤め先が変わるので履歴書に書いてもおかしくない。個人同士の関係なのでボイスで喜んだり照れたりしてもおかしくない。
②のG&Kと契約して働く人形にしても、直接の雇用主を指揮官に変え、指揮官はそれまでと同額でG&Kにその人形を派遣すれば状況は変わらない。むしろメンテ費用などを指揮官持ちにすればG&Kは得するかもしれない。
③のリース形態の人形だとしても、リース契約を結ぶのがG&Kから指揮官へ変わるだけで、やっぱり特に状況は変わらないし、もしかしたらG&Kが得をすることになる。所有権がI.O.Pにあり続けるのも変わらないので、こればかりは武装解除した上でI.O.Pから民生人形として買い取る必要があるかもしれないが。

じゃあ「誓約」ってネーミングは何なのよ、となるが、これはG&Kがこのシステムの活用を推進して名付けたのではないか。
エンゲージリングじみた指輪をわざわざ販売して、しかも時にはスキンとの抱き合わせ商法や2個セット販売をやるのも、誓約自体がG&Kにとって価値ある制度なのかもしれない。ゲーム的事情とか言わないように

まとめ

長々と述べたところで所詮は個人的妄想に過ぎないが、
誓約とは人形の「所有権/雇用主」を「指揮官へ移行」するシステムのG&K内での呼称であり、誓約後は指揮官がその人形を所有/雇用する構図になる、
と推測できる。
民生用出身の人形はI.O.Pで改造されているから、G&Kを離れるとなれば武装解除されることになるだろうが、そうだとしても人形はあなたのものである。
まあ、③リース契約の人形に関しては、I.O.Pが所有権を手放さないかもしれないけど……返せって言われたら返さないといけないかもしれないけど……
その時は、まあ違法だろうけど、メンタルを別の素体にコピーして愛の逃避行を図ってはいかがでしょうか。
ぶっちゃけその辺は、AR小隊や404小隊、反逆小隊と誓約できる時点で細かいことを考えてはいけない

じゃあ鉄血は!?

鉄血勢力はもうどう見ても力付くで捕獲しちゃっているので、①G&Kが直接所有しているんでしょう。たぶん高いけど買い取れば済むいちばん簡単なポジションだと思われる。やったぜ
ただし、世間における鉄血人形は人類の敵なので、書類上で上手いことやらないと個人所有は違法になる恐れがある。

終わりに

これは全部妄想です!
ゲーム中の描写に基づいた推測ではありますが、結局は全部妄想です! 公式設定は公表されていません!(たぶん)
「こうあってほしい」という願望が大いに混じっていて、あえて可能性を広げず考えているフシがあるので、真に受けないでね!
それにスキンストーリーとかMODストーリーとか、全部読んでないから重要な設定に気付いていないかもしれない。その辺も勘弁してね!

おまけ

誓約する際に流れるムービーの最後、「OATH(誓約)」とデカイ文字が出てくるシーンに、小さく「Tactical Doll Special Marking System」と書いてある。直訳で戦術人形特別マーキングシステム。

マーキングってどういうことだよ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?