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シアワセの欠片(昔の記憶)

 大きな幸せはとても嬉しいのよ。
 そうね、たとえば……私の誕生日にサプライズケーキ。
 花束など、とても嬉しい。

 でもね、たまに忘れられちゃう年もあるの。
 それは悲しい。

 家族のみんなに忘れられてしまうのは、悲しいわ。
 そう呟いた私に、家族は手作りのお金のかからないプレゼントを作ってくれたよ。

 新聞紙で器用につくられた、大輪のバラ。
 白い紙に書かれた「おめでとう」のお手紙。
 たくさんのハグ。
 小さなことだけど、一生懸命に心を込められたものは、なによりも大切だと思うわ。
 
 忘れられたことは悲しいけど、それを忘れるくらいの愛情はささやかながらに嬉しくて……。
 まるでシアワセの欠片が、心の心の奥に降り積もり、大きな幸せになったんだよね。

 私はまだここにいても、良いのね?
 ありがとう。

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