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読書メモ: 『ソニーデジカメ戦記』 


先日二人の編集者に勧められたのが『「ソニーデジカメ戦記」もがいてつかんだ「弱者の戦略」』

ソニーグループの元副会長 石塚茂樹氏にインタビューした内容が書籍化された本だ。アマゾンから届いた本を開いてみると、対話形式だ。(対話形式は連載向きで読みづらいな)という先入観を覆し、一日で読了してしまった。


ソニーのα7を持っている。
数年前、仕事仲間が持っていた一眼レフがこのカメラだったこと。友人がソニーに勤めていたことに購入理由がある。「買わなくても相談に乗ってくれるから」と勧められて銀座4丁目の日産ショールームの上にあるソニーの直営店に出かけた。2回通って購入を決めた。 
その後、銀座四丁目の「ソニーイメージングギャラリー銀座」には何度か足を運んだし、「ソニーワールドフォトグラファーアワード」は知人の作品を見に行ったこともある。
自分とソニーのデジカメとの繋がりです。

そんな経緯で、この書籍は個人的興味からも読んだのですが、
楽しく、かつ読み応えある内容でした。いくつかあげておきます。

○対談形式であるのに読みやすい。Voicy で肉声をきいているかのよう。カジュアルで節度ある語り口で書かれているからかもしれない。
「は? すみません」とか、質問も口語調。

○「エンジニア魂」とは何ぞや、をエンジニアの肉声で書かれているのはあまりない。
例えば….

「情熱と魂を注入するということが、顧客に刺さる商品を注入するということが、顧客に刺さる商品を作る大前提だから。…. そしてその情熱と魂は、デザインのディーテールや、細かな使い勝手に出てくるわけです。細部に至るこだわりがお客さんを惹きつけ、使い始めたら離れられなくなる…. 商品導入の時に、魂を込めたエンジニアの人が語るのもいいと思う」

『ソニーデジカメ戦記』


○社内の所謂パーパスをなぜ作ったのか、どう広めていったのか、を詳しくインサイダーストーリーとして紹介してくれている。詳しくは書籍を、だが、2007年に作られたデジタルイメージング事業本部の「基本理念(ありたい姿)」 を作った後、石塚氏は、中堅社員との座談会を10年以上、数百回行ったそう。自分の考えを直接伝えていたこと。
メッセージが伝わったかを確認し、同時に現場社員の生の声を聞いたという。さらにご自身のブログも毎月綴られていたとか。このブログも拝読してみたいものです。


全編にわたって、技術のことが素人にもわかる言葉で語られているので、ビジネス書としてでなく読み物として面白い。ソニーが好きな人なら、過去の製品写真も豊富なので楽しめるかもしれない。

ものづくりの仕事の面白さをライブ感たっぷりに伝えているのがとてもいい。
本棚入り確定。

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