ソヨゴ

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自サイトで連載している小説のセルフ二次創作などを中心に、雑多に文章を投げていく予定。今のところ無料記事しかありませんが、そのうち有料記事も増えるかも。サポートは何円からでもお気軽に! 励みになります。

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男爵家五男の気鬱な一日

 普段の自分なら、こんな時にどう振る舞うだろう。着なれないタキシードのきつい首周りに手を遣って、エドワードは思案する。まず後部座席へ乗り込むと同時にコートを脱ぎながらこう話しかける、やあどうも、君もご苦労様だね、こんないい天気の日には公園のベンチに座って焼きたてのベーグルなんかを頬張ってるのが一番いいよ、いけ好かない金髪男の送迎なんざやめにしてさ。かく言う僕も向かう先には全くなんの関心もなくて、いま通り過ぎたドラッグストアのほうがまだ興味が湧くという始末だ、いや、シェービング

    • 午后の終りに。

      沖さん https://twitter.com/mu_mii_?s=21 からご依頼いただき執筆した短編です。 作中に登場する絵画は沖さん作のものをモデルにしています。 (こちらの作品 https://www.pixiv.net/artworks/90987098 ) 本編に限りなく近いIF軸ですが、現代モノとして見てもらえれば。 -----  着信画面を見た途端、エドワードは嫌な予感がした。正確に言えば着信が来る数瞬前から不安はあって、画面に表示された名前が予感を確実に

      • 大学生パロのようなもの。_第三話

        蔵未と沢霧、その他人物たちによる大学生パロ。三話目です。 一話目はこちら→ https://note.com/sugar_lump/n/nbc3607cffca9 二話目はこちら→ https://note.com/sugar_lump/n/na3fbb3290914 ーーーーー  こうやって開き直ること自体褒められたものじゃないのだろうが、俺はすこぶる性格が悪い。だから俺に親身な態度を期待するのは馬鹿げている。もし俺だったら深刻な苦悩を、よりにもよって俺に話そうとは全

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        • 大学生パロのようなもの。_第二話

          蔵未と沢霧、その他人物たちによる大学生パロ。二話目です。 有料記事とはなっていますが、FANBOXの有料プラン向けに出している話で内容としては落書きな旨ご承知おきください。 三話目はこちら→ https://note.com/sugar_lump/n/n560fc0f48b3f 21/06/19:細部を改稿。FANBOXでは第三話が出たので無料公開にしていたのですが、こっちも揃えるのを忘れてました(無料にしました)。 ----- 「蔵未くん」  呼びかけられて顔を上げ

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        男爵家五男の気鬱な一日

          岐路

          遅刻ですがぎょにく(グロスケ)さんの誕生日祝い、第五話です。 ずっとTumblrで連載してましたが編集が面倒になったので…… 前回 【お借りしたよその子】 ・ユージンくん、南条くん:@gyoniku_kure ーーーーー  青年はアパートのドアを開けてのち、しばらくぽかんとしていた。玄関先に立っているのは、もう長いこと顔を見ていない高校時代の友人、そしてここに来る理由が全く思い浮かばない男だった。確かに学生時代は家で集まるなどしたことがあるから、場所を覚えているのは不思

          第一話_大学生パロのようなもの。(落書き)

          蔵沢の大学生パロのような話。続くかも。 二話目はこちら→ https://note.com/sugar_lump/n/na3fbb3290914 21/03/05追記:続いたので一話目に改題。なお全体タイトルは思いついたらつけます。 有料公開してましたが、二話目が出るので無料に変えてみました。 21/06/19:細部を改稿 ------  美しい。  この男の顔を見ていると、それ以外の言葉は消え失せる。贅を凝らした修飾語やら大げさな比喩やらは、虚しいだけで何の意味もない

          第一話_大学生パロのようなもの。(落書き)

          turn on

          れーじくん(@reyji_1096)のスパイパロ設定をお借りして第5話。 前回はTumblrにあります。iPad死ぬほど編集しづらい。 お借りしたよその子:シド・レスポールくん、ピピリくん(@chhh_M)、花表はやてくん(@tnyatos)、東堂紫音さん(@hixirari)、ロベルトくん、ヴァルツァくん ----------  小さなグラスが折り目正しく置かれた眼前のチェス盤を見つめ、蔵未は内心苦々しいものが湧いてくるのを呑み下した。何食わぬ顔で脚を組めば、向かいに座

          左隣りの男

          「やだなあ、エディって呼んでよ」  私は彼のことを、スティールバードとしか呼ばない。正確には「スティールバード警部補」としか。そしてそのように呼ばれると、同僚である彼は必ずこういった返答をする。彼とて本気で呼び方を改めてほしいとは思っていない、彼の発言はいつも彼自身の心情とは無関係に、彼のキャラクターから発せられている、——と、私は思う。彼はいかなる場面においても自身のキャラクターを崩すことはせず、そのため常に冷静で、感情的な判断ミスをしない。彼を胡散臭い、信用できないと称す

          左隣りの男

          ある冬の日

          FANBOXに投稿した小話です。字数に比べて割高ですが読みたい方向け。 -------  金髪で高身長の、体格のよい男性に出会うと、ついつい目で追ってしまう。友人にはなんて趣味が俗っぽいのかと呆れられ、また自分自身そのように恥じ入る節もあったのだが、ふと、これは単なる自分の好みではなく、幼い頃の思い出に影響された結果であることを発見し、少々ほっとした。誰しも人格形成以前に受けた衝撃からは逃れ難く、前述の友人だって幼い頃に禁じられていたコーラに異様に執着する成人になってしまっ

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          ある冬の日

          ある日の、青年からの便り。

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          ある日の、青年からの便り。

          ある日の、大学生からの便り。

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          ある日の、大学生からの便り。

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          同人誌『蝶の翅はなぜ青いか』収録作品。 【販売リンク】 文庫版 ダウンロード版 -----  彼は男性と寝るときは、必ず知らない土地へ来た。毎朝使う地下鉄の定期券外に降り立って、道ゆく人誰も彼を知らない彼も知らないそんな場所へいく。ときには親ほども歳の離れた相手にコーヒーを奢ってもらい、ほんとうはあまり好きではないその苦いコーヒーを舐めながら、話を聞いて、そしてホテルへ向かう。彼は別に金に困っていたわけではなかった。当然セックスが好きなわけでも、さらにいえばホモセクシュ

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          同人誌『蝶の翅はなぜ青いか』収録作品。 【販売リンク】 文庫版 ダウンロード版 -----  昔観た映画に、自殺志願者の、若い女が出てくるのがあって、その女の部屋には空が見えないからと空の写真が至る所に貼ってあった、上手く言えないが、彼女はそれをすごくいいと感じて自分の部屋の天井と壁にも同じように空を作った。天井にはプロジェクターで画像を、壁には何枚か絵を飾り、それから部屋中に大小さまざまのモニターをいくつもいくつも置いて空の映像を流しておいた。人が呼べない部屋になった

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          妹思う -St. Veronica's handkerchief-

          同人誌『蝶の翅はなぜ青いか』収録作品。 【販売リンク】 文庫版 ダウンロード版 ----------  上手く、眠れずにいた。アラームの音がする前に、かすかな鳥の鳴き声でいつも目が覚めてしまうのだ。軽い貧血に襲われながら傍らの時計を確認すると、針は大抵予定時刻の二時間前を指している。寝直すにも半端だからと仕方なくベッドから降りて、洗面所へ向かい朝の身支度を始める。シャワーを浴び、朝食を済ませ、シャツの袖に腕を通すころ思い出したようにアラームが鳴り、嘆息まじりに止めに行く

          妹思う -St. Veronica's handkerchief-

          Three bays song.

          Garden企画内企画「Garden collection」提出作品。 拙宅のエドワードが箱庭へ飛ぶ前の一幕です。 -----  春が去り夏が来る前の、ほんのわずかなこの季節。朝がこんなにも清々しいのはこのひと月だけのこと。だから少しでも長く味わいたくて私は早くにアラームをかけ、気に入りの茶葉をミルクで煮出す、カモミールの甘い匂いがキッチンに充ちるころ最初の客人が現れて、そのブレーキの掛け方やエンジンの音の具合なんかから私は彼らの正体を知るの。ハロー、フィリップス。おはよ

          Three bays song.

          デイジーと、よく晴れた空。

          「キース」 「ん、」 「誰と話してたの?」  俺が助手席に乗り込んで音高くドアを閉めた瞬間、ネディは車をふかしながらそんな言葉を口にして、諸々の雑音に遮られたその問いかけの意味を把握するのにやや手間取った。エンジンや雨や衣擦れのノイズなんかの中からやっとネディの声を取り出すと、今度は、どう答えたらいいか、分からなくなって沈黙する。結局俺が口を開いたのは車が走り出してのち数秒のことだった。 「誰でもいいだろ。なんで聞く?」 「や、随分と熱心に聞き入っていたものだから。よほど大事

          デイジーと、よく晴れた空。