アメリカの芸能法人に対する出演料等に係る源泉徴収

今回はアメリカ(米国)にあるプロダクション(芸能法人)や芸能人の日本における出演料に係る源泉徴収について書いていこうと思います。

Q&A形式でいきましょう。
まずQの前提から、
・公演名:アルマゲドンコンサート in JAPAN 2019
・出演者:アルマゲドンさん(非居住者)
・契約先:アルマゲドン社(外国法人、日本にPEなし)

Q:スポンサーからの相談
アルマゲドン社に出演料の支払いを行う予定ですが、源泉徴収の必要はあるのでしょうか。

A:回答
人的役務の提供事業の対価に該当し20.42%の源泉徴収が必要になります。

【解説】
外国法人に対する支払いについて源泉徴収の有無を確認する際には国内法の確認を行い、次に租税条約を確認することになります。(国ごとに租税条約が異なるので、確認するもの大変です。。)
まずは国内法から確認しますと、その外国法人へ支払う所得に応じて源泉徴収するかどうかが決まってきます。(下記「源泉徴収のあらまし」の表を見てください)
この表の中の人的役務の提供事業の対価に該当するため20.42%の源泉徴収が必要になります。

次に租税条約の規定を確認する必要があります。(国内法では源泉徴収が必要になっても、租税条約で必要なし!となる場合があります)
国内法と租税条約では租税条約が優先されるので、国内法で源泉必要、租税条約で源泉不要となった場合には源泉不要です。

日米租税条約では芸能人等に対する規定として、
「一方の締約国内で行う芸能人又は運動家としての個人的活動に関する所得が当該芸能人又は運動家以外の者(他方の締約国の居住者に限る。)に帰属する場合には、当該所得に対しては、(中略)当該個人的活動が行われる当該一方の締約国において租税を課することができる。」
と規定されております。(一方の締約国=日本)

非常に読みにくいですね。。
要約すると「日本で行う公演の収入をプロダクション(芸能法人)がもらうのであれば、その収入は日本で課税するよ」ということになります。
なので、日米租税条約上も源泉徴収が必要であるということになります。

結論として、国内法、日米租税条約共に源泉徴収が必要ということになりますので、原則どおり20.42%の源泉徴収を行う必要があるということになります。

Q:アルマゲドン社からの相談
スポンサーから出演料をもらいましたが、源泉徴収されています。これらは日本でどうすればいいのでしょうか。

A:回答
法人税額から源泉徴収税額を控除することになります。

【解説】
アルマゲドン社は日本において法人税の申告義務があります。
日本において、人的役務の提供を主たる内容とする事業を行う外国法人は、国内法上、日本にPEを有していなくても法人税の申告をしなければいけないことになっています。
従いまして、アルマゲドン社は法人税の申告の際に、源泉徴収された税額(アルマゲドンさんに対する報酬について源泉徴収されたものとみなされる所得税額は除かれます)を控除することができます。

こちらのノートも参考にしてみてください。
「人的役務の提供事業の対価」と「給与等の人的役務の提供に対する報酬」

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